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女性たちの保守運動

サブタイトル1~10
右傾化する日本社会のジェンダー
編著者名
鈴木 彩加 著者
出版者
人文書院
出版年月
2019年(令和1年)12月
大きさ(縦×横)cm
20×
ページ
342p
ISBN
NDC(分類)
367.21
請求記号
367.21/Su96
保管場所
開架一般
内容注記
文献あり
和書
目次

序章 保守運動の台頭とジェンダー
一 現代日本社会における新しい保守運動
二 保守運動に参加する女性たち
三 女性たちの保守運動を捉える枠組みの不在
四 本書の目的と方法および構成
五 用語の定義
 五-一 保守運動と保守主義
 五-二 保守運動と右翼運動

第一部\t女性たちの保守運動を捉える視点
第一章\t戦後日本社会における保守運動の系譜
一 保守運動の胎動-日本遺族会を中心に
 一-一 保守運動の系譜を辿るために
 一-二 日本遺族会の出発
 一-三 靖国神社法案の挫折
二 保守運動の組織化-「英霊にこたえる会」から「日本会議」へ
 二-一 英霊にこたえる会
 二-二 元号法制化運動
 二-三 日本会議の誕生
 二-四 組織化された保守運動の特徴
三 保守雲合の草の根化-「つくる会」から「行動する保守」へ
 三-一 「新しい歴史教科書をつくる会」
 三-二 保守運動の連携-男女共同参画反対運動
 三-三 「行動する保守」と運動の先鋭化
四 保守運動に連なる女性グループの登場

第二章\t右派女性に関する米国フェミニズム研究の展開
一 米国の右派女性研究を参照にすることの意義
二 <被害者>としての右派女性
三 <運動主体>としての右派女性
 三-一 保守運動の二つの類型
 三-二 右翼運動と女性参加者
四 <フェミニスト>としての右派女性
 四-一 右派女性に対する積極的な意味付け
 四-二 「女性」を代弁するのは誰か
 四-三 「平等フェミニスト」たちの保守運動
五 米国右派女性研究から得られる示唆

第二部\t保守運動と家族
第三章\t日本遺族会における家族言説の変遷-”苦労する母親”像に着目して
一 「家族の価値」言説とは
二 日本遺族会と戦没者妻たち
三 分析方法
四 日本遺族会にみる二つの家族言説
 四-一 第一期(一九四九~五五年)-“苦労する母親”像の形成
 四-二 第二期(一九五六~七五年)-“苦労する母親”像の定着
 四-三 第三期(一九七六~九三年)-“苦労する母親”像の曖昧化
四-四 第四期(一九九四~二〇〇七年)-「家族の価値」言説の出現
五 “苦労する母親”像と「家族の価値」言説の齟齬
 五-一 家族言説はなぜ移行したのか
 五-二 保守運動の「家族の価値」言説

第四章\t「家族の価値」をめぐるポリティクス-保守系雑誌記事の分析から
一 男女共同参画に反対する人びと
 一-一 男女共同参画に反対する「主婦」
 一-二 「主婦」たちはなぜ男女共同参画に反対するのか
二 データの概要
三 「家族の価値」に関する比較分析
 三-一 「主婦」による投稿記事の非-政治性
 三-二 「主流派バックラッシュ」における「家族」言説
 三-三 「主婦バックラッシュ」における「家族」言説
四 「家族の価値」言説の構造
 四-一 潜在化された対立関係
 四-二 女性知識人の二面性
五 「主婦バックラッシュ」と「ケアの倫理」

第五章\t女性たちの男女共同参画反対運動-愛媛県の事例から
一 草の根レベルの男女共同参画反対運動
二 愛媛県における男女共同参画をめぐる攻防
 二-一 松山市男女共同参画条例一部改正問題
 二-二 市民団体A会の結成と活動展開
 二-三 A会の基本主張
 二-四 調査対象者の概要と分析方法
三 会員の運動参加経緯
 三-一 リーダー層・常時活動層
 三-二 周辺的活動
 三-三 積極的支持層
四 会員たちがA会に賛同する理由
 四-一 男女共同参画のリアリティ
 四-二 性別役割を実践するということ
五 「家族」言説が果たしている役割
 五-一 A会にみる草の根レベルの男女共同参画反対運動
 五-二 「家族」でつながる保守運動

第三部 保守運動と女性の生/性
第六章\t焦点化される「慰安婦」問題-「行動する保守」活動動画の内容分析
一 「行動する保守」の女性たち
二 分析方法
 二-一 「行動する保守」とインターネット
 二-二 データの概要
三 「行動する保守」女性団体活動動画にみられる傾向
 三-一 男性参加者の脇役
 三-二 タテマエとしての「母親」
四 「慰安婦」問題への焦点化
 四-一 「慰安婦」問題の「発見」
 四-二 アンビバレントな「慰安婦」問題
五 性差別と民族差別が交錯する地点から

第七章\t「慰安婦」問題を嗤えない女性たち-「行動する保守」運動における参加者の相互校とジェンダー
一 活動の場における相互行為への着目
二 調査対象団体および調査概要
 二-一 調査対象団体B会の概要
 二-二 調査概要
三 B会をめぐる二つの集合的アイデンティティ
 三-一 女性
 三-二 「左」と「右」
四 料理教室における参加者たちの相互行為
 四-一 料理教室の風景
 四-二 嫌韓・嫌中・愛国心
 四-三 料理教室におけるジョークの機能
五 「慰安婦」問題に関するジョークをめぐって
 五-一 「慰安婦」を嗤う高齢男性
 五-二 排除される「他者」と排除できない「他者」

終章 日本社会で生きる女性たちの保守運動-その困難と展望
一 これまでの議論のまとめ
二 女性たちの保守運動を成立させる要因
三 女性たちの保守運動が抱える両義性
四 「女性運動」として読み替える
 四-一 ドメスティックな「女性運動」
 四-二「保守フェミニズム」はあり得るか
五 「右傾化」現象とジェンダー

あとがき
参考文献