図書オキナワ アンダーグラウンド000065216

沖縄アンダーグラウンド

サブタイトル1~10
売春街を生きた者たち
編著者名
藤井 誠二 著
出版者
講談社
出版年月
2018年(平成30年)9月
大きさ(縦×横)cm
19×
ページ
347p
ISBN
9784065128275
NDC(分類)
368.4
請求記号
368.4/F57
保管場所
閉架一般
内容注記
参考文献: p344-347
和書
目次

序章 眩い街へ、妖しい光へ
目の前にあらわれた妖しい発光体/「沖縄の別な顔も見せてあげましょう」/揺らぐ、沖縄の「一面的」イメージ/夜の街からの問いかけ
 
第1章 消し去られた街、生の痕跡
街の底で誰が、どんな生を営んできたのか?/あの街がゴーストタウンになった/米軍基地と「共生」してきた色街/沖縄の戦後の困窮と、米兵の性犯罪/「特殊婦人」の実態調査/真栄原新町で働いていた地元出身女性に会う/「一日二十数人こなして、月二〇〇万~三〇〇万稼いだ
」/関東からやってきたトモコ/「目の前にパトカーが何台も停まってる!」
 
第2章 変貌する夜に生きる者たち
忍者屋敷のような売春部屋/「もともとこっちの街の商売は反社会的ですから」/吉原「浄化」のための市民総決起大会/「売春部屋」のすぐ隣で生活する老夫婦/本当は自分も売春している/売春中の母親に子どもが駆け寄る光景/「私は売春だけはしなかった」/
離婚、暴力、借金、ホームレス・・・・・・底のない転落物語/「浄化運動」で吉原は商売ができなくなった/風俗でしか生きていけない子もいる/中絶費用を稼ぐために売春/アメリカによる「売春村」と「非売春村」の調査/沖縄の売春の根本原因は米軍支配にある/
辻という特殊なアンダーグラウンド/「料亭那覇」売春事件の全貌/夜に生きる一人ひとりの経験
 
第3章 闇社会の収奪システム
ヤクザ者を怒鳴りつけたおばあ/内地と沖縄を結ぶ売買春ルート/沖縄ヤクザの戦後史/旭琉會の大幹部に話を聞きに行く/売春は組織の資金源じゃない/吉原をシマにしていた元ヤクザ幹部に会う/まるで人身売買のような非道な所業/大阪から沖縄に売られた女性/
借金地獄から売春強要へ/「売られた」沖縄に再び戻るまで/警察の摘発が続いたから街に見切りをつけた/覚醒剤、合成麻薬、女の子をクスリ漬けにして・・・・・・/売春街は暴力団の資金源なのか/女性を縛る恐ろしい「日掛け帳」/売春をめぐる人身売買の構造
 
第4章 娼婦とヤクザと革命―幻の映画『モトシンカカランヌー』の「アケミ」を捜して
売春女性と政治闘争が交錯する幻のドキュメンタリー/アケミが歌う「十九の春」と「ストトン節」/はじめから「モトシンカカランヌー」を撮ろうとしたわけではなかった/アケミやヤクザが住んでいた照屋の家は今もあった/体制からも反体制からも切り捨てられた者たち/
元アシバーは浜比嘉島で土を耕していた/アケミは伝説のヤクザの息子とつき合っていた/真栄原新町にアケミを捜して/アケミとは誰だったのか/連綿と存在し続ける売春女性たち
 
第5章 歴史の底に置かれた売春女性―佐木隆三が見た沖縄
「日本人であること」をめぐる、大江健三郎『沖縄ノート』の問い/「娼婦」を通して沖縄との関係を探る/「アカムヤー」という妖しい悪場所/娼婦を続けると、アカムヤーにおちることもある/幻の街を今に伝える体験談/「沖縄の売春と、その象徴するもの」/
八幡製鉄所と沖縄の戦争スクラップ/「売春して生きていくしかない」という声/二重三重に社会の暗部に置かれてきた売春女性
 
第6章 「レイプの軍隊」と沖縄売春史
占領米軍は「レイプの軍隊」/鬼畜の所業が日常化した/闇に葬られた米兵犯罪の実態/米軍政府の異様な「人権感覚」/軍規律が麻痺した米軍支配下/売春は必要悪であるという考え方/九歳の子どもにまで拡大する「売春」/戦後復興の後押しで形成された売春街/
目的は売春禁止ではなく、米兵への性病蔓延の防止/「売春」をめぐるダブルスタンダード/「売春した女性の側」に罰/「密売淫」を「前科者」扱い/沖縄には米軍のための「慰安所」が必要だという声/最初の売春街「八重島」の誕生/橋下徹氏の売春議論への違和感/
凄惨きわまる「由美子ちゃん事件」/真栄原新町の女性は借金でがんじがらめ/街の奥底に横たわる、獣のような性犯罪
 
第7章 売春街の子どもたち
住民がアメリカに頼んでつくった小禄新町/「沖縄のルンペン・プロレタリアをはき清める」/「オフ・リミッツ」による「県民分断」/コザ「センター通り」の隆盛/コザの売買春を記録した米軍資料/彼女たちが売春婦になる理由/売春業は沖縄を成り立たせる経済活動/
沖縄ロック界の重鎮・喜屋武幸雄はセンター通りの子どもだった/「サックを洗って風船にして遊んでました」/「アメリカの生き血を吸って生き抜いてきた」/奄美大島出身者と沖縄の売買春/奄美からの流入者に対する差別意識/売春婦=奄美の女という意識があった/
奄美出身の売春女性殺害事件/奄美出身の母と米兵の父の間に生まれたロッカー/「レイプなんか日常茶飯事だった」/「売春女性こそが戦後の沖縄を支えてきた」
 
第8章 浄化の論理と、夜の身体と
売春街への深い「嫌悪」/「宜野湾市の恥部」/税務署とタッグを組んだ取り締まり/暴力団の資金源なのか?/一気呵成の作戦が進められた理由/「浄化」という社会正義の実現/決起大会には街の外部の人が集まった/絶望して夜逃げや首吊り自殺も/宜野湾警察署長は国税庁から
の感謝状に胸を張った/「街を浄化するんだという思い」/警察と売春店の間に「密約」はあったのか/人身売買ルートは解明できていない/連綿と続く「特殊婦人」更生運動/タバコと引き換えの売春/女性運動のなかの乖離/「浄化」運動を担った女性団体の真意/
「女性として、売春することは許せない」/伊波洋一宜野湾市長の「浄化」の論理/防犯パトロールに胸をはだける女の子/再び夜の街へ
 
終章 作家・沖山真知子の記憶
「売春婦」を描いて戦後の沖縄を表現する/口減らしで、伊良部島からコザの高校へ/ベトナムへ出撃する米兵であふれる街/なぜ「売春婦」を書こうと思ったのか/豚一頭分の肉を炊いて、客を取ったあとに食べていた/彼女たちのことが大好きでした/
雑魚寝するような部屋で売春/パンパンになって故郷に錦を飾る/精神を病んで死んでしまった/「浄化」されて、いいとも悪いとも思いません/「生きてくために売春すること」
 
あとがき、あるいはゴーストタウンの路上でのつぶやき
参考文献