原爆文学論
第一章 核状況を撃つ想像力―原爆文学の位置
核状況と原爆文学
原爆文学の歴史
原爆文学の現在
第二章 〈原爆文学〉から〈核文学〉へ―『西海原子力発電所』と『HIROSHIMA』
「チェルノブイリ」と吉本隆明
『西海原子力発電所』と管理社会
『HIROSHIMA』と広島・現代世界
〈核文学〉へ
第三章 被爆・その理不尽さのかたち―『黒い雨』、そして『地の群れ』
被爆者の〈平常心〉
被爆者差別
〈差別〉の重層化
第四章 〈核〉・その世界苦に対抗して―『ヒロシマ・ノート』から『ピンチランナー調書』へ
被爆者―〈核〉との出会い
『ヒロシマ・ノート』―被爆者との共生
『洪水はわが魂に及び』から『ピンチランナー調書』へ
絶望に抗して
第五章 「核時代」の周縁を生きる―林京子論
「ニュークリア・エイジ」の狂気・終末観
「私」↔「世界」
「上海」
「アメリカ」
第六章 『はだしのゲン』とは誰か
語り部・中沢啓治
反戦・反核・反天皇(制)
世界性を獲得するために
第七章 原爆短編小説集の意味―『何とも知れない未来』の世界
未来へ
体験の再構築
差別に抗して
生き抜く被爆者
鎮魂
人間として
第八章 「記録(ドキュメント)」を読む―『日本の原爆記録』
究極の兵器にも敗北しなかった人間の尊厳
想像力を越える悲惨―全滅した二つの学園
『千羽鶴』―〝記憶〟を越えて
国境を越える被爆のうめき
〈核〉の反人間性を明示=時間を越える人間破壊
絶滅の可能性に対峙する文学
第九章 「事実」に向う眼―『ヒロシマ ナガサキ原爆写真・絵画集成』
「原点」から
「記録」しつづけることの意味
生きている〈ヒバクシャ〉
〈風化〉に抗して
心に刻印された〈地獄〉
「証言」と〈祈り〉、そして〈怒り〉
補章 反・反核の思想的構造―文学者の言説から
〈民衆〉を忘れた文学者の論理
「反核」の思想的基底
反・反核と現状肯定
原爆文学―その民衆性
吉本隆明・科学万能主義批判
文学者の「反核」運動
『「反核」異論』の独善性
科学万能主義の陥穽
原爆文学文献一覧
あとがき