ある少年H
はしがき
仁古田再訪―わがA la Recherche du temps perdu(失われた時を求めて)
善光寺から上田へ/二時間ものサスペンスドラマのように/紙芝居と絵物語/闇米取り締まりと車内歌謡会/米軍による機銃掃射/川口は鉄で、家(うち)は非鉄/道が下った先に橋はなかった
一 ある少年H
心優しき(?)GIたち/労働争議と「川上音二郎の衣装屋」/父親の位牌に灰を・・・・・・/ドラマ『あ・うん』の父親/景気の良い時の町工場主/人の出入りの多い家/祖父の薫陶/「こんな助兵ったらしいものを・・・・・・」/Hの友人たちを車座に坐らせて/「爺婆っ子は三文安い」
二 父親のこと
父の帰還、土産の金平糖/父は内地にいた!?/戦争末期の日本軍/赤松という補助線/アメリカ映画、特に西部劇/やっちゃんと五反田セントラル通い/映画好きという遺産/サルトルの映画好き/小津安二郎、とくに「麦秋」/「叱らない」父親/家庭教育リベラリズム
三 「性に目覚める頃」
「健全なる男女交際」/『イタ・セクスアリス』/『仮面の告白』と環(たまき)ちゃんのスカート/女性性器への適正な関心/おまけを抜いたあとのグリコ/生涯最初の強烈な性的刺激体験/ゲーリー・クーパーの『征服されざる人々』/ポーレット・ゴダード/ドレスを引き裂かれる瞬間/アメリカ文化の怒濤のような流入
四 才能ある(?)少年
学校的規律の情景/イタリアの小学校、そしてイタリアの「終戦」/終戦直後の通信簿/読み書きの習得/字を書くのは苦手?/学芸会の常連/「あんた、芸人だねエ」/浪曲は「石松三十石船」/「置泥(おきどろ)」と「花色木綿(はないろもめん)」/「お笑い」という芸能ジャンル/パラレル・ライフ? 万能細胞?
五 テレビ少年第一世代
『居酒屋』と「ジェルヴェーズの歌」/生まれる前からテレビがあった人間とそうでない人間/「テレビ観せてくれない?」/「ホントは無いんじゃないの?」/横綱吉葉山、関脇若乃花/「悲劇の横綱」と「土俵の鬼」/『日真名(ひまな)氏飛び出す』/「オタンチン・パレオロガス」/テレビドラマ『マンモスタワー』/テレビ視聴の個人史/『華氏四五一』/テレビと家族団欒
あとがき