「誉れの子」と戦争
- サブタイトル
- 愛国プロパガンダと子どもたち
- 編著者名
- 斉藤 利彦 著者
- 出版者
- 中央公論新社
- 出版年月
- 2019年(令和1年)7月
- 大きさ(縦×横)cm
- 19×
- ページ
- 220p
- ISBN
- 9784120052187
- NDC(分類)
- 369.37
- 請求記号
- 369.37/Sa25
- 保管場所
- 開架一般
- 内容注記
- 昭和館デジタルアーカイブ
はじめに
第一章\t「社頭の対面」と「誉れの子」
一 「社頭の対面」とは
二 国家による戦争と子どもたち
遺児たちの「恐懼感激」
第二章\t軍人援護政策の展開と「誉れの子」
一 戦没者の急激な増加と軍人援護
軍人扶助対象の激増/「遺族の覚悟」とは
二 軍人援護ニ関スル勅語
朕カ夙夜惻恒禁スル能ハサル/出征将兵に些かも後顧の憂なからしむる
三 軍人援護体制の拡大と強化
軍人援護会の創設/軍事保護院の設立
①「軍人援護対策審議会」答申
改ムベキハ之ヲ改メ/国家の恩遇に狃れず
②「国体の本義に基く軍人援護」と国民への不信感
「大召奉戴日」と軍人援護の強化徹底
③「戦歿者遺族ニ対スル精神指導」と「遺族の誓」
身命ヲ捧グルハ日本国民ノ本分ニシテ/遺族ノ性格、教養其ノ他個々ノ実情ニ即シ/種々ノ点ニヨリ相当考慮ヲ要スル/「靖国の妻」への対応/遺族の誓
四 軍人遺族への物資的援護の実態
①陸、海軍死亡賜金
命の値段
②死歿者特別賜金
③恩給法による「扶助料」
名誉を傷つけた遺族への不払い/その他恩典
五 戦歿者遺児に対する援護
遺児の育英/支給を受ける対象者の少なさ/独立自営ノ素地ヲ作ラシムル/遺児となった「誉れの子」への対処
六 「軍人援護教育」と「誉れの子」
①軍人援護教育ノ徹底ニ関スル件
学校における軍人援護/親切なる友情を傾けて交わる
②軍人援護教育の具体的方針
軍人家族としての誇と自負心を持たせ/欠席の場合は早速訪問/無知なるため、妻たるの道を誤り/遺児は常に依頼心、卑屈な心を持たず、明朗活発なる
③軍人援護教育の実際―「軍人援護模範学校」と「忠霊室」を例として
あれは遺児なんですね/遺児のみの集い
第三章\t「誉れの子」と国家
一 「社頭の対面」と靖国神社
最大新事業/教科書の中の靖国神社/靖国神社の歌/「社頭の対面」の精神指導/満州派遣建国功労者遺児派遣事業/「社頭の対面」と参加児童数/靖国神社での「社頭の対面」
二 国家による参拝の組織化と遺児の選抜
国家機関の動員と鉄道省/遺児の性行調査/自由行動ハ許サヾル
三 「社頭の対面」までの旅程
地元での壮行会と知事による訓示/東京での行動と式次第/「誉れの子」たちの感想と「社頭の対面」の当日
四 「誉れの子」に語られたもの
内閣総理大臣の訓話
①大東亜戦争の完遂のために
②父の戦死の意味づけと「誉れの子」の使命
戦死は「忠義」「栄光」「一家一門の名誉」/父の悲しみに拘泥することなく
③限りない皇室の御仁慈
誠に深い御慈しみの大御心
④父への「誓い」と参拝内容への指示
第四章 「誉れの子」たちが受けとめたもの
一 「誉れの子」代表の答辞と奉答
此の上もない身に余る栄光/之も皆亡き父の御蔭
二 『文集』に描かれた「父への参拝」
遺児たちの真の心、自然の儘の表現/僕の大好きなお父さん、何時もにこにこと
①皇恩の万分の一に報いる
お父さん、よく戦死をして下さいました/私達は英米が倒れる日までがんばりつづけ/天晴れ日本女子たる道を
②父を失った悲しみ
お父さんなつかしく泣けて泣けて/いつまでもお父様のそばにおりたい
③悲しみをはらすもの
宗教的体験による浄化/私はぶるぶるふるえました/ただぼーっとして心を失った/お父さんの仇を、にくい米英をやつけます
④「誉れの子」たちの葛藤とその収斂
父懐かしの心が強くなり/不足めいた気持ち/天皇陛下への不忠/私の心の中に今お父さんが生まれたのです
第五章 「誉れの子」への国家の冷徹なシナリオ
一 「社頭の対面」における国家の目的
遺児の精神を教化し、父の遺志を継がしむる/指導者の指導を無批判に受け入れる年配/只々一途に社頭の感激のみを
二 「種々の方法で感激を新たにする」-「少年団」と「錬成修養会」
「誉れの子」少年団の結成/「錬成修養会」の合宿訓練/誉の児たるの意味を誤解すな/入院加療を適当との診断
三 国民に向けた劇場
並みいる人々皆涙を催すのであります
四 プロパガンダとしての「誉れの子」-『写真週報』と東條英機
『写真週報』と「誉れの子」/遺児たちの慈父の如き東條総理/眼鏡の奥にきらりと光る露
五 明仁皇太子と「誉れの子」たちとの遭遇
第六章 「誉れの子」たちの「愛国」
一 「誉れの子」たちの生活現実
①軍人援護会『ほまれの家』が示す現実
父なき家を守って
②母の死
杖とも柱とも頼んだお母様
③奮闘する「誉れの子」
大人一人前の働きぶり
二 座談会で語られたもの
誉れの遺児たちの感激座談会
①父の戦死の受容と悲しみ
お父さんの頭ば、鉄砲弾丸がつき抜けた/私、思わず「お父さん」と呼ぼうとして
②「皇恩への感謝」と「お国に報いる」
少しずつ貯金して、国防献金したんです
③大黒柱を失った生活を支える
僕お母さんが可哀想で仕方がない
三 「誉れの子」に語られた「愛国」
お父さんのように立派な軍人に
四 閣議決定「軍人援護強化徹底ニ関スル件」
全遺児ニ対スル育英ヲ国家ニ於イテ負担ス/一億玉砕の決戦体制
おわりに―「誉れの子」たちの記憶と現代
一 八巻春夫氏(山梨)からの聴き取り
「感涙にむせんだ」とは
二 アンケートの回答において語られたもの
註
あとがき
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