対談戦争とこの国の150年
【西村京太郎】トラベルミステリーの巨匠
死ぬことは怖くなかった。『どうせ、俺たちもみんな死ぬんだ』という気持ちでした
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陸軍幼年学校 本土決戦 空襲と「名誉の戦死」 「陛下をお守りしろ」 闇市と米軍基地 永田鉄山の卓見 日本人と戦争 etc.
「たらふく食べられる」が魅力で幼年学校へ/一五歳で階級は「兵長」/鉄拳制裁なしの理由/「どうせ、俺たちもみんな死ぬんだ」/米軍機の機銃掃射に逃げ惑う/八月二日の空襲と同期生の「名誉の戦死」/「怪しいヤツが来たら斬れ」/玉音放送と「東條のバカヤロー」/父と闇米を買いに埼玉へ/本の楽しさを教えてくれた先生/できたばかりの人事院に転職/探偵業は推理小説の役に立たず/作曲家いずみたくと江田島へ/あの戦争が忘却されるこのへの危機感/したたかさのない日本人に戦争は不向き
【池内紀】ドイツ文学者・エッセイスト
太平洋戦争記日本の言論と熱狂は、第一次大戦のドイツとソックリです
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戦争と性 戦場のモラル 日本とドイツのプロパガンダ 日本人の精神構造 「神」と天皇 朝鮮戦争を喜ぶ大人たち ナチズムへの熱狂 etc.
伯父が書き残していた二つの記録/「従軍慰安婦」をめぐるトライアングル/証拠をめぐる不毛な「慰安婦」議論/「戦場体験」聞き書きの原点/ナチスと日本の戦争プロパガンダ/ドイツに比べて日本の宣伝は「子供だまし」/特攻帰りを白眼視する日本人の精神構造/日本は今も昔も「成り行きまかせ」/野坂昭如が「道化」に徹した理由/朝鮮戦争で喜ぶ大人たちへの違和感/ドイツ人とヒトラー/戦争中の言論が瓜二つの日本とドイツ/ナチズムが青少年を熱狂させた理由/ゲッペルスやヒムラーは有能だったか/活字箱をぶっ壊したドイツ、活字を供出した日本
【逢坂剛】ミステリー・歴史小説の大家
赤紙がきたとき、隻眼の父は『俺のところにくるようじゃ、この戦争はもうダメだ』と思ったそうです
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「中華街」としての神保町 近藤重蔵と北海道 吉村昭『羆嵐』の世界 父に届いた召集令状 スペインと諜報戦 フランコは善か悪か 作家の収集資料をどう残すか etc.
共通点は「神保町での古書探し」/「中華街」としての神保町/終戦直後の駿河台からの風景/六〇年安保の学生時代/「近藤重蔵シリーズ」と北海道/吉村昭『羆嵐』舞台での恐怖体験/父・中一弥は「画兵」だった?/戦場体験者はなぜ家族に話をしないか/「イベリア・シリーズ」を生み出したもの/史実とフィクションをどう織り込むか/作家の集めた資料を後世にどう残すか
【浅田次郎】前日本ペンクラブ会長
戦前も戦後も、日本人は『既成事実の追認』だけ。それは明治以降、この国にグランドプランがないからです
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三島由紀夫事件 「軍隊」という組織の本質 自衛隊と旧日本軍 国民投票と民主主義 日本人と戦争 満州事変への道と戦後日本の共通点 東條英機と石原莞爾 戦争協力を作家は断われるか etc.
小説家としての原点「三島由紀夫事件」/「文学少年」が求めた答え/「軍隊」という組織の本質/自衛隊が抱える矛盾/国民投票は本当に「国民の総意」か/自衛隊が「戦場」へ行く前に/「旧日本軍」を自衛隊はどう意識しているか/二六〇年間も戦争がなかった珍しい国/「ロシア革命」より劇的だった?明治維新/「既成事実の追認」が日本人のクセ/張作霖爆殺事件は「ミステリー中のミステリー」/東條は「上司にしたくないタイプ」/石原莞爾はかぜ「神話」化されるのか/難しい「石原莞爾」の評伝/不公平感が残る東京裁判の本質/「情緒に訴える」戦争小説は最大の「風化」/戦争への協力を作家は断れるか/「保阪さんの回顧録が読みたい」/なぜ今、大川周明が売れているのか
【半藤一利】大ベストセラー『昭和史』『幕末史』の歴史探偵
明治150年がおめでたいなんて、『何をぬかすか』ですよ
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明治は「輝かしい」時代だったか 隠された日本海海戦の真相 美化される日露戦争 薩長史観 歴史に見え隠れする「官軍」「賊軍」 大元帥陛下と象徴天皇 昭和初期と平成末期の共通点 etc.
『坂の上の雲』の歴史観/隠された「戦史」/東郷平八郎は泰然自若だったか/「東郷ターン」の虚実/勝てたとはいえない戦争/「リアリズムなき国家」の減員は明治に/明治維新と薩長閥/華族で見れば一目瞭然/「官軍・賊軍史観」から見る太平洋戦争/官軍的「成功体験」が導いた未曽有の敗戦/大日本帝国=軍事優先国家はどう誕生した?/根っからの「軍人」だった昭和天皇/天皇・美智子皇后がつらぬいたもの/平成末期と昭和一ケタ時代の共通点/歴史に学ぶことの意義をもういちど