戦前日本SF映画創世記
序章 「ゴジラ」以前を求めて
「ゴジラ」は突然生まれたのか
科学をビジュアルに語る難しさ
戦前SF映画はなぜ語られないのか
ゴジラは何でできているか
第一章 アバンギャルドからの出発 「狂った一頁」
科学が遠かった時代
精神世界を描いた特撮
ドイツ表現主義への熱狂
「フィルムがあった!」世界を驚かせた発見
若き「円谷英一」が見た特撮
映写スピードの謎
十八コマか十六コマか
第二章 月へ行かなかった松ちゃん 忍術・階段映画としての特撮受容
奇妙な合致
メリエスの不思議な発明
鴨が鴨に見えない
牧野省三登場す
千の映画に出た男
「豪傑児雷也」(一九二一)
「渋川伴五郎」(一九二二)
「弥次喜多 善光寺詣り」(一九二一)
特撮のカタルシス
一九一〇年代の特撮技術
松ちゃんはなぜ月へ行かなかったのか
そのころ円谷英二は
第三章 謎のアシヤ映画と「若返り薬」
「大異変」後の陰謀
科学のスタートライン
帝キネ騒乱とアシヤ映画製作所の出現
アシヤ映画製作所の不可解な半年間
「小ささ」の消滅と引き継がれた夢
第四章 ノンセンス喜劇作家、斎藤寅次郎
大スタジオの小さな冒険
パロディ精神 異常なり
特撮? 「和製キング・コング」
「モダン怪談・壱〇〇,〇〇〇,〇〇〇円」(一九二九)
「石川五右衛門の法事」(一九三〇)
「子宝騒動」(一九三五)
映画史に残る二作品
ノンセンスの時代
第五章 楽しき哉!個人映画 荻野茂二「百年後の或る日」
究極の小規模
「百年後の或る日」(一九三二)
「AN EXPRESSION(表現)」(一九三五)
様々な試み、前衛文化映画「寒天」(一九三七)
その他の小型映画作家たち
第六章 悲運の人、枝正義郎 幻の第一号「霊の審判」、忘れられた「大仏廻国」
幻の「SF映画第一号」相次ぐ
野心作「霊の審判」製作開始
不透明な中止理由
「良心的カメラマン」として 天活時代
「革新映画」の旗手として
最後の大勝負「大仏廻国・中京篇」
映画敵野心と作品的敗北
筒井康隆が観た「大仏廻国」
枝正が残したもの
第七章 都会ホラーの誕生「都会の怪異 七時〇三分」
都市の成熟と都会ホラーの誕生
都市の「闇」の出現 「郊外の家」
「血の人形」 内世界の散文詩
生き延びたフィルム「都会の怪異 七時〇三分」
SFとしての「七時〇三分」
早すぎたモダンホラー
木村荘十二の方法論
第八章 B級の美学 大都映画「怪電波殺人光線」、極東キネマ「鋼鉄人間」
「B級」大都映画見参
二つの「怪電波」
外枠としての都市活劇
極東キネマ ロボット時代劇のインパクト
SF時代劇三作品検証
第九章 名のみぞ高き「江戸に現れたキングコング」
思い出の(観られない)映画
ネットに出現した断片
キネ旬に残された情報
大猿映画、続々登場
見えない映画会社、全勝
作品リストを眺めてみたら
生き延びた特撮師
第十章 破滅前夜の宴 円谷英二、奮闘す
その時円谷英二は
悲しきプロパガンダ「東京要塞」
「科学ヲバ振興スル」
タイムスリップした男「續清水港」
パロディの中の科学「孫悟空」
円谷英二のカメラマン時代
「キング・コング」の衝撃
元飛行機乗りの幻想「南海の花束」
「ハワイ・マレー沖海戦」
科学はお祭りだ「勝利の日まで」
終章 受け継がれた「歪み」 戦後SF映画へ
「透明人間現わる」から「ゴジラ」へ
歪ませることで見えるもの
補章 戦前アニメの中のSF表現
あとがき
現在視聴可能な映画リスト
参考文献一覧