昭和戦争史講義
- サブタイトル
- ジブリ作品から歴史を学ぶ
- 編著者名
- 一ノ瀬 俊也 著
- 出版者
- 人文書院
- 出版年月
- 2018年(平成30年)11月
- 大きさ(縦×横)cm
- 19×
- ページ
- 240p, 挿図
- ISBN
- 9784409520703
- NDC(分類)
- 210.7
- 請求記号
- 210.7/I16
- 保管場所
- 開架一般
- 内容注記
- 参考文献一覧:p227-235 関連年表:p238-240
- 昭和館デジタルアーカイブ
第一講 お話ししたいこと
「昭和」とはどんな時代か/ではなぜ歴史の学習にアニメ作品をとりあげるのか/大学の講義とジブリ作品/明治から昭和へ、という近代史の流れをどう理解するか/『風立ちぬ』とはどのような物語か/講義を聴くにあたって
第二講 大衆社会の出現―関東大震災(『風立ちぬ』①)
堀越二郎とはどんな人か/なぜ悪魔は二郎に飛行機を造れといったのか/なぜ震災の場面で群衆のうごめきは事細かに描かれたのか/関東大震災の衝撃と「大衆」の出現/「大衆」に注目した人びとその一/「大衆」に注目した人びとその二/
震災の結果のひとつが、ある種の「ニヒリズム」だった/まとめ
第三講 飛行機と戦争―三菱はなぜ二郎を傭い飛行機を造るのか(『風立ちぬ』②)
科学技術の時代/なぜ民間会社が軍用機を造っているのか/どこの国と戦争するのか/当時の不景気はなぜ起こり、どの程度深刻だったのか/高学歴者も就職難/堀越二郎の同期生たちの就職/三菱内燃機の経営状態/戦闘機と牛車/まとめ
第四講 貧困と戦争―シベリアと満洲事変(『風立ちぬ』③)
なぜ女の子はシベリアを拒絶したのか/人びとの生活に介入する国家/日本の軍や国民は貧しさからどう脱出しようとしたのか/飛行機がなかったら日本人は窒息する?/平和的に中国と貿易しようという考え方はなかったのか/満洲事変で日本の景気はよくなったのか/まとめ
第五講 飛行機と戦艦の主役交代―二郎のドイツ行きをめぐって(『風立ちぬ』④)
なぜ日本はドイツから巨大爆撃機を買うのか/一九三〇年代の戦争と飛行機/なぜドイツ人は二郎たちに冷たいのか/日本海軍が航空母艦と飛行機を必要とした理由/飛行機と戦艦の地位逆転/二郎はなぜ強力な戦闘機を造る使命を帯びたのか/まとめ
第六講 社会主義―ゾルゲ事件とその背景(『風立ちぬ』⑤)
なぜ軽井沢に立派なホテルがあるのか/カストルプの忘れたい「イヤナコト」とは何か/カストルプとは何者なのか/ソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)とは何か/マルクス主義とは/治安維持法と国体とは/ゾルゲの協力者・尾崎秀美/
ゾルゲと尾崎はなぜソ連のスパイになったのか/まとめ
第七講 病と結婚―二郎の結婚はなぜさびしいのか(『風立ちぬ』⑥)
戦前の日本はなぜ結核が多かったのか/富士見療養所とはどんなところか/結核から近代日本の何がわかるか/二郎と菜穂子の挙げた結婚式ではなぜ提灯が掲げられたのか/二人の結婚がさびしいのはなぜか/当時の女性が、結婚と国家を道徳的に結びつけていた具体例/
なぜ恋愛結婚は嫌われていたのか/喫煙する二郎をなぜ不快に感じるのか/まとめ
第八講 日中戦争―九六陸攻と重慶爆撃(『風立ちぬ』⑦)
九六式陸上攻撃機とは何のために造られたのか/九六陸攻墜落シーンの意味/そもそも日中戦争はなぜ起こったのか/なぜ日中戦争は長期化したのか/陸攻隊の重慶爆撃/もうひとつの九六陸攻の使われ方/「ニッポン・イデオロギー」/まとめ
第九講 日米戦争―零戦が対米戦争で果たした役割(『風立ちぬ』⑧)
現実の堀越二郎はただ「美しい飛行機」を造ればよかったのか/防弾タンク/なぜ日本は零戦を繰り出してアメリカと戦争を始めたのか/零戦の戦いは戦争にどう影響したのか/沖縄戦における特攻攻撃の目的/なぜ結末で悪魔は二郎の魂を奪わないのか/まとめ
第一〇講 日本とイタリア、そしてアメリカ―恐慌のなかで(『紅の豚』)
ポルコはなぜ自国の政府から追われているのか/ポルコはなぜ「怠惰な豚でいる」罪に問われているのか/カーチスのキャラクターがあらわすもの/カーチスは「キレイゴト大好きなアメリカ」像のなぞり?/反米強硬論のゆくえ/まとめ
第一一講 空襲―神戸はなぜ炎上したのか(『火垂るの墓』①)
第二次大戦における戦略爆撃/火災戦争の残虐性/日本空襲に使われたB-29爆撃機とはどんな飛行機か/なぜ神戸は空襲されているのか/米軍側に良心のとがめはなかったのか/まとめ
第一二講 飢え―戦争末期の国民生活(『火垂るの墓』②)
なぜ一九四五(昭和二〇)年の日本には食べ物がないのか/清太の一家に特別な食べ物配給はあったのか/なぜおばさんや清太は食べ物に困り、母の形見の着物と米を交換しているのか/おばさんの人物造形について/清太はなぜボコボコに殴られたのか/戦後社会に戦争が刻んだもの/
まとめ
第一三講 敗戦―人びとは何を思ったのか(『火垂るの墓』③)
おっさんはなぜ降伏を悔しがらないのか/降伏のラジオ放送を聞き、人は何を思ったのか/「国体護持」とは、何をどうすることか/人びとは、気持ちを切り替えて生きようとした/なぜ瀕死の清太は「恥やで」といわれたのか/まとめ
第一四講 戦災孤児―皆どこへ行ったのか(『火垂るの墓』④)
ただ死を待つばかりの「浮浪児」たち/戦争で親を失った子どもは、敗戦後になぜ「浮浪児」と呼ばれたのか/戦争に負けたあと、戦災孤児は全国でどれくらいいたのか/孤児に対する手のひら返し/「浮浪児」たちはどのように扱われたのか/『浮浪児の智能検査報告』/
その後の戦争孤児たち/まとめ
第一五講 高度成長―まとめにかえて(『となりのトトロ』・『コクリコ坂から』・『平成狸合戦ぽんぽこ』)
〈歴史を学ぶこと〉の意義とは何か/『となりのトトロ』『コクリコ坂から』のお弁当にみる戦後の高度成長/なぜ肉と卵は普及したのか/『コクリコ坂から』の描く朝鮮戦争/かつての朝鮮戦争への協力をどう考えるか/多摩ニュータウンと狸
参考文献一覧
関連年表
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