図書目録ニホン オ アイシタ ジンルイ ガクシャ資料番号:000063976

日本を愛した人類学者

サブタイトル
エンブリー夫妻の日米戦争
編著者名
田中 一彦 著
出版者
忘羊社
出版年月
2018年(平成30年)12月
大きさ(縦×横)cm
19×
ページ
351p, 挿図, 地図, 肖像
ISBN
9784907902193
NDC(分類)
289
請求記号
289/E52
保管場所
閉架一般
内容注記
関連年表:p[340]-[345] ジョン・エンブリー作成による文献一覧:p346-351
昭和館デジタルアーカイブ
和書
目次

プロローグ 日米開戦とエンブリー
 
第一章 人類学への道
リベラルな父/「僕は反抗的な家系の生まれなんだ」/エラとの出会いと二十代の遍歴/すき焼きパーティの準備中に日米開戦の報/ロシアを追われたエラ一家/二十一世紀まで生きたエラ
 
第二章 須恵村へ
「コミュニティ研究」のため日本へ/「温かい友情に結ばれた」村民との交流/「協同(はじあい)」の仕組みを描く/軍事地帯から遠く離れた須恵村/『Suye Mura』の翻訳連載と突然の中止/「日本の学校は、国家主義が行き過ぎていることを除けばアメリカと大体同じ」
 
第三章 日米開戦、情報機関へ
エンブリーの日米戦争/「エンブリーさんをスパイじゃと言う人がおった」/情報機関COI、OSSで対日報告書を作成
 
第四章 日系人強制収容所での葛藤
戦時転住局(WRA)に移り、日系移民に寄り添う/同化政策を批判したコリア局長/新設のコミュニティ分析課をリード/「注意深く観察すれば、あなたは心の中の『日本人の型』を捨て去るだろう」/ポストン、マンザナー収容所のストライキ/
「アメリカの世論は、日本と日系アメリカ人を区別できない」/二世女性を解放する/収容者の「忠誠審査」を調査/半世紀を経てようやく謝罪
 
第五章 占領軍士官を教育
シカゴ大の民政訓練学校へ/エンブリーの講義ノート/『日本国家』を準備/東北の農村調査の英訳
 
第六章 二度のミクロネシア調査
サイパンで終戦を迎える/握りつぶされた原爆不要論/沖縄占領の参考にされたミクロネシアの日本人収容所調査/「親日家エンブリー」という烙印/「祖国なきミクロネシア」への憂い/マードックへの批判とスペアへの評価/「秘密主義はどんな政府でも認めることはできない」/
「エンブリーは軍事占領の一員になることを嫌った」―GHQのポストを固辞/「アメリカの占領は日本の民主化を遅らせるだろう」
 
第七章 戦火のインドシナへ
「夫の仕事はCIAみたい」/「ルース」なタイ、「タイト」な日本/「エンブリーはホー・チ・ミンと〝秘密〟に会っていた」/「われわれの戦争をアジア人に戦わせていいのか」/「東南アジアの仕事にうんざりして・・・」/エール大学東南アジア研究所長に就任/
「異端」の同志レイモンド・ケネディの死/念頭にいつも日本が―日本研究の文献目録を準備
 
第八章 ユネスコ、ポイント4、そしてFBIの影
「開発」と「民主化」のイデオロギー/ユネスコへの貢献と「欧米化の衝動」への警鐘/戦中のエラ/故郷ニコラエフスクの悲劇/FBIによる監視/くすぶるエンブリー暗殺説
 
第九章 須恵村・国家・戦争
「火山的爆発の容易ならぬ危険」/教室の「世界地図」をめぐって/『フォーチュン』誌記者の訪問/「愛国」の実相/「軍国教育は自然に消滅するであろう」/須恵村の朝鮮人、中国人/官憲による再三の職務質問/強まる統制、貨幣と機械化による変容/
「地方で成功した新文明の導入」
 
第十章 自民族中心主義に抗して
自文化を絶対視し、他の集団を見下す/「日本人に神秘的でオリエンタルなものは何もない」/「文化の型では戦争を説明できない」/日本の拡張主義と「社会的経済的原因」/「国民の性格構造」論の危険性
 
第十一章 「国民性」論争
日本の家は「危険なところ」か/トイレット・トレーニングをめぐる論争/「西洋の子どもの攻撃性は完全に無視された」/「夫妻は、寛大なる子育てにたえず心奪われていた」/開戦とともに失速した「文化相対主義」/〝想像〟に基づいたミードの日本人批判/
文化相対主義のジレンマ/「日本の国家構造は今後十年で根本的変化を経験するだろう」
 
第十二章 『菊と刀』への批判
ベネディクトの「文化の型」論/「日本人は最も気心の知れない敵」/「ベネディクトらの奇妙な学説は、以前の人種主義を思い出させ嫌な気持ちにさせる」/柳田國男のベネディクト批判
 
第十三章 ジョン・ダワーのエンブリー批判
エンブリーの『日本人』を歪曲(わいきょく)/恣意的なダワーの論法/『日本人』の基(もと)になったCOI極秘文書/「曖昧さ」の理由
 
第十四章 「占領」と民主主義
「根本的改革は国内の革命によってのみ実現しうる」/「占領軍が残る限り、日本の民主主義の問題は解決されないだろう」/「日本にはローカルな民主主義がある」/遠のいた「真の民主主義」/GHQの最初の須恵村訪問者
 
第十五章 象徴天皇制とエンブリー
戦前の博士論文に「天皇は国家の象徴」/天皇機関説と『武士道』/天皇制存続へ動いた人類学者/「天皇が皇位にあるか否かを問わず」/「農民は元々、愛国心のような問題に悩むことがなかった」/「天皇陛下は人間で、とても偉か人です」
 
第十六章 『須恵村』と農地改革
「農地改革の生みの親」ラデジンスキーの須恵村訪問/レーパー調査団の農村調査/石蔵から発見されたGHQ来村記録/農村自治の仕組みが改革を円滑化/「皇太子の家庭教師」ヴァイニングの須恵訪問
 
第十七章 ハーバート・ノーマンとヘレン・ミアーズ
エンブリーに対するノーマンの共感/実情描写に徹したエンブリーへの不満/「国民自身による民主的な政府」/過激な知日派ヘレン・ミアーズ/『アメリカの鏡・日本』は、国際関係における人種の問題を扱った最初の本である」/「日本はわれわれを偽善者と呼ぶことができる」/
「日本に対する告発はブーメランなのだ」
 
エピローグ 日本への「愛」
エンブリーの反自民族中心主義への批判/「エンブリーは戦争の原因を日本人の性格やイデオロギーの結果とは考えなかった」/「エンブリーは、愛によって日本に応えた」/「日本ほど居心地がよかった所はない」
 
おわりに
関連年表
ジョン・エンブリー作成による文献一覧

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