教科書の歴史
総論 近代教科書史概観
一 近代的・前近代的性格の動的展開
二 第一の転換期=ナショナリズムの教科書
三 第二の転換期=帝国主義段階の教科書
四 第三の転換期=ファシズムの教科書
Ⅰ 幕藩時代の教科書―東洋文化圏と封建的モラル―
一 藩学校の教科書―漢籍
漢籍中心
経書素読への批判
実学の蔑視
武士的人間像と教育
洋学と翻訳教科書の母胎
二 寺子屋の教科書―往来物
手習教科書
名頭
都路
往来物
商売往来
百姓往来
童子教・実語教
教科書一覧
女子の教科書
女大学・女実語教
塵劫記
三 幕府の公教育政策と教科書
六諭衍義大意
五人組帳
Ⅱ 近代学校の発足と翻訳教科書―欧米文化心酔期―
一 近代学校発足の歴史的意味と新教科書
小学教則と教科書
翻訳書採用の歴史的背景
啓蒙的教科書
転換期の教科書作製難
二 知育偏重と修身教科書
徳育蔑視と修身教科書
五種の翻訳修身書
翻訳書実施の困難
伊蘇普物語・西国立志編
修身教授の実態
三 国語教科書―混乱の中からの新しい歩み―
単語篇
小学読本
小学入門
四 国語教科書と教育の実態
五 啓蒙的歴史教科書
史略
万国史略
六 世界地理の民衆化
西洋事情
世界国尽
地理初歩
七 欧米科学への憧憬と理科教科書
理科教科書の重視
訓蒙窮理図解
天変地異
物理階梯
Ⅲ 儒教主義復活時代の教科書―自由民権運動への反動―
一 儒教主義の復活
教学大旨
自由教育令と改正教育令
二 修身科の重視
小学脩身訓
脩身児訓
幼学綱要
恩と忠孝
小学脩身書
自由民権運動とその反動
翻訳書・政治書の使用禁止
三 進歩的思想家の批判―福沢諭吉
極端論
儒教主義の成跡甚だ恐る可し
四 小学校教則綱領と歴史教科書
尊王愛国
小学校教則綱領
五 音楽教科書の成立とその内容―小学唱歌集
後れた音楽教科書
洋楽の輸入
蝶々
西洋音楽摂取の苦労
小学唱歌集
編纂の苦心
唱歌への批判
小学唱歌集の内容分析
音楽教育の実態
Ⅵ 検定教科書と国家統制―ナショナリズムの勃興―
一 森有礼と検定制度
欧米陶酔のフィナーレ
学校令と検定制度
二 修身口授書
三 教育勅語と修身教科書
小学修身経
高等小学修身
徳目主義から人物主義へ
四 検定修身教科書に現われた人物
別記=教育勅語の成立とその影響
五 国語教科書の充実
読書入門
尋常小学読本
作文より綴方へ
国語読本
六 小学唱歌と国民形成
七 明治三十年代の歴史教育
(一)\t日清戦争とナショナリズム
(二)\t万世一系の歴史教科書
別記=歴史教育の修身化
Ⅴ 国定教科書の成立
一 国定化の歩み
ナショナリズムの勃興と教科書国定論
外山の修身教科書無用論
谷の反論と国定化の進行
二 教科書事件と国定制度の確立
教科書疑獄事件
国定制度の断行
教科書出版の趨勢
国定後の教科書出版界
三 国定修身教科書の編纂
編纂事情
よい日本人
Ⅵ 資本主義興盛期における近代的教科書―第一期国定教科書―
一 近代的倫理の修身教科書
(一)\t近代的社会倫理の協調
(二)\t近代的職業倫理の重視
(三)\t国際主義
二 修身教科書に現われた西洋人
三 「イエスシ」読本と開化啓蒙的性格
(一)\t一期国語教科書の特質
開化啓蒙的教材
理科的教材
社会公民的教材
(二)\t編纂方法論から見た国語教科書
Ⅶ 家族国家倫理に基づく修身教科書―第二期国定教科書―
一 明治の総決算としての第二期教科書
二 「忠君愛国」の修身教科書
一期修身教科書の批判
家族国家的倫理の重視
前近代的家族倫理の強調
三 二期国定教科書成立の背景
冬の時代
家族制度と煩悶
明治の精神
支配階級の倫理
四 「ハタ タコ コマ」の国語読本
軍国的教科書
道徳的教材
勤勉力行主義
水平の母
地理的教材
社会公民的教材
理科的教材
五 国定音楽教科書の成立とその内容
Ⅷ 大正デモクラシー期の教科書―第三期国定教科書―
明治から昭和への過渡期
一 国際性強調の修身教科書
二期教科書への批判
国交
二 近代市民の倫理
三 自由主義教育家による修身教科書批判
大島・佐々木両氏の批判
川井訓導事件
人間の修身
四 プロレタリア教育運動と修身教科書
五 世界性強調の国語教科書
註記
墨色表紙と灰白色表紙
世界的教材
国語教科書に現われた西洋人
実業人の登場
六 心理主義と田園趣味の国語教科書
文章法
児童主義
童謡・童詩
七 大正デモクラシーの限界
大日本
一太郎やあい
八 プロレタリア教育運動と国語教科書
別記=プロレタリア算術
九 歴史教科書の転期
歴史教科書の転機としての第三期教科書
各期歴史教科書の特質
十 地理教科書の発展
(一)\t国定以前の地理教科書
(二)\t国定地理教科書の変遷
Ⅸ ファシズム抬頭期の臣民教育の強化―第四期国定教科書―
一 第三転換期としての第四期国定教科書
二 臣民への道
天皇
国家
臣民の倫理
理想的人間像
三 サクラ読本―民族意識の昂揚
国語の力
古典重視
神話教材
ミリタリズム教材
文学的教材の増加
四 児童心理への配慮と生活化
児童心理の重視
生活化教材
理科的教材の進歩
技術面の向上
挿絵
Ⅹ 超国家主義・ミリタリズムの教科書―第五期国定教科書―
一 国民学校教科書の成立
軍部の干渉
資材難
二 修身教科書に現われた超国家主義・軍国主義
(一)\t神国日本
(二)\t皇国の使命
(三)\t皇国民の練成
三 劃期的な国史教科書
叙述形式の劃期的変化
肇国精神の展開としての国史
国史教育の実態
四 国語教科書と超国家主義・ミリタリズム教材
編集技術の進歩
ミリタリズム・超国家主義教材
教材の学年段階的考察
古典教材と超国家主義
神話的教材
西洋寓話の日本的偏向
日本童話の偏向
五 唱歌に現われた戦時色
六 取残された高等科教科書
複線型学校制度
家族国家倫理重視の修身書
勤労・勤勉の讃美
実業重視の国語教科書
田園趣味
Ⅺ 理数科・芸能科教科書の変遷
一 理科教科書の変遷
死物的理科教科書
別記=実験的理科教育の思潮
大正の改訂
取越された理科教科書
科学する心の理科教科書
理科の本
小学生の科学
二 算数教科書の変遷
第二期国定算術教科書
第三期国定算術教科書
劃期的な第四期算数教科書
カズノホン
戦後の算数教科書
三 図画教科書の進歩
(一)\t国定以前の図画教科書
検定教科書
(二)\t国定図画教科書
毛筆画手本
新定画帖
自由画運動
革新的な小学図画
エノホン・初等科図画
戦後の図画教科書
四 習字教科書の変遷
(一)\t国定以前の習字手本
(二)\t国定習字手本
尋常小学書キ方手本
第二期習字手本
第三期習字手本
劃期的な四期の習字手本
テホン
Ⅻ 戦後の教科書―アメリカ占領期における民主教育の出発―
一 戦後直後混乱期の教科書
教育界の混乱
墨塗られた教科書
パンフレット教科書
新教育方針
二 「くにのあゆみ」
「くにのあゆみ」編纂始末
陽の目を見なかった教科書
三 社会科教科書の成立
学習指導要領と社会科
文部省社会科教科書
知識中心主義
社会的連帯性
社会的立場からの解決
抽象性
四 国語教科書
こくご
(一)\t文学的立場から見た国語教科書
文学的教材
言語教材
自己表現と自由詩・劇教材
長文物語教材
(二)\t道徳的立場から見た国語教科書
個人と社会
愛国心
自主的個人道徳
幸福
働くことの喜び
共同的社会の自覚
家
日本への反省
普遍的人間性・国際性
ⅩⅢ 国定教科書に現われた人物―理想的人間像と国民の形成―
一 明治天皇と二宮金次郎―教科書の基本構造
明治天皇
二宮金次郎
昭憲皇太后と水兵の母
二 二宮金次郎
検定教科書時代の二宮金次郎
報徳運動と二宮金次郎教材
三 上杉鷹山
上杉鷹山と経済道徳合一主義
上杉鷹山と修身徳目
四 源義経
国民的英雄義経
教科書に現われた義経
五 豊臣秀吉と加藤清正
六 乃木大将と広瀬中佐
七 貝原益軒と中江藤樹
八 吉田松陰と本居宣長
別記=教科書に現われた人物と徳目
九 修身教科書に現われた人物の階層
皇室
為政者
実業家
勤労者
文化人
武人
東洋人
西洋人
十 国語教科書に現われた人物の階層
武人
皇室
文化人
十一 日本社会と教科書上の人物
十二 戦後の教科書に現われた人物
社会科教科書に現われた人物
戦後文部省著作国語教科書に現われた人物
中学社会科に現われた人物
中学歴史に現われた人物
ⅩⅣ 教科書と日本人の形成
一 教科書の歴史と現代の世代像
世代と教科書
世代の対立
二 教科書と日本人のメンタリティ
(一)\t日本人の思惟様式と教科書
(二)\t日本人の社会観と教科書
(三)\t日本人の二重的性格と教科書
別記=教科書に現われた格言
ⅩⅤ 今後の教科書と新しい人間像
一 教科書と人間形成
二 教科書問題
三 教育の優位性―教科書問題を論ずる態度
四 今後の教科書のあり方
五 教科書と新しい人間像の確立
ⅩⅥ 教科書論争への提言
教科書に関する年表・参考文献
五期国定教科書(修身・国語)に現われた人名索引
本書索引(事項・人名・書名・教科書課目)