桐生悠々反軍論集
Ⅰ 関東防空大演習を嗤う―昭和8年
年頭の辞・去年か今年かの感―日米戦争の妖霊―軍部の跋扈は忍ぶべし―日支直接交渉の機運来―今後の絶対必要は日支両国の結婚―血盟団事件の大教訓―五・一五事件に対する当局の謬見―五・一五事件の政治的結果―五・一五事件と国民の積極的責任―五・一五事件の大教訓―
大阪に於ける進止事件の一教訓―骸骨が軍艦を操縦しては―強迫観念に脅されつつある日本―この国難襲来を見よ―関東防空大演習を嗤う―評論子一週間の謹慎
Ⅱ 国体明徴より軍勅明徴を 昭和10年
三猿の世界と死の世界―日本が締出を食う原因―広田外相の平和保障―日露戦争三十周年―満州国独立の素因―慎しむべき武勇談―思想動員の成功―非常時だからこそ―穂積対一木の憲法論―事実としての国家―フレデリック大王とルイ第十四世―ファッショ抬頭の機会―
逆戻りしつつある時代―社会主義と政党―運のよい軍人―今日の鎖国主義者―戦争と優種―顚落自由主義―天佑の日本―米国軍部の放言―第二の世界戦争―軍部復出酒張る―無同情的な皇国的精神―用い甲斐ある威力―軍部社会と普通社会―陸軍省内の暗殺事件―正に是一ギャング―
林陸相の辞職―軍備の撤廃―むぐらもち内閣と政党―軍勅明徴問題―軍事予算と民間会社
Ⅲ 皇軍を私兵化した軍部―昭和11年
迎春の辞―ロンドンの霧―文明即戦争史―目ざめたる軍部―予後備軍人の利用―皇軍を私兵化して国民の同情を失った軍部―「有力なるアメリカ」―四面楚歌裡にある日本―軍民離隔―日露再戦は不可能よりも絶望―支那に対する我無外交―考えられない日米戦争―
一応は歓迎すべき広田内閣―国体明徴の再宣言―自主積極的の外交―国力基本の培養―国民生活の安定策―言論自由の再実現―軍粛と軍部国政要望の一元化―寺内陸相に望む―寺内陸相の東京事件報告―東京事件の遠因―東京事件と外国新聞―誤解されつつある自由主義―
満二周年を迎えて―本誌発行の遠因―本誌発行の近因―言いたい事と言わねばならない事と―庶政一新と選挙法改正―日本のポテンシァリティ―広田内閣の暗礁―一般政治の標準―二・二六事件の判決―我身を抓って人の痛さを知れ―満州の労働と資本―行政機構の改革―
軍部のバルンデッセ―軍部の制限選挙―大権事項の私議―反省の必要―危険なりし昭和十一年を送る―無力なる民主主義―神州の危急を知らず
Ⅳ 日支事変の見透しつかず―昭和12年
不安なる昭和十二年―国防の充実と国民の生活安定―日支国交の調整―三百代言的言動―「天地の公道」と我外交―事大主義の本質―浜田国松在焉―広田内閣総辞職―宇垣大将に大命降下―宇垣大将大命拝辞―大命林大将に降下―林内閣の特性―帝国憲法の進化―議会解散の再検討―
議会の形勢―寝て待つべき果報の夢―将来の戦争と日ソの戦争―対支外交出直し―日ソ外交出直し―食逃げ解散―誰か烏の雌雄を知らんや―自己錯誤的な林内閣―国民の受難期―人民あっての国家―住みよい国―議会中心主義―政党の受難期―国防よりも社会問題を―
食逃解散の真相―上層軍部の劣弱性変態―武力と言力―治国平天下の前提要件―「我国独特」の誇―林内閣の辞職と近衛内閣の成立―近衛公の人と為り―近衛内閣の危機―国家の為の国防―日支再戦せば―言論報道の封鎖―公言が許されない秋―善かれ悪かれ我国―
北支事変から日支戦争へ―歴史的に観た戦争―戦争の費用―戦争の利益―最終の勝利は困難―血の予算―日支事変の見透し―露国の参戦―平常通り―将卒の肉弾戦―先憂後楽的愛国―今日の支那軍隊―楽観は禁物―上海方面の戦場―出征兵士遺家族の扶助と国家ボーナス―
支那人は太平の民―当世流行の○○を以て示す―国運を賭するの意味―蔣介石を笑う勿れ―筆禍に付謹告―鼻くえ猿―前途遼遠だ
Ⅴ 天佑に馴れ過ぎた日本―昭和13年
国民精神と軍需工業―国民精神の欠点―どうぞ当局に聴いて下さい―次に来るもの―取らぬ狸の皮算用―戦争成金の頭上に―支那に対する我認識不足―抑も唯の罪か―国家総動員法の通過―日事支変も峠だろう―見透しのきかぬ時局とその結果―軍部の経済統制―買い被られた日本―
戦争時は過ぎて外交時だ―一種の不可抗力―新聞の官報化―日支事変一周年―天佑に馴れ過ぎた日本―長期建設―長期建設に先立つもの―貧乏と空費―あさましい国家とこれに巣くう人間―新聞紙の差押え―騒勇と沈勇―張鼓峯事件―大陸経営の内容如何―反省した政府―
先憂後楽の態度―自を知るに賢明―前号又復発禁―臨時増刊号の発行―文章は私の宗教―記者の敗北―宇垣外相終に辞職―前途不明・不安―フィロゼラと人間―誤時世の大蔵大臣―官僚独善主義―一国一党は独裁政治の始―破壊し終った建設―近衛首相の新声明―長期建設の要件―
外交の本質と機関―非常時は常時となる―国家統制か自己統制か―事前検閲を請う―強権主義、国家主義と間違えられた全体主義―世界大なる日本精神
Ⅵ 始あって終なき日支事変―昭和14年
事変後第二の春―変り栄えしない内閣―未来的なる銃後―消費の未来的性質―社会進化の二大時期―戦争は国家の変態生活―内閣更迭に関する雑感―ファシスト平沼首相―始あって終なき日支事変―大死一番の覚悟も必要―民のかまどは冷たかりけり―消費を統制すれば国が亡びる―
親の心子知らず―愛は世界を支配する―清算期が来たのだ―第二世界戦争ともなれば―国内消費用の日本精神―国策の再検討―物価局開店―支那事変第二周年―日支いずれが勝つか―戦争の結果が日支両国に及ぼす影響―増税即国民精神の総動員―尊重すべき銃後―
打倒英米ソ連演説会―阿部内閣の為に―果報終に来る―この戦争の利用―欧州戦争への我の不介入―条件付天佑―消極的に偉大なる支那―慎重なる彼等―我前途の山と海―奇妙な論法―大道すたれて仁義あり―外務省の共同抵抗―切腹者は一人もなし―興亜奉公日―試験地獄の廃止―
節米の後に来るもの―親独か親英か―近代的戦争の結果―事変処理に最重要なるもの―外相の渡米を望む―民主政治の復活か―日ソ不侵条約―軍人では外交はできない―太陽の光線を見る―議会政治の復活を望む
VII 新体制その名は独裁政治―昭和15年
「八紘一宇」でなく「八紘幾宇」―議会を通して国民の注意を聴け―本誌満七年の学齢を迎えん―毛沢東の揚言―皇紀二千六百年―独善主義の流行―此悲しむべ条件―民を愚にする政治の運命―統制と秩序の区別―此悲しむべき条件(再論)―戦争と政治との区別―事変処理の目標―
国民生活の安定―依然明朗性を欠く議会―独裁主義と議会主義との対立―革新派は革旧派―教育の愛の予算を―議会主義の根本的観念―低物価主義の根本的要因―郷友の自重自愛を望む―長鞭馬腹に及ばず―君子危きに近寄らず―軍需工業盛なる時―憂国の士と愛国の士―
冬枯れつ「わが戦」の真最中―軍需産業の国家管理―戦後招来さるべき世界の新秩序―もう一度戦うがよい―戦後招来さるべき新秩序の条件―長期戦争だ―一国一党の利弊―引ずられるものの惨めさ―第二近衛内閣の意義と価値―頓でもない時代―一億の衆皆愚なり―新体制と言論―
政治優位論の結果―新体制総花主義―建川中将のソ聯大使―万民翼賛の政治―司法権の健在―安井内相の訓示―先手を打つ―戦争後の世界秩序―新体制の徹底化―蒔いた種は刈らねばならない―無視された帝国議会
Ⅷ 超畜生道の地球を去る―昭和16年
戦争第四年の春を迎えて―政府自身の臣道―慢性の咽喉カタル―大政翼賛の真意義―病呻吟―臣道の実践―米国は戦わず―空襲は防ぎ能わない―議会の明朗性―歴史の偶然性―自己冒瀆の思想―自省が必要―重点主義―日ソ中立条約の締結―八紘一宇と天地の公道―無理と道理―
奇々怪々でもない―再検討さるべき新体制―涼しくていいでしょう―適者は未来に適応する―第二の世界戦争―生物学的国家より道徳的国家へ―近衛の小児的声明病―バットルとウァー―事前検閲をとり止める―国民そのものの強化―内閣改造と感情問題―ほんとうの道に出る―
言い残された一のもの―廃刊の辞
解説 軍部攻撃に一貫した桐生悠々―ジャーナリストの抵抗(太田雅夫)