図書センリョウカ ノ ハンザイ ジジョウ000062814

占領下の犯罪事情

サブタイトル1~10
生きることが犯罪だった
編著者名
山岡 明 著
出版者
日新報道
出版年月
1977年(昭和52年)7月
大きさ(縦×横)cm
19×
ページ
245p
ISBN
NDC(分類)
210.76
請求記号
210.76/Y42
保管場所
閉架一般
内容注記
和書
目次

序章 騒然とした混乱の渦中で
一億総犯罪者であった時代
現在のすべては敗戦直後が源流
ロッキード事件もつちかわれた土壌
小平事件は戦後を象徴するといわれるが
最初の犯行は空襲と軍需産業が背景
戦争末期の疎開と買い出しがからむ
切符入手のため駅で行列していて
小平も敗戦のショックか、投げやりに
いまは東京タワーのあるあたりで
これもまた戦争の犠牲の一つの姿
昭和二十三年が頂点の強大な犯罪の波
戦中の凄絶な経験が精神の荒廃を
あぶない、まことにあぶない世の中
荒れに荒れた混乱もやがて落ちつきを
 
第1章 廃墟に横行する拳銃無宿
〽緑の丘の赤い屋根・・・・・・の始まったころ
雨の夜の浜町河岸に銃声とどろく
威嚇射撃にくろい影がもんどりうつ
若い女がボスのピストル一味までいた
市民が銃口にさらされた時代
松島詩子宅に押し入った三人組
いきなり射殺したり駅を襲ったり
夕食中の茶の間に拳銃がヌッと
いたるところで乱射乱撃が演じられた
激増した兇悪犯罪に手をやき警官も武装
白昼の東京駅乗車口で
かっぱらった金でぜいたくの限り
追手に銃声二発をとどろかせて逃走
兇悪犯は初犯者が圧倒的に多かった
大阪生駒山地南麓一帯を不安のどん底に
オート三輪車やタクシーまでも強奪
農村の押しこみにまでピストルが登場
軌道をふみはずした復員兵の一つの例
軍隊の武装解除と同時に民間も
「鉄砲等所持禁止令」も制定公布
網の目をくぐって秘匿していた場合
 
第2章 上野地下道をネグラに
あらゆるものを失って上野地下道へ
一種の無法地帯で犯罪人の巣
タタミの上に<出世>した荒稼ぎ組
朱鞘の短刀を懐にのんだ特攻くずれ
上野駅前外食券食堂でつぎつぎと
ひとたび何かを始めようとすると
つまりは上野地下道へ舞い戻って
集団で行動するのが大きな特徴
浮浪児にスリ教育をしてチャリンコに
大阪にあったスリ養成所の出身者?
被害者をうちのめす暴力スリ団
 
第3章 妖しく乱れ咲いた夜の花
パンパンは手を打ち鳴らすひびきから
性病蔓延に頭を痛めたマッカーサー
第一回狩り込みは大手町企画院あと
<性の防波堤>としてのRAA
眼を血走らせて殺到した占領軍兵士
公娼制度廃止後の売春の土台となる
わずか半年でRAA慰安所は閉鎖
RAAで防ぎきれなかった欲望台風
生きていた「ガード下の女たち」録音盤
象徴としての<ラクチョウお時>
戦災都市の人の流れのはげしい駅周辺
西郷の銅像下にあふれていた女たち
新宿駅前は武蔵野館通りの両側に
パンパンにまじって夜の男たちも
いまの都立台東病院が吉原病院だった
<吉原病院>は何んでも知っている
吉原の女とパンパンは仲が悪かった
無防備で危険きわまりなかった商売
パンパンの墓場は焼け跡の暗闇
被害者の身元もつかめぬ混乱時代
チョコレートやチューインガムが散乱
朝鮮戦争のころがパンパンの最盛期
吉原は焼けビルのムシロ部屋から復興
赤線青線は昭和二十八年ごろを頂点に
舞台で演じられた<お定>や<小平>
動いてはならなかった<額縁ショー>
売春防止法とストリップ・ショーの変貌
 
第4章 酒に酔うことさえ非合法
粕取焼酎ではなくてカストリ焼酎
二重の非合法のうえになりたっていた
特殊な臭いが鼻を衝く海に近い埋立地
迷路のなかの漬物置場風の掘立小屋
カストリ焼酎のほろ苦い味の秘密
殺人酒はカストリではなくメチール酒
眼がちかちかしたあげく七顚八倒して
軍の放出物が横流れした一つの例
静かな山村がたちまち阿鼻叫喚
<メタノール>と書いてあったものまで
酒を飲むのも生命がけ
 
第5章 日常生活も罪を犯さないと
勤め人やその妻が<にわかヤミ屋>に
大集団の買い出し部隊も横行した
コーヒー一杯でも場合によっては
ことに買い出しの女は狙われていた
五年間に百二十数人が犯されていた事件
ベビーブームの裏側の子棄て・子殺し
ニューファミリーや独身貴族世代の暗い影
堕胎罪はなくなったわけではないが
みかん箱につめられていた赤ん坊の死骸
飲食店の飲み食いまでもが非合法に
流行語となった違法行為<裏口営業>
喘ぎ、のたうち、ときには開き直って