憲兵物語
はじめに
1 反骨精神
貧農に生まれて 培われた処世観 不正をただす 年中無休の郵便配達 貧乏人の口減らし 夜逃げを敢行 夜間学校に通う 幸運に恵まれて 神経衰弱でダウン 甲種合格
2 「赤紙」来たる
歓送会をことわる しぼんだ虚勢 龍山へ 絶対服従 モサクレ一等兵 初出動「バンザイ」 斥候役 強行突破 曇る心 借りてきた猫 軍隊制度
3 憲兵として
首席採用 除隊となるも 任憲兵上等兵 二重構造 濫造憲兵への悪評 異例の抜擢 私服組は独立勤務 非常準備金 特ダネをキャッチ 官邸勤務は激務 遅い昇級 武人・植田謙吉大将 連続勤務 二・二六事件の緊急電 小磯司令官の神経痛 私文書を焼却 怪人物の訪問
日中戦争へ 戦争の実態 泥沼の長期戦へ 東京行きを辞退する 家族に別れを 慇懃無礼 「龍山のあほう宮」
4 北支へ
天津駅の弾痕 唐山分隊へ 世界第二の開灤炭鉱 抗日拠点 密貿易品の横行 外交文書を狙うスリ団 通信検閲 大争議の沈静化 喉がカラカラ 列車爆破の定期便 K・R・張の情報網 英国の民心収攪策
5 軍紀の腐敗
戦線拡大の弊害 分隊長にかみつく 森本の考課表 情報とは 阿片・モルヒネ 日本軍に尾行される 絶大な権限 三位一体か癒着か 抵抗の酒 新米憲兵の大立ち回り 聖戦の実相 洋車夫と情報
6 治安工作
豊潤県の再建 主義を通す 五つの課題 住民の苦悩 不関与をつらぬく 夜ごとの定期便 八路軍を撃退 治安の回復 共産党を摘発 識字読本 埋伏工作 組織と化名 再建は軌道に 民主化をはかる 隠匿銃器の登録制 好人不当兵 「前へ、前へ」 前代未聞の憲兵拉致事件
斬奸状と晒し首 カトリック天主堂 中国人の慣習 「支那の五家」 蓄妾制 自然環境農法 泣き男 人種等の鑑別 洗顔法 便所と笑い話 孫文の三民主義
7 「滅共班」創設
乱れた軍紀 物議をかもす 小磯大将との再会 特高班長として トップを逮捕 点線工作委員会 大捕りもの 各自の任務 握りつぶされた調査結果 遁走を諜る 「冀東地区共産党史」 延安の三羽烏
8 「空室清野」作戦
便衣ゲリラに翻弄される 埋没刑 民衆の悲しみ
9 三光作戦
三者入り乱れ エスカレートする討伐 自業自得 不幸をもたらす残虐行為 従軍慰安婦
10 アジア・太平洋戦争
無血接収 メリケン粉の調達 製鉄所の建設 北支初爆撃 特警の急設 敗戦の予感 戦争の全体図
11 敗戦情報
朝まだきの伝令 軍法会議に送致すべし ソ連・中共の動き 無条件降伏 万国旗と祝盃
12 引き揚げ
みごとな手際 秘書を装う 巨額の退職金 金の延べ棒 包囲三ヵ月 接収、引き継ぎ 俘虜収容所 掃共工作への勧誘 物品をはぎ取る 地獄の沙汰も金しだい 引き揚げ船 元の木阿弥 復員、帰郷
あとがき