大田昌秀が説く沖縄戦の深層
はじめに―今こそ語り伝えておきたいこと
Ⅰ章 戦争への道のり
1 沖縄の軍事化の背景
非武の島・沖縄へ日本の軍隊が常駐
「非武の文化」と「威武の文化」
日本、沖縄を組み込んで軍事大国へ驀進
2 皇民化教育の推進と徴兵令の施行
薩摩の琉球侵略と、琉球の中の「日本化」志向
日本化志向、「皇民化教育」に受け継がれる
皇民化教育のありよう
軍国主義精神の注入の仕方
沖縄の指導者たちの「皇民化」への取り組み方
沖縄インテリたちの深い焦燥
徴兵令の施行に見る「国民的同化志向」
一般民衆の徴兵忌避
沖縄出身兵たちの宿命
3 いびつな皇民化教育の結果
川上肇の舌禍事件と沖縄言論人
方言撲滅運動と方言論争
方言撲滅運動の真の問題点
4 皇民化運動の行きつくところ
沖縄連隊区司令官の対沖縄人観
「国防思想」の注入
戦争に不向きな沖縄
5 軍国日本の中の沖縄
時代の荒波は、辺境の地八重山まで波及
まっしぐらに戦時体制へ
強化されるファシズム体制
日中、全面戦争へ
「国家総動員法」が施行される
6 太平洋戦争の勃発と沖縄
日米開戦の前夜
日米開戦、強まるファッショ化
沖縄県会も以上な戦時県会へ踏み出す
Ⅱ章 戦時体制への移行
1 文化施設の軍事目的化
NHK沖縄放送局の開設と崩壊
2 国策への県民の対応
満州への分村計画の推進
巧妙を極めた「南進政策」と沖縄の現実
深刻な物資の欠乏
サイパン・テニアンの玉砕、県民に大ショックを与える
3 戦時下の県政の実態
一〇・一〇空襲の悲惨
日ましに募る生活難
叱咤激励するだけの指導者たち
4 沖縄の人びとの尽忠報国の態様
指導者たちの異常な言行
混乱を極める沖縄社会
Ⅲ章 沖縄戦の経過
1 沖縄守備軍の作戦準備
第三二軍(沖縄守備軍)の創設と初期の役割・兵力
指揮系統の変更と現地と中央の相克
戦略持久作戦へ
2 米軍の上陸作戦と沖縄決戦の実際
米軍の沖縄本島上陸と急激に悪化する戦況
陸・海、作戦での対立と本土決戦の準備
沖縄守備軍、首里を撤退し南部へ
沖縄方面根拠地隊が全滅
3 本土防衛のための「捨て石」作戦
バックナー中将、牛島司令官に降伏勧告状を送る
米軍の心理作戦の効果
バックナー中将の戦死と守備軍首脳の最期
Ⅳ章 沖縄決戦下の住民
1 沖縄戦における米軍政要員と一般住民
米軍の作戦をまったく読めなかった大本営
米軍、徹底的に沖縄の情勢を分析
対住民対策、日本軍と米軍の違い
2 行政当局の対住民施策
軍部言いなりの行政当局
悪化の一途をたどる食糧難
3 地元住民の「集団自決」と「スパイ事件」の要因
食糧難と慶良間の「集団自決」
守備軍の住民への不信感とスパイ疑惑
沖縄人スパイ説はなぜ流布したか
守備軍首脳たちの前歴と守備軍将兵のモラル
県民の献身的な協力も報われず
4 沖縄戦の開始と終結
沖縄戦の開始日は
沖縄戦の終結日は
5 沖縄戦の特質とは何か
無謀極まる戦闘
住民、学生を戦場に投入
6 「捨て石」作戦の非情
中央も現地も分かっていた沖縄の“玉砕”
Ⅴ章 沖縄戦の教訓
1 軍隊とは
軍隊は軍隊を護る
軍隊は非戦闘員を犠牲にする
軍隊は住民を信じない
2 指導者は民衆の信頼を裏切る
国士隊の結成とその役割
国士隊もう一つの任務
戦争は人間を人間でなくしてしまう
3 弱者が一番過酷な運命に陥る
老人、子ども、女性は排除される
戦場で犠牲になった子どもたちの実情
4 沖縄戦最大の教訓
戦争は防がなければならない
5 民衆にとって軍備は無意味である
軍備増強がもたらすもの
過去の教訓をどのように生かしていくか
『沖縄戦の深層』関連=略年表