原爆被爆者三世代の証言
序章
二〇〇九年八月九日、ナガサキ
本書の主たる内容と構成
第一章 なぜ被爆三世代に注目するのか
なぜ私は被爆三世代の聞き取りを始めたのか
被爆の影響の世代間研究の意義
被爆者を取り巻く心理社会的問題―リフトンの知見を中心に
リフトンによる被爆者の五つの心理的問題(心理的特徴)
第二章 インタビューの実施:プロセスと方法
難航を極めたインタビュー対象者の獲得プロセス わが国を霧のように被う「沈黙」の問題 インタビューの実施方法 どんな点に注目しながら各談話を読んでほしいか
第三章 被爆三世代のメッセージ
本章の構成
山野三世代のメッセージ
山野家のクロノロジー
被爆第一世代・山野とよ子(九三歳)―燃えていく母親と助けを求める女の子の記憶
被爆第二世代・山野信雄(五八歳)―健康不安に原爆の影を見る被爆二世
被爆第三世代・原口安子(三一歳)―被爆の問題に強い関心はない多忙な主婦
山野三世代のまとめ(総合解説)「死の不安」から希望の軌跡へ―三世代の絆のなかで 原爆遺構訪問記:爆心地浦上(その一)―浦上天主堂
内田三世代のメッセージ
内田家のクロノロジー
被爆第一世代・内田保信(七二歳)、妻・みきえ(七一歳)―被爆の痛みを世直し活動のエネルギーとする被爆夫婦
被爆第二世代・内田祐(四四歳)―病弱な少年期を乗り越え活動家になった被爆二世
被爆第三世代・内田祐樹(一七歳)―進学校で野球に打ち込む高校生
内田三世代のまとめ(総合解説)被爆の影を持ち前の楽観主義と政治的信条に支えられて振り払おうと努めていた家族 原爆遺構訪問記:爆心地浦上(その二)―原爆落下中心地から平和公園へ
山本三世代のメッセージ
山本家のクロノロジー
被爆第一世代・山本太郎(七四歳)―原子野で聞いた神の声が人生を一変させた被爆者
被爆第二世代・山本一夫(三八歳)―普遍的価値の希望に生きる被爆二世
被爆第三世代・山本ひとみ(一三歳)―祖父と父親の影響を強く受けた早熟な中学生
山本三世代のまとめ(総合解説)被爆第一世代の価値観・倫理観でまとまった三世代
第四章 全体のまとめと提言
あとがき
巻末資料① ホロコースト・サバイバーと三世代研究
巻末資料② これまでなぜ被爆の影響に関する心理社会的研究が少なかったのか
巻末資料③ わが国における被爆者調査に見る心理社会的問題
巻末資料④ 広島投下原爆被害の概要
巻末資料⑤ 長崎投下原爆被害の概要
巻末資料⑥ 被爆三世代への主な質問事項
巻末資料⑦ 最近芽生えてきた被爆地の若者達の平和運動