沖縄戦を生きぬいた人々
まえがき
この本の道案内
第一章 沖縄を知る
一、沖縄という地に漂うもの
沖縄のイメージって?/“島人ぬ宝”を聴いて気づいたこと
二、沖縄戦
沖縄戦を知っていますか?/なぜ沖縄戦が起きたのか/鉄の暴風/沖縄戦の惨状/沖縄戦の終結/私の家族/小学校時代の恩師
第二章 沖縄戦を伝える
一、沖縄戦を体験した人びとと研究をする
沖縄戦を卒業論文のテーマにする/心の中で続く沖縄戦/今、おじぃ・おばぁが求めていること/「つらかったのは私一人じゃなかった」という声
二、おじぃ・おばぁと共に「語らいの場」を地域に創る
七三名集まった/臨床心理士として/「サポート・グループ」が始まる/「参加者と共に創る(共創)」視点で/四つの約束事/こころの安全のために/「今、ここ」の個を大切にする
第三章 「青春を奪われた」若者たちの物語―沖縄戦を生きた一〇代の本当の想い
一、この物語を読む前に
みんなで勝利を/若者たちはなぜ戦場へ
二、語らいの場に集う人びと
地域の様子/話し好きの一一名/学校の先生が多いグループ
三、語らいの準備
皆のニーズを知ろう/各々の戦争体験を語り合い・聴き合いたい/「学徒動員」という共通点
四、生い立ちにふれる
金城さんの生い立ち/山里さんの生い立ち/平良さんの生い立ち/語らいの場での様子
五、当時のことを語り合う
戦地へ旅立つ若者とその家族/沖縄戦当時/「青春を奪われた」/戦場で亡くなった友への手紙/教師としての戦後/八年間の語らいを振り返って
六、この章のおわりに
第四章 「人を殺めたこと」を抱え生きた元兵士の物語―戦世を生きるということ
一、照屋さんの歴史
沖縄戦まで/終戦後
二、照屋さんと共に語り合った人びと
地域の様子/お互いのことを知らない
三、語らいの準備
戦地を訪ねて語り合う/家族の介助が得られて
四、照屋さんの沖縄戦
語らいの場に参加することを迷う/「親子を殺めてしまった」/自分の体験を語るかどうか
五、語らいの中の照屋さん
沈黙を保ちながらいる/元兵士の参加者の言葉に対して/「ガマへ行きたい」
六、ガマでの供養
祈り/心に閉じ込めた想いを語る
七、この章のおわりに
第五章 「戦争に奪われたもの」を取り戻していった女性の物語―六十余年心のお国閉じ込めていた感懐
一、この物語を読む前に
「方言を使う者はスパイとして処分する」
二、ハルさんの歴史
幼い頃のハルさんと家族/沖縄戦が始まって/終戦後
三、語らいの場に集う人びと
ハルさん以外は親しい間柄/「戦争と人生」をテーマに
四、語らいに参加することへの迷いと決断の時期
ハルさんとの出会い/半年後の再開/それからさらに一年後/「語らいに参加したい」
五、人と関わることへのチャレンジの時期
語らいへの始めての参加/参加を重ねていく中で/「自分のことは話さないでいる」ことへの想い
六、体験を語るか語らずにいるかの迷いの時期
これまでの人生を語る/「この人たちは信じられる人たちかもしれない」/『沖縄前戦没者追悼式典』への出席
七、安心して自分自身のことを語る体験と別れ
ガンの診断を受ける/「別れがたい人がいると逝くのは寂しい」/自分自身の戦争体験を語る/逝去
八、この章のおわりに
第六章 その生きざまを通して
一、語りのチカラ
私の追体験/語り直されることが大事/語り合いのチカラ/「自分だけじゃなかった」
二、「家族だからこそ話せない」こともある
妻へ、そして子・孫へ/七〇年越しに交わされる姉弟の想い
三、これまで語らなかった方がなぜ語り始めたのか
共に創る場であったこと/“時熟”/語り終えて亡くなっていく方々を想う
四、遺された人々の想い
「助けてあげられなかった」/「亡くなった人の分まで生きる」/生きていくチカラ
五、沖縄戦の体験者は震災をどう見たのか
東日本大震災/「あの時の沖縄を見ているようだ」
六、変わりゆく想いと変わらない想い
再び、今おじぃ・おばぁが望むことを/見上げる戦闘機に想う/命どぅ宝(命こそ宝)
終章 沖縄の想いを伝える
一、執筆・活動を支えたもの
構想から五年/なぜ活動を続けてきたのか
二、沖縄の想いを伝えることをめぐる葛藤
ニューヨークの地で/平和構築をめざすワークショップ/「矛盾」の島、沖縄
あとがき―心からの感謝を込めて
巻末資料
1 文献
2 沖縄戦体験者の調査研究を通して明らかになったこと