昭和初期政治史の諸相
はじめに
第一章 「長閥」の数値的実態に関する一考察―「二葉会」による長州人陸大入校阻止について―
はじめに
「二葉会」とは
「二葉会」による長州人陸大入校阻止
「長閥」の数値的実態
「長閥打破」というキャッチフレーズ
おわりに
註
第二章 帝国陸軍「革新」志向諸グループと反「長閥」運動―レトリックとしての反「長閥」―
はじめに
「革新」の意味
反「長閥」運動の本質
「木曜会」の結成
「二葉会」から「一夕会」へ
おわりに
註
第三章 第一次大戦後帝国陸軍「革新」幕僚の志向とその施策―〝ファシリテイター〟永田鐡山による「総力戦体制」構築への「国防の国民化」―
はじめに
「危機感」の本質―「持たざる国」の「総力戦体制」構築への対応―
〝ファシリテイター〟としての永田―政・軍・官協調による「国策綜合機関」設立への意志―
永田の反「長閥」運動の真意―「革新」のための反「長閥」というレトリック―
「大正デモクラシー」下の「国防の国民化」―「大衆」の時代の「総力戦体制」構築―
おわりに
註
第四章 林銃十郎内閣成立過程における陸軍部内の権力構造についての一考察―権力下降による幕僚間抗争の激化と複雑化―
はじめに
片倉の広田内閣後継工作
林の陸軍部内の状況認識
林の政治的勝利
陸相選定という権力闘争
おわりに
註
第五章 内務官僚の陸軍中堅幕僚への近接について―「反既成政党」から「政党排除」という逆説へ―
はじめに
官僚と軍人の近接
官僚と軍人との組織的一体化―軍人の行政組織への制度的参入―
政治志向する内務官僚
制度的一体化のなかでのベクトルの違い
おわりに
註
第六章 斉藤内閣期「文官分限令」改正後の官僚の「変容」について―「コンサヴァティヴ・エンヂニィア」から「クリエティヴ・エンヂニィア」へ―
はじめに
「文官分限令」改正前後―官僚と既成政党との関係変化―
官僚の「変容」―「新官僚」から「革新官僚」へ―
「革新官僚」のメンタリティー―「牧民官」意識を超えて―
官僚と軍人の協働―「総力戦体制」構築へのPR戦略―
おわりに―翼賛体制への役割とその限界―
註
第七章 「国家社会主義者」高畠素之と「革新官僚」―実践的継承者としての「クリエティヴ・エンヂニィア」の役割とその限界―
はじめに
「シニカル&プラグマティック・リアリスト」高畠素之―キリスト教的「原罪的人間悪」の否定―
高畠素之の国家観―「マルクス主義」的国家観の止揚―
「革新官僚」のメンタリティと高畠素之の思想―合目的的な思想と異目的の同一手段―
「非常時」における官僚主導の「国家社会主義」的政策―「国策綜合機関」の意義とその限界―
おわりに
註
第八章 「東亜協同体」論と『解剖時代』の同人たち―「神話」として終わった思想の「歴史的必然」とその使命―
はじめに
「東亜協同体」論の思想的性格―「事変」長期化による理論の変質―
「神話」としての「東亜協同体」論―見果てぬ永劫を展望した思想―
「東亜協同体」論と近衛文麿―〝聖なる牛〟から〝生贄の山羊〟へ―
〝欺瞞の論理〟としての「東亜協同体」論―一方的な「政冷経熱」の日支関係―
おわりに
註
補章 天皇陛下と自衛隊―「國體」と今日的問題としての「統帥権」―
はじめに
軍の本質と「統帥権」―絶對的なものではなかつた「統帥権」―
官僚組織としての帝國陸軍―上司と下僚の〝甘への構造〟―
「統帥権」と「文民統制」―「天皇陛下の軍隊」の必要性―
おわりに
註