女子プロレスラー小畑千代
第1章 1968年11月6日、蔵前国技館―史上初、女子プロレスのテレビ放映
蔵前国技館への道/控室にまで響く歓声/バケツ攻撃に沸く観客/ついにこの時が来た/四五分の三本勝負/試合の反響/埋もれた女子プロレスの歴史/『緋牡丹博徒』と闘う女/東京12チャンネル運動部長、白石剛達/レギュラー放映の開始/かなえられた二つの願い/
「未知への挑戦」/「プロレスラーだからリングの上では歌えない」/突然の放映打ち切り/白石の約束
第2章 戦後復興と共に―生い立ちからデビューまで
隅田川のたもとに生まれて/群馬での疎開生活/大空襲を生き延びた一家/小さい頃から運動会の主役/プロレスとの出会い/ミイラ取りがミイラに/畳のリングで受け身の練習/限界を身体で覚える/高度成長と共に始まった女子プロレス/「健康で、健全な娯楽」/
得意技はロメロスペシャル/「たかが女の」というならやってやろう/ただ一度の恋
第3章 旅から旅へ―地方巡業で見た日本
東京女子プロレスの解散/ヤジを飛ばした客と「対決」/観客に見せて、そして勝つ/旭川のおにぎり/ここで会ったが百年目/木下との決別、インディペンデントの活動へ/噴水のように噴き出す血/ひばりの誕生パーティで試合/田舎のラブホテル体験/まだら模様の日本
第4章 命の限界を出し切って―盟友、佐倉輝美
「お前にぴったりの仕事がある」/強くなりたい、上手になりたい/右手の薬指がない!/女を売っているんじゃない、スポーツで技を見せている/女子はセミファイナル止まり/「バケツガール」誕生/巡業中の迷子事件/もっともっと、ずっとプロレスをやっていたい/
命の限界を出しきって生きる
第5章 韓国、沖縄、ハワイ―知られざる興業
一九六三年六月、板門店近辺/風雲急の国交正常化前夜/日本、殺せ!/休戦ラインから北朝鮮を見る/韓国側の対戦相手、玉京子/国のためにプロレスを始めた/得意技はエアプレーンスピン/国策としてのスポーツ利用/「復帰」前の沖縄で興業/白山丸に乗って/
大物やくざ藤田卯一郎も沖縄に同行/韓国、沖縄、そしてハワイへ/一九六五年、ハワイでの夢の生活
第6章 プロレスに青春を賭けて―後輩・千草京子
「男よりすごいじゃん」/ジェンダーの固定観念を覆した女子プロレスラー/雑誌で見つけた女子プロレスラー募集広告/黄色い電車に揺られて/四谷の合宿所/新潟での興行でデビュー/イメージカラーは赤/東南アジアツアー中に見た浅間山荘中継/歯が二本、リングに落ちていた
/輝ける日々
第7章 わが街、浅草―夢と思い出と
東京随一の盛り場、浅草/「怠慢な商売」が「バカはやり」/派手に稼ぎ、派手に使い/芸者衆のたまり場に/「箱屋さん」の見た浅草/ズベ公のけんかの立会人/やくざが生きられる時代/生き方としての任侠/街の用心棒/「女の館」の夢
第8章 引退はしていない―野心的で自由な女の人生
再びテレビに登場/男子選手の女子への偏見/レフェリー出身、KYワカマツ/面白いプロレスの試合とは何か/観客と選手とレフェリーの一体感/一九七六年、国際の女子プロレス放映終了/あと一歩が踏み切れなかった団体立ち上げ/生まれ変わってもプロレスラーになりたい/
野心的で自由な女の人生
第9章 日本の女子プロレスとは何だったか―「闘う女」の歴史
女子プロレス初上陸/全日本女子プロレス会長、松永高司/マッハ文朱の登場/一世を風靡したビューティ・ペア/全女の「二五歳定年制」/全女の全盛期を知る小川宏/タイトルマッチの記録もない/自己主張を始めたら、全女的にはいらない人/松永一家にとってプロレスは飯の種
/一流の選手の条件/携帯があれば興行ができる時代/全女初の外人レスラー、メドゥーサ/「日本に来たくありませんか?」/「メドゥーサ流」を米国で展開/総合格闘技女子世界ランキング一位、藤井惠/日本の女子プロレスを体現する存在
エピローグ
参考文献
謝辞