昭和解体
序章 日本の鉄道でいちばん長い日
第一章 田中角栄と細井宗一
順法闘争/「五万人合理化計画」をめぐる死闘/機関士のプライド/現場闘争のバイブル「黒表紙」をつくった細井宗一という男/「田中君いますか。細井という者ですが」/労組のスター富塚三夫/〝国鉄官僚のプリンス〟磯崎叡/二年半ぶりの決着
第二章 磯崎総裁の「マル生運動」と国労の反撃
「生産性向上運動」から「マル生へ」/狂気の嵐/「マル生」の現場/国労・富塚と職員局長・真鍋の料亭会談/「座して死を待つより、起って反撃を」/「正義感の強い」毎日新聞記者・内藤国夫/ダメ押し「水戸の〝盗聴テープ〟」/国労「勝利の追撃ラッパ」
第三章 政府・自民党VS.国鉄労使
「世間を欺く」労使の蜜月/「日本列島改造論」田中角栄の首相就任/電車に放火、駅舎へ乱入―乗客の反乱/第七代総裁に「トンネル松」/田中退陣と三木内閣の成立/「スト権奪還は射程距離に入った」/「リベラルな言論人」加藤寛の〝裏切り〟/空前の空振り/「二〇二億円の損害賠償」
第四章 走り始めた国鉄解体
〝持参金付き〟の国鉄総裁/そのとき現場ではなにが起きていたのか/「病める巨象」国鉄/借金地獄が突き付けた「後のない経営改善計画」/迷走する政局で膨れ上がり始めた赤字国債/「メザシ」の土光敏夫と「不毛地帯」の瀬島龍三/
第五章 運輸族・三塚博の秘密事務局員
井手、松田、葛西の出会い/「三人組」が暴露した国鉄の恥部/運輸族・加藤六月の「弟分」/抜き打ち現場視察/屋山の「国鉄労使国賊論」と加藤の「国鉄解体すべし」/入口論VS.出口論/同床異夢
第六章 中曽根「風見鶏内閣」誕生
三条委員会か八条委員会か/政治倫理の確立を捨てた〝ヤクザ政権〟の狙い/「被爆者手帳」を肌身離さなかった亀井正夫のサラリーマン人生/「監理委員会に資料を渡すな」/「お前ら、加藤六月の手下ではないか」/太田職員局長の「撃ち方止め」宣言/〝鬼の動労〟の「華麗なる変身」/コンクリートで土木学会会長に登り詰めた総裁
第七章 国体護持派と改革派の暗闘
中曽根大敗北で台頭する国鉄の〝事務次官〟/ひっくり返された総裁発言/〝裏切り者〟三塚の自宅に脅迫状/「雇用安定協約」破棄を通告/組合側のサバイバルゲーム/「将軍たちだけの作戦会議」/井手正敬の追放/若手改革派の決起
第八章 改革派、絶対絶命
〝秘密警察〟「秋山機関」/中曽根首相の「けじめ発言」/「葛西は格子なき牢獄入り」/サラリーマン二〇人の「連判状」/電撃解任/録音された〝面従腹背〟発言/「井手、お前はここで辞表を書け」/国鉄総裁の「殴打事件」/報復人事ならぬ〝匍匐前進人事〟
第九章 最後の主戦場
最終答申/「三人組」の完全復活/〝天王山〟余剰人員対策/松崎明の動労本部委員長就任/国労との「雇用安定協約」破棄/三塚博の運輸相就任/異例の「労使共同宣言」/鉄労・動労の〝歴史的和解〟/二万人の大異動/国鉄改革法「二十三条」のマジック
第一〇章 「猛き者ついに滅びぬ」
〝死んだふり解散〟/橋本龍太郎の運輸大臣就任/「国鉄のアウシュビッツ」人材活用センター/〝最後の一手〟「第二次労使共同宣言」/「動労の指導部は依然として革マルだ」/白紙委任状の迷走/破局「修善寺臨時大会」
終章 国鉄落城―新時代への出発
国鉄改革八法の成立/松崎明からの頼まれごと/新会社の「採用不適格基準」/「アッと驚く逆転人事」―杉浦総裁と三人組の処遇/JR労組同士の暗闘「志摩事件」/五五年体制の終焉
あとがき
国鉄の労働組合の組織変遷図
国鉄年表(昭和20年~平成元年)
主要引用・参考文献