忘れられた人類学者(ジャパノロジスト)
- サブタイトル
- エンブリー夫妻が見た「日本の村」
- 編著者名
- 田中 一彦 著
- 出版者
- 忘羊社
- 出版年月
- 2017年(平成29年)3月
- 大きさ(縦×横)cm
- 19×
- ページ
- 319p:挿図,地図,肖像
- ISBN
- 9784907902162
- NDC(分類)
- 361.76
- 請求記号
- 361.76/Ta84
- 保管場所
- 閉架一般
- 内容注記
- エンブリー夫妻の肖像あり
- 昭和館デジタルアーカイブ
プロローグ 忘れられた人類学者(ジャパノロジスト)
第一章 稲作の理想郷
満ち足りた〝ムラ〟/浸透する貨幣経済 軍靴の音/「機械時代」の影響
第二章 導かれた二人
少年期の日本体験/ロシアから来日したエラ一家 船上のロマンス/二十二カ所に上った候補地 「最良の友人」愛甲慶寿家(けいすけ)との出会い/「私は、日本に帰ることを熱望していた」 「村人たちはなんらの疑惑ももたなかったが、真の意図を疑う官憲もいた」
遺された「タイムカプセル」/調査を支えた若き日本人助手
第三章 「はじあい」のムラ
文化の基底としての「協同」/「はじあい」の語源 「部落生活の特色は協同活動と贈り物のやりとりである」 組―当番制の自治システム/ぬしどり―甲斐甲斐しき世話役 「講(こう)」という互助システム 「田植えはつらい仕事なので、冗談をいったり、
卑猥な話をして救われる」 「かったり」は強制だったか/「橋が流されるたび、部落は結ばれていく」 ある子どもの遭難/村に満ち溢れる「贈答」/仮のお返し「おうつり」
第四章 奔放な女たち
赤裸々な性/慎みと粗野/「私たちばアメリカに行かせて」 羞恥心の彼我/「ジョンを貸してくれないか」 「みんなが酔っぱらって、踊りまくり、下品な歌のない宴会は、ほとんどない」
第五章 イエと家族の生活誌
協同の基本単位は「世帯」/養子縁組と〝いとこ婚〟 「家は、単に風水をしのぐ以上のものである」/家と部落への誠実 エラ、お産に立ち会えず/寛大すぎる子育て 「ここの母親たちは無限の忍耐を持っている」 「田舎の学校に落第というものはない」/隣り合わせの病と死
試験結婚(三日加勢)という風習/隠居後の人生
第六章 女の一生
「女の子たちは、妊娠や月経についてほとんどなにも教えられていない」 授乳とトイレット・トレーニング 「女たちが運んでいる荷物の重さには、ただ驚嘆するばかりである」 「夜這(よば)いを拒絶することも受け入れることも女の選択のままであった」 ある少女の恋文
「かつて、花嫁の純潔は重要なこととはみなされていなかった」 「若い女性は結婚を拒否することができたし、再婚はきわめて普通のことである」 芸者遊びと性病/「彼女たちは、少額の金を稼ぐことを誇りに思っている」 「ここの女たちはしばしば、夫とは別の男ば持っとる」
「未亡人は特別な地位をもっている」/おおらかな性愛 「たんなる犠牲者ではなかった」
第七章 巡る自然と暮らし
旧暦と新暦のはざまで/「東の国」の自然観 「どんな小さな儀式でも、しめくくりに酒が出る」 塩辛すぎた郷土食/百を超える民謡を収集・英訳 「神々に対して、彼女たちはなまんだという」 「農民の日常生活にとって重要なのは、家庭や道端の神々と祈祷師である」
祈祷師と犬神持ち
第八章 ムラの光と影
夫婦が愛した「山の部落」 「教育のある者のほとんどすべてが、村を離れる方法を探していた」 嘲笑という名の制裁/仲介の原理/「不適合者」とムラ
第九章 変わりゆくもの、変わらないもの
須恵にもたらされた「予期せぬ変化」/機械時代の犠牲者―愛甲慶寿家(けいすけ)の死 日本の近代化はどのように浸透したか/エラの見た戦後日本 「古い苦痛は新しいものに取り替えられた」
第十章 対日政策との葛藤
ハワイ大、トロント大を経て特務機関を歴任/日本人への異端視に異議 GHQのポストを固辞/ゴーラー、ベネディクトの〝自民族中心主義〟への批判 「アメリカの占領政策は日本の民主化を遅らせるだろう」 『須恵村』が農地改革に影響
エピローグ 須恵村はいま
『須恵村』はなぜ忘れられたのか/『菊と刀』への批判 「エンブリーさん」の記憶/「はじあい」と「かちゃあ」は健在 年に五十回以上の祭りが存続/「はじあい」を支える女たち お裾分けという「はじあい」 「ふるさとづくりは、経済開発偏重に対する反動なのだ」
資料編 須恵村の年中行事と祭り
おわりに
資料の利用については4階 図書室のご利用にあたってをご覧ください。
- 担当:
- 図書情報部 図書係
- 電話番号:
- 03-3222-2573
- FAX:
- 03-3222-2626