唱歌・童歌・寮歌

はしがき

序論　唱歌の意義

第一章　唱歌・童謡と国語教育
はじめに
（一）感動体験と言語感覚
（二）音楽科での歌詞の意味の教育
（三）国語科での文語文の教育
（四）国語教育における歌詞の解釈と表現分析
（五）詩たる文語唱歌を学ぶ

第二章　言葉と表現の分析
一　唱歌
はじめに
（一）文語調の文法的分析
（二）比喩表現
（三）修辞的技法
（四）命令形による表現
（五）語句の引用
（六）体言中心と用言中心
（七）和語と漢語
（八）表現の問題点
（九）構成の整った長編物語
二　童謡
はじめに
（一）「です・ます」による語りかけと問ひかけ
（二）命令形の意味
（三）日常の口語・俗語
（四）「お」の多用
（五）文語・文語調の効果
（六）擬声語・擬態語
（七）頭韻・脚韻・序詞
三　わらべうた
はじめに
（一）物語を語り、延べる
（二）問ひと答へによる組立て
（三）会話体と敬体
（四）命令表現と疑問表現
（五）歌ひ出し・長音・擬音語
（六）同語の反復と対句
（七）脚韻・尻取り・頭韻
（八）指示語・係助詞「は」

第三章　歌詞の改変と誤解
一　言語の改作と変化
はじめに
（一）時代の変化による改作
（二）文語体から口語体へ改作
（三）民主化と平易化
（四）戦時色の払拭と戦後の幼児化
（五）節ごとの改作と削除
（六）語法をめぐる問題
（七）語句をめぐる問題
（八）漢字の読み方
（九）清音と濁音
（十）発音の変化と仮名遣
二　言葉の誤解と難語
（一）国語における誤解
（二）同音で意味が異なる語
（三）別の語に誤解
（四）語の切り方の誤り
（五）難しい語句・語法

第四章　童謡・わらべうた評釈
はじめに
一　赤とんぼ
（一）作者と作品
（二）第一連
（三）第二連
（四）第三連・「お里のたより」の意味
（五）第四連
（六）構想と主題
（七）そのほかの問題
二　七つの子
（一）作者と作品
（二）第一連・「七つの子」の意味
（三）第二連
（四）第三連
（五）構想と主題
三　雪やこんこ
（一）作者と作品
（二）「こんこ」の考証と解釈
（三）源流と伝播
（四）原形の考察
（五）命令形の類推による造語
（六）体言に転化
四　背くらべ
（一）作者と作品
（二）第一連・「紐のたけ」の意味
（三）第二連
（四）構想と主題
五　ちいさい秋みつけた
（一）歌詞の表現論・文法論的な解釈
（二）視点と抗争の問題点
六　かごめかごめ
（一）起源と成立
（二）解釈の基礎
（三）語句の考証と解釈―「かごめ」とは何か
（四）通釈と主意
（五）「籠の中の鳥」の解釈
七　通りゃんせ
（一）起源と成立
（二）解釈の基礎
（三）語句の考証と解釈―天神信仰と寺子屋教育
（四）通釈と主意
八　ずいずいずっころばし
（一）起源と成立
（二）解釈の通説と意味不明説
（三）通説への疑問と反対説
（四）語句の考証と解釈
（五）類歌による検証
（六）主意と消長
九　花いちもんめ
（一）類歌の語句の考証と解釈
（二）「花いちもんめ」の句の象徴的意味

第五章　寮歌の言葉・表現と成立・流布
一　旧制高校寮歌の言葉と表現
はじめに
（一）寮名・丘への憧れ・校風語
（二）音数律・文体・語脈
（三）新体詩の影響
（四）詠嘆調の語法
（五）古典作品の影響
（六）先行の寮歌の影響
（七）語彙と振仮名
（八）表現の内容と志向
（九）歌詞の文法的考察
（十）歌詞の改変と誤解
（十一）三高寮歌の歌詞の改変と誤解
（十二）準寮歌の歌詞の改変　をはりに
二　「戦はんかな時至る」（一高応援歌）の成立と流布
（一）曲の成立と流布（前史）
（二）詞句の独立から流布へ
（三）昭和戦後への継承
三　一高寮歌「紫淡く」と三高「月見草」と宮沢賢治「黎明行進歌」
（一）一高寮歌「紫淡く」（明４１）の成立
（二）「紫淡く」の流布
（三）宮沢賢治の借りた曲
（四）岩手県内の校歌・応援歌と寮歌との関はり
（五）三高「月見草」のその後の流布
四　三高「行春哀歌」の成立と源流
（一）大捷軍歌「海城の逆撃」（明２８）
（二）一高寮歌「思へば遠し」（明３２）
（三）与謝野鉄幹「人を恋ふる歌」（明３２～３４）
（四）島崎藤村「酔歌」（明３０）
（五）三高「行春哀歌」（大２～４）
（六）一高寮歌との関連
（七）「行春」の意味と読み

第六章　唱歌と現代文学
はじめに
一　唱歌の教育と異義
（一）唱歌と学校教育
（二）文学史・国語史上における唱歌
（三）人生唱歌としての意義
二　文学作品に見られる唱歌の風景と精神
（一）明治・大正の皇室と唱歌
（二）唱歌の教育の事始め
（三）小泉八雲―日本への同化
（四）さまざまな唱歌体験①
（五）夏目漱石―家庭の子供風景
（六）樋口一葉―子供の日常生活
（七）国木田独歩―理想を求めて
（八）さまざまな唱歌体験②
（九）小川未明―女教師・女生徒への想ひ
（十）島崎藤村―童話との結びつき
（十一）さまざまな唱歌体験③
（十二）沼波瓊音―追想とともに
（十三）寺田寅彦―悲哀を慰める
（十四）安倍能成―生ひ立ちを通して
（十五）さまざまな唱歌体験④
（十六）中勘助―人生を見つめる
（十七）石川啄木―子供らしさをまもる
（十八）萩原朔太郎―日本への回帰と軍歌論
（十九）さまざまな唱歌体験⑤
（二十）水上滝太郎―受止める感情の違ひ
（二十一）三木露風―童謡的唱歌のこころ
（二十二）室生犀星―女の先生への憧れ
（二十三）内田百閒―汽車旅と生活とともにあり
（二十四）さまざまな唱歌体験⑥
（二十五）日夏耿之介―年齢とともに深める感性
（二十六）佐藤春夫―少年の心意気
（二十七）さまざまな唱歌体験⑦
（二十八）森銑三―学問と生き方に通じる生涯の情熱
（二十九）宮沢賢治―創作と生活の中で
（三十）尾崎士郎―唱歌劇場として
（三十一）川端康成―少女小説の世界
（三十二）石坂洋次郎―青春小説の世界
（三十三）さまざまな唱歌体験⑧
（三十四）岡潔―日本人の情緒と生き方
（三十五）外村繁―私小説の精神的基底
（三十六）上林暁―私小説の背景
（三十七）さまざまな唱歌体験⑨
（三十八）林芙美子―放浪と行動の人生への投影
（三十九）永井龍男―短編小説に光る人情の機微
（四十）さまざまな唱歌体験⑩
（四十一）岩下俊作―唱歌に守られて命終
（四十二）さまざまな唱歌体験⑪
（四十三）太宰治―励みと慰めと安らぎ
（四十四）井上靖―少年の成長とともに
（四十五）さまざまな唱歌体験⑫
（四十六）短歌における唱歌の世界
（四十七）詩における唱歌の世界
三　唱歌の描き方と受入れ方
（一）作者の生れ年と唱歌教科書の普及度
（二）唱歌の頻度数
（三）唱歌の場面
（四）唱歌受容の精神史
（五）言語表現との関連
（六）唱歌文化への展望

本書収載の既発表論文一覧