全体主義と闘った男河合栄治郎
序章
〝進歩的大衆人〟が日本を漂流させる
第一章 理想主義と反骨精神
江戸っ子、栄治郎の登場
蘇峰リアリズムへの傾斜
嗚呼玉杯に花受けて
「夕の鐘の音」の対置法
煩悩と闘う「赤城山日記」
蘆花の「謀反論」とは何か
マルクス主義との遭遇
第二章 孤軍奮闘の農商務省時代
心揺さぶる女工哀史
朝日社主への道を蹴る
河合式「配偶者の選定法」
官に就くに際して
自由の国からの先制
書を捨て街に出でよ
ハザノウィッチと出会う
〝実行家〟になる決意
官僚国家主義との闘い
第三章 帝大経済学部の「白熱教室」
官を辞するに際して
在野ジャーナリズムを断念
森戸事件とその余波
教壇へ…波乱の幕開け
うるわしき日々があった
河合助教授の〝白熱教室〟
「思想の自由」への葛藤
第四章 二年八カ月の欧州留学
うるわしの英国留学
日韓併合は不法なのか
英国自由主義への確信
労働党が政権を握った
マルクス学に決着つける
シュンペーター招聘逃す
第五章 「左の全体主義」との対決
マルキシズムが開化する
学部分裂の暗雲広がる
「左の全体主義」との闘い
「言論の自由」への闘い
森戸との「大学顛落」論争
「リベラリスト・ミリタント」
マルキシズムとは何か
第六章 ファシズムに命がけの応戦
満州事変のリアリズム
「門前の虎」を退治する
「後門の狼」がやってきた
日独でファシズムの台頭
自由の外堀が埋められた
軍部批判の前線に立つ
河合が論壇を席巻した
国家主義に啖呵切る
第七章 正面から放った軍部批判の矢
怒りの「二・二六事件」批判
反動教授から憧れへ
昭和教養主義のバイブル
河合経済学部長の光と影
「迫りつつある戦争」予測
「左派教授を一掃せよ」
英国型議会主義に期待
帝国の崩壊を予言する
第八章 名著『学生に与う』誕生
『ファッシズム批判』発禁処分
道義なき平賀粛学
別れても又一路や花の山
法廷へ、「天我を捨てず」
嵐の底に啼きやまぬ自由主義
第九章 戦後を見通した「有罪願望」
国法に従うソクラテスの法廷
戦時下で「司法の独立」守る
〝日本国民に告ぐ〟
「マルクス体系」への挑戦
「戦闘的自由主義者」の最期
終章 戦闘的自由主義者の水脈
自由の殉教者を惜しむ
「革新幻想」に挑む自由主義
米占領下に「新憲法」批判
進歩的文化人の批判勢力として
祖国愛を語った瞬間
「秩序よりも正義」というレトリック
「中立幻想」に踊っていた
〝丸山教信者〟のたそがれ
空想的平和論の破綻
英雄的な思想家の素顔
独立自存の道義国家めざす
あとがき
■河合栄治郎年譜
■参考文献