総力戦のなかの日本政治
総力戦のなかの日本政治をどう描くか-プロローグ
昭和戦時期はどのように書かれたか
戦後世代による叙述
激しく展開されたファシズムをめぐる論争
総力戦をめぐるパラダイムの変化
本書の視点に関わって
執筆にあたっての若干のおことわり
一 日中全面戦争の開始
1 盧溝橋事件から「対手トセズ」声明まで
華北分離工作と抗日
林銑十郎内閣誕生と対中外交
「反ファッショ」の声
盧溝橋事件の勃発
上海の戦火と政府声明
拡大する戦線と大本営の設置
「ああこれが皇軍か」-南京事件
ドイツを仲介した和平工作
「対手とせず」以後の戦局
武漢三鎮および広東の攻略
2 総動員体制のなかの政治と社会
総動員の開始
国家総動員法制定前後
憲法学者黒田覚の総動員法合憲論
日中戦争開始後の社会大衆党の戦争協力
対中開戦と国民
二 泥沼化する中国戦線
1 東亜新秩序声明と汪兆銘工作
近衛内閣改造と宇垣外交
汪兆銘工作の開始と東亜新秩序声明
汪兆銘国民政府の誕生
その後の中国戦線とノモンハン事件
イギリス・アメリカとの関係悪化
日独伊防共協定強化問題
2 戦争長期化と政治構造の変容
近衛新党問題と政界の動き
既成政党の流動化
東亜協同体論の展開
政治学者矢部貞治の思想と行動
3 「銃後」の社会
戦争を実感する国民
社会事業から厚生事業へ
戦争と消費の拡大
物資不足と本格的な統制経済の始まり
斎藤隆夫による事変処理方針の批判
三 世界大戦の勃発と日本政治の再編
1 ヨーロッパ戦線と日本の南方進出
ヨーロッパ情勢と日本の南進
北部仏印進駐と対蘭印交渉
日独伊三国同盟の締結
2 近衛新体制と大政翼賛会
新体制構想とは何か
矢部の唱える新しい政治体制
大政翼賛会の結成
翼賛会をめぐる憲法問題
翼賛会違憲論への反論
経済新体制をめぐる対立
新体制運動の挫折
新体制をめぐる抗争の政治史的意味
近衛新体制と「違憲」
政治的対立の説明
3 翼賛体制下の社会統合
内務省を主体とした国民の組織化
町内会・部落会の整備
選挙法改正問題と政治対立
四 日米開戦
1 ゾルゲ事件と日米交渉
リヒャルト・ゾルゲの情報収集活動
独ソ戦の開始と日本
北進か、南進か
南部仏印進駐
尾崎秀実の求めたもの
日米交渉の展開
帝国国策遂行要領の決定
東条英機内閣の成立
一一月五日の帝国国策遂行要領
ハル・ノート
2 対米英開戦と翼賛選挙
一二月八日
南方での作戦の展開
対米英開戦と国民
緒戦の勝利
石油を求めて
戦争目的は何か
翼賛選挙の諸問題
戦争開始と国民生活
ミッドウェー海戦での敗北
五 「大東亜共栄圏」の実態と戦争のなかの国民
1 太平洋とアジアでの戦争
ガダルカナル島の攻防
「絶対国防圏」と諸地域への協力要請
大東亜会議と大東亜共同宣言
大東亜共同宣言をめぐる対立点
物資供給地としての大東亜共栄圏
植民地・占領地支配の強化
労働力動員と慰安婦の問題
独立運動と日本への抵抗運動
アジア・太平洋戦争期の中国戦線
蒋介石政府・汪兆銘政府への対応
戦争末期の中国戦線
新しい世界秩序の構想
2 戦争末期の政治と国民
東条政権の展開
強権政治への反発と反対勢力への弾圧
東条への権力の集中
マリアナ失陥と戦局
戦時経済の内側からの崩壊
東条内閣退陣と小磯内閣の誕生
インパール作戦の失敗とフィリピン戦
戦争末期の国民生活
生活のなかで、戦争といかに関わるか
空襲の激化と決戦体制
戦争と文化をめぐって
アメリカとは何であったか
六 大日本帝国の崩壊と戦後の出発
1 敗戦
近衛上奏文
社会の変化を肯定するか、否定するか
沖縄戦
本土決戦と国家体制
最後の和平工作
ポツダム宣言の発表からソ連参戦まで
ポツダム宣言の受諾
戦争がのこしたもの
2 総力戦のなかの政治から戦後政治へ
総力戦のなかの日本政治の性格
戦時・戦後の連続と断絶をめぐって
戦後政治の出発
吉田政治の復活
五五年体制への道
総力戦の時代とは何であったか-エピローグ
矢部の政治構想の戦前・戦後
総力戦の時代は逸脱なのか
参考文献
略年表
あとがき