海馬島脱出
はじめに
序章 失われた島
日本海に浮かぶ離島/アイヌが伝える「神の島」/日本領有時代の平穏/ソ連軍侵攻で全島脱出
第1章 ある引き揚げ(高橋フサ子)
愛媛山中から樺太へ一家で移住/気主は海と山の村/景色に惚れた/豊かな海の幸、陸の幸/海馬島の四季/ロシアの軍艦が来た/遺体浮かぶ海を渡って
第2章 宝の島の子どもたち―一区〔鴎沢〕
眺めは最高、住みやすかった(成田秀男)
戦後になって聞いた話なんだが(吉田礼三)
在郷軍人が子どもを訓練(木村豊美)
みんなで玉砕すると爆弾造り(木村健司)
泡を食って逃げてきたんだ(佐藤和夫)
タラやソイが釣れ、懐かしい(加路静雄)
父母は水産加工場をやっていた(吉田萬喜子)
祖父に海馬島の話をよく聞いた(山崎照弥)
景色のいいところだった(山崎美好)
樺太引き揚げ者に尽くす(佐藤喜市郎の妻・みよ)
第3章 港があった村の中心部―二区〔南古丹・北古丹〕
話したいことがいっぱいあるんだ(前田直)
みんなで自決しようと壕へ(木村はるみ)
そうは覚えていないんだ(山岸芳美)
陸に上がってもめまい(今野邦)
懐かしいけど行く気はしないね(嶋田富士子)
お茶碗を放り出しタコを獲りに(小甲フミ)
第4章 取り残された集落―三区〔泊皿〕
トドシマゲンゲを見に行った(若松慶子)
怖かったことしか覚えていない(若松司)
隠された娘さんたち(村上かよ)
真っ黒な空、恐怖の海(三引良一)
朝日、夕日がきれいだった(松岡達子)
遺された二十二枚の絵と日記(福原実)
第5章 故郷を遠く離れて
『五色の虹よ』を出版(箕浦ヒナ子)
ふるさとはありがたきかな(清水洋紅)
「喜びも悲しみの幾歳月」の家族(西原澪子)
自家製練りウニのおいしかったこと(佐藤芳雄)
終章 そして誰もいなくなった
村の歴史が消えて行く前に/歌声が響く、のどかな漁村/「終戦」後、生死の淵に立つ/密航監視所となった海馬島/実態と食い違う公的記録/九月に集中した密航脱出/失われた豊かさに気づく
おわりに
主な参考文献
関連略年表
写真・図版提供者・協力者一覧