「大東亜共栄圏」の形成過程とその構造
序章 「大東亜共栄圏」という曖昧さ
一 軍指示研究からの疑問―本書の課題と背景―
二 占領地軍政とは何か
三 本研究の目的と分析手法
四 考察する地域と焦点
五 活用した主な史料について
六 本書の構成
七 「先の大戦」の名称について
註
第一章 日本陸軍占領地軍政の史的展開―明治建軍から日中戦争まで―
はじめに
一 占領地軍政の受容
二 第一次世界大戦と総力戦
三 違法戦争観と「満洲占領地行政の研究」
四 満州事変と政軍対立
五 日中戦争と省部対立
おわりに
註
第二章 「大東亜戦争」改選期における「大東亜共栄圏」―戦争目的、作戦計画そして占領政策―
問題の所在と背景
一 作戦開始時における中央の構想
(一)「大東亜戦争」に関する目的論争
(二)「対米英蘭蔣戦争終末促進ニ関スル腹案」と「南方作戦計画」及び占領地軍政構想
(三)東京中央の混乱
二 現地軍の行動
(一)フィリピン
(ア)開戦期におけるフィリピンに対する中央の構想
(イ)「比島侵攻作戦」構想と問題点
(ウ)第十四軍のマニラ港攻略優先
(エ)陸軍の対フィリピン認識
(オ)第十四軍司令部の状況判断
(カ)対米離反戦略の破綻
(二)ビルマ
(ア)開戦期における中央の構想とビルマに対する政戦略
(イ)「ビルマ工作」とその進展
(ウ)ビルマ処理と「ビルマ独立工作」
(エ)「ビルマ侵攻作戦」への大本営の態度
(オ)「第一次杉山上奏」と「第一次東条声明」
(三)フィリピン軍政がビルマの軍事作戦に及ぼした影響
まとめ
註
第三章 「今後採ルベキ戦争指導ノ大綱」(第一次)と「南方占領地建設方針」―作戦構想と占領政策の収斂―
問題の所在と背景
一 「一次大綱」と「南方占領地建設方針」
(一)「検討一五項目」と「一次大綱」
(二)大東亜建設審議会、国策研究会と「南方占領地建設方針」
二 現地軍の反応
(一)南方総軍司令部の反応
(ア)作戦指導
(イ)軍政指導
(ウ)「一次大綱」発出以降の作戦と軍政の相互作用
(二)ビルマ
(ア)ラングーン攻略と早期独立論の後退
(イ)ビルマ全土の占領と第十五軍軍政機関並びにBIA
(ウ)第十五軍軍政と中央行政府
(エ)第十五軍軍政の性格
(三)フィリピン
(ア)「第一次バターン作戦」後における第十四軍司令部の苦悩
(イ)オリガークスの動揺と「第二次バターン作戦」
(ウ)第十四軍軍政の性格
(四)現地軍から見た占領地軍政と軍事作戦
三 軍政の新党と大東亜省設置
(一)省部間の軍政分担問題
(二)「南方占領地統治要綱」と軍政会議
(三)大東亜省設置の狙いとその波紋
まとめ
註
第四章 「今後採ルベキ戦争指導ノ大綱」(第二次)と「大東亜共栄圏」の成立―政治・経済・軍事の鼎立―
はじめに
一 戦略環境の悪化と占領地軍政
(一)連合軍の再建と戦略環境の悪化
(二)占領地の状況
(ア)ビルマの経済混乱
(イ)フィリピンの独立志向と軍政の浸透
(ウ)ビルマとフィリピンの相違点
二 「二次大綱等」の策定と「大東亜共栄圏」の成立
(一)東条首相の占領地視察とその影響
(二)「政略大綱」による政治的「大東亜共栄圏」の成立
(三)「二次大綱」による戦略的「大東亜共栄圏」の成立
(四)軍需省設立による経済的「大東亜共栄圏」の成立
(五)政治・経済・戦略鼎立と「大東亜会議」
三 「二次大綱等」と占領地の独立
(一)フィリピン独立と「中南比討伐作戦」
(ア)軍政の動揺とフィリピン独立
(イ)「絶対国防圏」構想と「中南部比島討伐作戦」
(二)ビルマ独立と「インパール作戦」
(ア)ビルマ独立許容とビルマ方面軍の新設
(イ)独立ビルマとビルマ方面軍
(ウ)「日緬同盟」と「ビルマ防衛作戦」
(エ)政戦略から見た「インパール作戦」
(三)フィリピンとビルマ
まとめ
註
第五章 「対東亜共栄圏」崩壊と「今後採ルベキ戦争指導ノ大綱」(第三次)―フィリピン・ビルマ決戦と鼎立構造の崩壊―
問題の所在と背景
一 「三次大綱」策定辞典(一九四四年八月十九日)までの現地軍の混乱
(一)陸軍兵力の中部太平洋への推進と「一号作戦」
(二)ビルマ正面
(三)フィリピン
(四)現地軍混乱の理由
二 「三次大綱」の策定と戦争指導機構の変容
(一)小磯内閣成立と鼎立的「大東亜共栄圏」の再編
(二)「三次大綱」と「陸海軍爾後ノ作戦指導大綱」
(三)「三次大綱」における「戦略方策」と戦争目的
(四)「三次大綱」における大東亜政策
(五)「三次大綱」の決定過程と参謀本部の変容
三 参謀本部の作戦指導と現地軍の苦悩
(一)ビルマ
(二)フィリピン
四 作戦準備と対日協力政府・関係当事者
(一)ビルマ
(二)フィリピン
五 作戦の破綻と対日協力政府
(一)ビルマ
(二)フィリピン
(三)作戦の破綻が大東亜政策に及ぼした影響
まとめ
註
終章 東条英機の戦争指導と「大東亜共栄圏」
一 「大東亜戦争」以前における占領地軍政の役割の拡大
二 政・軍(省部)による「大東亜共栄圏建設」の意義の変化
三 現地軍の対応と対日協力政府
四 東条首相のリーダーシップ
まとめ
参考文献一覧
一 邦文
二 英語史料
あとがき
索引
人名索引
事項索引