知られざる皇室外交
はじめに
第1章 宮中晩餐会では「だれに対しても最高のものを」がルール
「だれに対しても最高のワイン」に見る両陛下の姿勢/オバマ大統領の弾丸訪日/皇室への敬意にあふれたオバマのあいさつ/国賓を宿泊先で必ず見送る両陛下/アキノ大統領へ示した戦没者への哀悼/アルコールが飲めない賓客には/皇室ルールの起源
/なぜ宮中晩餐会はフランス料理にフランスワインか/和食、日本ワインに変わる日は来る?
第2章 昭和と平成、皇室2代にわたるミッテランとの友好
ミッテランによる突然の黙とう/大喪の礼への出欠が示すもの/やっと実現した仏大統領の訪日/皇室を通して日本を知る/昭和天皇が歌ったシャンソン/時を超えた歓待へのお礼/今上天皇のフランスでの古本屋めぐり/日本の常任理事国入りを支持/最高のワインで3人だけの午餐
第3章 皇室外交の要としてのおことば―オランダの反日感情を融和した両陛下
オレンジにライトアップされた東京タワー/戦後のオランダの激しい反日感情/デモ隊に囲まれたホテル/世界王室との家族ぐるみの交流/オランダ人引き揚げ者の鬱屈した感情/「おことば」はどのようにして作られる?/異例の長いスピーチに込められた思い
/天皇の戦後初のオランダ訪問に向けて/両陛下の長い長い黙とう、抑留者との対話/劇的なオランダ世論の変化/療養中の雅子妃のオランダ訪問/「互いに背負ってきた苦痛を認識して」
第4章 美智子妃とヴァレリーさんの頬ずり―フランス3代の大統領と皇室
別れ際にヴァレリーさんが見せた戸惑い/門外不出の国宝、海を渡る/箱根で英気を養ったシラク/サルコジの選挙パフォーマンス/官邸の歓迎会とは/伝統を生かす華やかな宮中晩餐会/ヴァレリーさんの自伝で明かされた美智子妃の姿/ヴァレリーさんへのインタビュー
/美智子妃の魅力を語る人々
第5章 英王室と皇室の長く深い縁―戦中、戦後の怨讐を超えて
世界の君主が一堂に会したパーティー/英王室の天皇への心配り/両陛下が世界へ語った感謝の思い/日本にとって最高の外交資産/敗戦後の激流のなか、英国訪問/日本人隔離政策中のカナダ、零下の駅に現れた皇太子/56年前の忘れ得ぬ記憶/英国を覆う反日熱
/チャーチル首相の突然のスピーチ/日本の新聞における国際感覚の欠如/反対デモに見舞われた昭和天皇の訪欧/元捕虜たちのカタルシス/和解ボランティアの地道な活動/英大衆紙への橋本首相の投稿/沿道の抗議に深く頭を下げた美智子妃
/両陛下によって生み出された英世論のバランス
第6章 終わりなき「慰霊の旅」―サイパン、パラオ、フィリピン
ヘリコプターで念願の南の島へ/天皇自ら推敲を重ねた答辞/会津藩出身者の統治/北のパラオ、北原尾へ向かった理由/初の海外への慰霊、サイパンへ/解決すべきは慰霊の非対称性/民主主義の理想を率先して示そうとする姿/親中から親日へ、フィリピンの心変わり
/54年ぶりのフィリピン訪問で/生まれながらに背負う重荷/慰霊の旅はなぜ続くのか
第7章 国際政治に寄せる両陛下の関心―歌に込められたその思い
なぜ国際政治への関心が高い?/思いがこもる1989年の歌/音を立てて変わりゆく世界で/父が生きていたなら・・・/アフガニスタンへの歌に漂う喪失感/27日で5か国をかけ回る/満天の星とテントでの宿泊/「防弾車ではなく普通の車を」/訪問国の国旗をモチーフにした装い
/観光ではなく慰霊と市民交流を/インド訪問はなにを意図したのか/美智子妃の率直な思い溢れるビデオ/独自のスタイルを築いた道のり
おわりに
主要参考文献