「逃げるな、火を消せ!」戦時下トンデモ「防空法」
- サブタイトル
- 編著者名
- 大前 治 著
- 出版者
- 合同出版
- 出版年月
- 2016年(平成28年)11月
- 大きさ(縦×横)cm
- 21×
- ページ
- 223p
- ISBN
- 9784772612821
- NDC(分類)
- 391.38
- 請求記号
- 391.38/O61
- 保管場所
- 開架一般
- 内容注記
- 文献あり 年表あり
- 昭和館デジタルアーカイブ
はじめに
Ⅰ 総力戦体制の確立(昭和三年~昭和十五年) 魅惑の防空演習と防空法、日常に入り込む戦争
日本初の防空演習
ものすごい戦争気分
思想宣伝としての防空演習
防空演習への批判は許さない
防空法の制定(昭和十二年三月三十日)
まずは防空訓練と施設設備から
制定当初の罰則は三つ
「自信はない」という海軍大臣
防空演習は「子どもの悪さ」
戦争の怖さを知らないうちに
灯火管制
街中を暗闇に
行き過ぎた灯火管制
国民精神総動員と防空思想
警防団の発足
民防空の中心部隊
理論形式ではなく体で覚えよ
警防団員になりたくない人々
人材減少・戦況悪化のなかで
全国巡業の「防空展覧会」
防空の備えは一大商戦
視覚に訴える展示内容
文化に溶け込む防空
防空ゲーム
防空の歌
法的根拠がないのに「避難禁止」
防空法制定の翌年、突如の方針
老幼病者でも、原則として避難させない
戦前は防空、戦後は原発
まずは「怖くない戦争」に慣れること
(コラム)日本が行った空襲と、加害者の論理
Ⅱ 戦勝ムードのなかで(昭和十六年~昭和十七年) 空襲は怖くない、小かは簡単、防空は「国民の義務」
隠密に実施せよ 昭和十六年七月の「緊急措置」
「国民防空訓」 避難、退去は一切許さぬ
「焼夷弾は消せない」の記述は一掃
死者百人でも「微々たるもの」、「忍ぶべき犠牲」
『時局防空必携』の発行
防空の決定版
老人も子どもも「命を投げ出せ」
こころがけと準備次第で容易に消せる
防空法の改正
「逃げるな、火を消せ」を法的義務に
真珠湾攻撃の前日に通告された「退去禁止」
無視された異論
どうして火が消せるのか
施設の足りないところは精神で補う
隠された「防火能力の不足」
「避難が一番」、「対策はない」という海軍少佐
なぜ避難を禁止するのか 佐藤賢了の告白
退去者は懲役六カ月、妨害者は死刑
逃げる者は非国民 法律より重い縛り
隣組の組織化
防火は隣組全員の責任です
万民翼賛と国策透徹のために
日本初空襲 お手柄と怪気炎
空襲のことは話すな、書くな
デマを信じるな、軍を信頼せよ
噂話をするのは非国民
最大で無期懲役、四つの法律で発言規制
手紙にも書けない 「郵便物は常時監視」
情報操作と世論誘導
刺激的な記事は禁止
検閲は特高課が担当
正しい世論を広める情報局
空襲予測は伝達せず
戦時災害保護法による援助
士気高揚と民心安定のために
当時の生活保護制度より手厚い給付
多くの国民が利用した制度
Ⅲ 泥沼化する戦争(昭和十八年~昭和十九年)
猛火へ飛びこめ、命を捨てろ、悲壮な防空指導
『時局防空必携』の改訂
命を投げ出して持場を守れ
焼夷弾はシャベルですくい出せ
負傷しても、ひるむな
決死の防空訓練
焼夷弾へ1メートルまで近づけ
砂と水で一泡ふかせる
化ける使用には熟練が必要
押入れの焼夷弾に注意
訓練に出ない者は防空法で処罰
女性向け雑誌の号令
子どもを気にせず消火せよ
空襲下の出産と育児
安全無視の「防空壕」政策
当初方針、頑丈な「防空壕」を空地に
方針変更、簡素な「退避所」を床下に
「床下の方が安全」、驚きの理由
帝国議会でも指摘された危険性
待避所は火事に役立たない、という事件
攻撃する側からみた「防空壕の致命的欠陥」
地下鉄への避難も禁止
科学者は知っていた、「焼夷弾は消せない」
アメリカ製焼夷弾の「消火実験」
建物は一瞬で大破
火の海になったが消火できた
実験の教訓は何だったのか
映画「敵機空襲」
学校の防空
学校も防空の最前線となっていく
二度目の防空法改正
(コラム)「家を守らないと」が最期の言葉
Ⅳ 無謀な本土決戦へ(昭和十九年~昭和二十年)
死んでもバケツを離さず、神がかりの防空美談
二年半ぶりの敵機来襲 北九州空襲
死者355人でも「損害は軽微」
民心の動向を気にする政府
沖縄十・十空襲
焼夷弾は手で掴め
焼夷弾は怖くないという「感じ」を持たせる
神国日本は必ず勝つが、死を覚悟せよ
武士道とは死ぬことと見つけたり
すぐ待避所から飛び出せ
「疎開」も制限された
建物疎開が中心
疎開できるのは老幼病者と妊産婦
もぐり疎開に厳しく対処
みだりに疎開するな
東京大空襲の翌月、「疎開は認めない」
地方への転出防止と、要員確保
職域死守、強力な指導を
医療関係者は必ず出動
東京大空襲前夜の「安全神話」
東京、名古屋、大阪の大空襲 隠された被害
10万人の死亡に触れず
一時の不幸に屈するな
行間から読み取る大惨害
消せるはずがない猛火、「消火活動」の実際
大空襲の翌日の帝国議会
国民ことごとく戦列に、という首相
地震は不可抗力だが、空襲は違う
死んでもバケツを離しませんでした
神がかりの英雄奇譚
突如、一人の指導者が
空襲下の「君が代」、全焼は全勝
逃げるな! 激励から恫喝へ
逃げ腰、不埒者は許さない
火事場泥棒が急増
戦災復興へ、「絆」と「助け合い」
流言に惑うな! 強まる言論統制
「素人考え」で懲役二年
軍を批判した高官とは
空襲被害をふれまわる不心得者
米軍機が投下した「空襲予告ビラ」
あなたの街を攻撃します
東京大空襲の日に、何を決めたか
空襲下の凶刃 阻止された住民
横浜大空襲 サーベルを振り回す警察官
八王子空襲 警防団員と住民の衝突
青森空襲の悲劇
防空法で処罰する
食糧配給を止めるぞ
戻ってきた日の空襲
断末魔の叫びとしての「一億特攻・本土決戦」
原子爆弾にも初期消火を
敗戦、そして防空法の廃止
(コラム)「避難せよ」と呼びかけた街
Ⅴ 空襲の焼け跡を生きて……
戦災孤児、空襲被災者の戦後
親を失った戦災孤児たち
殉国者の遺児
「刈り込み」と鉄格子
毎日増えていく餓死者
空襲被害者への援護制度は消滅
戦災者への援護は必要だったのに
軍人への援護制度だけは復活
防空法で危険な状態に 裁判所が認定
あとがき
年表
防空法関連法令
参考文献
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