壮絶 高知大空襲
目次
壮絶 高知大空襲-その手記と追憶-
解題
第一部 嗚呼白菱=手記(昭二十年 予科一年 現中三生)
序 何故私は君達にこれを書かせたか 元主任 土居勘三郎
一 空爆
一人の力は空しく 明坂光温
東の空が真赤に 池川和男
運動場は火の海だ 岩井清
学校へ行かねば 岡林茂夫
敵機が墜落 金井和雄
B二九が黒い影を残して 坂井信也
箱のペンキが湧く程熱く 武井富治
次から次へと焼夷弾が 浜崎淳一
二 負傷
「痛い痛い」と泣きながら 梅原薫明
なに言いよら! 慌てな! 柏原義夫
焼けやせんか! 北畠潤一
重曹を溶かして湿布 渋谷清雄
負傷者を探しに 萩野和生
焼夷弾が背中に 矢野和郎
近所の人に介抱されて 山崎淳矩
三 犠牲
兄ちゃん、可哀想に 上田栄次郎
傷口をくくり、担架に乗せて 安養寺大輔
あくまで看護しなければ 井上香織
一人は失神、一人は手を 楠瀬健雄
二人が倒れた 三宮康男
右腕は物凄く大きく 島村義一
友の看護に 清水嘉陽
街の人々も協力して 宅間博雄
壕口で二人が 中内英郎
二人が折り重なって 森本威彦
四 闘火
寮舎は炎炎と燃えあがって 小笠原甲雄
水を被っては消し 小島英一
全校舎は火焔に 片岡徳雄
必ず消し止める 北村長良
水で濡らして火の中へ 志和友睦
よう生きていたものだ 西村重房
白煙の中に第二寮舎が 野村幸一
どの屋根も火に 橋本昌幸
火が癪にさわる 藤本邦夫
太陽が真赤に 森田昌治
水も出ない 山中二三夫
五 退避
火の粉を避けて 小笠原寛
忌わしき一夜 大寺康博
この壕は危ない 佐竹正幹
防空壕から農場・北庭へ 鈴木和陽
煙に包まれ小高坂山へ 田島淳助
東へ行ったり西へ行ったり 林田信喜
第二部 双影追慕(昭二十一年 予科二年 現高一生)
序 両君を生かさねばならぬ 元主任 鈴木康一
感ずるままに 元主任 土居勘三郎
山河あり 元主任 隅川清
一 追悼・上村幸雄君
焼跡にも再び夏が 伊藤正雄
春は再び来たれども 大原省二郎
今君は何処に 野島忠直
山桃の赤き色みて 片岡徳雄
君の面影が幻の如く 北村宗裕
惜しまれて散る山櫻 武井富治
その夜は一晩中燃えた 島崎健造
みな異様な叫び声を 松岡達
故郷の山川 松高茂樹
二 追悼・村田肇君
魂は我々の胸に潜んで 安養寺大輔
友の手を固く握りて 島村義一
「牛シャン」のこと 馬部敏夫
明朗闊達だった友 野村幸一
白菱魂は焼跡に根を張って 浜崎淳一
虚空蔵山麓の八星霜 広瀬典民
ありし日の面影 筒井徳忠
あの日の思い出 中内英郎
三 上村・村田両君を偲ぶ
両君の墓前に捧ぐ 小笠原寛
雲の彼方に君ありて 岡林茂夫
二君の志を継ぐ 金井和雄
あの頃が我々の春だった 坂井信也
聞け再建の雄叫びを 千頭康宏
ありし日の友を偲びて 野坂幸夫
熱い涙はとめどもなく 前田英次郎
君の霊に誓わん 村越末男
草葉の陰に眠られよ 安岡壽夫
惜しみて余りあり 山崎清朗
第三部 蒼い心象(昭二十二年 予科三年 現高二生)
序 心痛む日 元主任 土居勘三郎
一 追憶
「菱友」を君に捧ぐ 野坂幸夫
二年前を偲んで 梅原薫明
死行し君を想えば 村越末男
自分達のなすべきこと 筒井徳忠
亡き君に捧ぐ 矢野和郎
青葉の蔭で安らかに 明坂光温
菱友わが友よ 上田栄次郎
静かに眠れ 松高茂樹
願わくば冥せよ 山田芳宏
そのとき入った壕は 吉田庄一
夢であるならば 窪内満
別離の哀傷 武政秀行
そば花一輪 溝渕幸生
二 随想
人心混沌として 柏原義夫
白菱ルネサンスの一柱に 鈴木和陽
今日よりは明日と 小笠原甲雄
進むべき道 平田一宏
雨に濡れて 岩崎幸雄
進取の気性をもって 今津新一
微雨 大原省二郎
雨に清められ 田邊省三
初夏と盛夏 竹下虎彦
夏の朝 明神章夫
日記抄 矢野川瀧男
人生に対する懐疑 西村明
付 高知師範学校歌・寮歌・応援歌・魂歌
昭和二十年度 高知師範予科入学者名簿
あとがき