「銃後」の民衆経験
プロローグ
銃後のハナ子
村のレビュー
「銃後」という経験をどのように描くか
本書の視覚
第一章 「非常時小康」
1 一九三三年-暗転する社会
凱旋の風景
静かな戦時気分-北陸の村から
更生の村から「銃後」へ
2 一九三七年・夏-動きはじめる「銃後」
「歌うべき」歌
予兆
緊張する社会①-地方モダン都市の夏
緊張する社会②-立ち直りつつある村むら
緊張する社会③-大陸を向く軍都
挙国一致の風景
国民精神総動員
底流へのおそれ
3 あたらしい銃後
ニシンの村から-『かもめのたより』
戦地とのきずな
第二章 村と戦争-「忍従」の村
1 格差と平等のあいだに
不思議な応召
〈平等〉の旗印
出征の負荷
2 村の銃後
勤労奉仕
もう一つの「赤紙」-「奉仕」から「動員へ」
ゆきづまる勤労奉仕
「いそがしさの譜」
3 村の担い手
動き出す人びと
満員の通勤列車
職工農家の生活誌
工場へ行くことの有利さ
村の担い手
就職列車
4 兵士の帰還
「銃後人」
「銃後」ということばの死
銃後への出征
戦時復員論の試み① 村
第三章 パリのような街で
1 街頭の戦争
スカートと戦争
戦時都市-祝祭と喧騒
銃後のバロメーター
都市の「覚悟」-一九三八・東京―「敵国」都市陥落の歓喜
復員者の視線―戦時復員論の試み② 街頭
国策と生業のあいだ
百貨店のにぎわい
「非国策的職業」
2 労働者の街
町工場の戦争
街の出征兵
地域社会の摩擦
労働者の街・上京青年の街
軍需産業「模範職工」の生活誌
第四章 建設の戦争
1 うかびあがる「共同」
゛「共同」で働くこと”への転換
「わたくし」と「おおやけ」
「夜が長くなった」
2 地域のなかの翼賛運動
翼賛村のすがた
壮年団運動
「煙仲間」の民衆論
翼賛壮年団―銃後社会の実践部隊
3 産業報国
銃後生活刷新運動
産業報国運動
勤労青少年の苦悩
どこでも、だれでも「指導者」になれた
第五章 地方翼賛文化運動 戦時下の民衆論
1 大政翼賛会文化部
岸田國士と民衆の「共同の娯楽」
上泉秀信の憂鬱
ある「ルネサンス」
地方翼賛文化運動の思想
「生活」の文化運動
文化運動と翼賛壮年団
2 職場と工場の文化運動
工場文化運動
近藤孝太郎の文化運動経験
第六章 銃後崩壊
1 「銃後」崩壊の諸相
(1)保健婦―「生活」に近づく、「暮らし」から遠ざかる
帰農の村
農村の指導者
(2)関係のゆらぎ
「根こそぎ動員」
徴用と軍隊規律
女性の働きと家庭
都市の女性と家庭の仕事
佐賀の農村から
暴力の水位
「戦争」と「生活」の乖離
2 戦争責任
ほどかれる「共同」
もとの生業へ
だましだまされた社会
「銃後」とアジアの戦場
「戦争を後悔せよ」
エピローグ 「銃後史」のゆくえ
〝出征”と〝慰問”
軍事化の底辺
村と朝鮮戦争
街頭の戦争
「戦場」と「銃後」のはざまで
もうひとりのハナちゃん
注
あとがき