ゾルゲ謀略団
刊行に寄せて(野地二見)
自序(竹内春夫)
第一章 ゾルゲ謀略団の中国派遣
革命後、いちはやく中国赤化に着手したソ連共産党
ソ連の中国赤化計画遂行に深刻な打撃を与えた中国での情勢急変
リヒアルト・ゾルゲの起用
中国派遣にあたっての周到な準備
尾崎秀美
アグネス・スメドレー
第二章 上海ゾルゲ謀略団
上海でのゾルゲ謀略団の編成完了と活動開始
(表1 上海ゾルゲ謀略団の主要人物組織)
ゾルゲ、中国共産党再建のため、次第に井岡山毛沢東勢力に注目するに至る
満洲事変の勃発に伴う謀略、上海事変の挑発
ヌーレンスの逮捕によるソ連ハルビン機関との協議
中国共産党および共産党軍の大西遷(長征)の指導
第三章 ゾルゲ謀略団、東京へ
東京行の企図と準備
東京での活動
(参考―ゾルゲ謀略団対日活動の時期的区分)
第四章 日本上陸から尾崎の再加盟まで
駐日ドイツ大使館を根城として日本政府、とくに陸軍の対中国政策について情報収集を始める
尾崎秀美の再加盟を求める
赤軍第四部の上海会議
ゾルゲ謀略団に再加盟した尾崎、活動を開始
第五章 盧溝橋事件―謀略の主目標を日本陸軍の北支那侵略の助長におく―
日本陸軍とくに関東軍の北支那への野望を助長する謀略
中国共産党軍の長征進行に伴うモスクワの新しい計画
ゾルゲ謀略団、上海パウル機関、ソ連ハルピン機関の連係と、綏遠事件の誘導。西安事件の発生の援助
盧溝橋事件への謀略
事件不拡大、現地解決の努力をぶち壊し、事件を拡大させるための謀略事件
第六章 支那事変から日本の南進策の芽生えまで―謀略の主目標を支那事変の長期化と第二次欧州戦争の勃発を利用しての日本の南進誘導に置く―
支那事変の長期化を図り、日本と国民政府軍の消耗をもくろむ
汪兆銘(汪精衛)引き出し工作についての謀略
支那事変解決を妨害するソ連の対日牽制行動―張鼓峰事件とノモンハン事件
第二次欧州戦争の勃発とそれに乗じた謀略
松岡外相と尾崎秀美らの情勢認識
ヒットラーの作戦大変更
第七章 松岡外相の訪欧時から第三次近衛内閣総辞職まで
松岡外相の訪欧と西園寺公一がその随員であったこと
日米交渉をめぐって生じた近衛首相と松岡外相の対立の隙につけ入る
着々進む日本の南方進出施策とこれに反対する松岡外相
ゾルゲ、駐日ドイツ大使館でドイツの対ソ戦争計画を知り、ソ連の安全のため、尾崎とともに日本の南進策を煽動
独ソ戦争切迫の情報に対するスターリンをはじめとするソ連首脳部の動き
独ソ開戦と日本の対応および尾崎の動き
日本の運命を決定した六月二十五日の議決と七月二日の御前会議への尾崎の動き
関特演と尾崎の危惧
南部フランス領インドシナへの進駐とアメリカ、イギリスのすばやい対日報復
尾崎、陸軍の松岡外相追放の陰謀を支援する
七月二日の御前会議以降、九月初めごろまでの尾崎の情報謀略活動
近衛首相の日米首脳会談の希望は消え、日本の大勢は九月六日の御前会議の決定により日米戦争へと進む
日米戦争の危機迫るなかで近衛公は内閣を投げ出し、尾崎の最後の謀略の成功
第八章 ゾルゲ謀略団の総逮捕
第三次近衛内閣の総辞職とほぼ同時に行われたゾルゲ謀略団の逮捕
(表2 ゾルゲ謀略団員(十七人)逮捕者一覧)
(表3 ゾルゲ謀略団組織外の逮捕)
ゾルゲ謀略団検挙の端緒
尾崎秀美の逮捕
ゾルゲの逮捕
ゾルゲらの脱出準備とその挫折
第九章 東条内閣、対米英蘭戦争へ突入
東条内閣、日米交渉問題などを再検討する
開戦の決意を促す陸海軍の戦争準備の進展と世論の高揚
日本政府は対米交渉の打開を図るため、妥協案を携行させて来栖大使をワシントンへ特派する
いわゆるハル・ノートにより日本政府はついに開戦を決定
第十章 ゾルゲ謀略の特徴とこれに対応した日本側の態勢
膨大なソ連の情報、謀略組織
ゾルゲ謀略団の特徴
日本検察当局などの対情報、対謀略態勢
あとがき