戦争小説家古山高麗雄伝
まえがき
第一章 「悪い仲間」たち
植民地朝鮮に生まれる/「坊ちゃん」と上京願望
第三高等学校入学と失望/「悪い仲間」で回覧雑誌づくり
成績劣等、素行不良で退学へ/対米開戦にもひどく無感動
生家が人手に渡る
第二章 「兵隊蟻」の戦争
軍隊になじまない兵隊/フィリピンへ送られる
マレー半島経由でビルマへ/「天国と地獄」のメロディーを頭に流して
泥水の中に眠る/ついた渾名は「敗残兵」/原隊探しの一人旅
カンボジア・プノンペンへ/ラオスの俘虜収容所で通訳にあたる
戦犯容疑者として拘引/奇妙に明るいムショ暮らし
「週刊キャンプ新聞」をつくる
第三章 「万年一等兵」の下積み
自由の身に/「映画教育」という占領政策と転職
「ここは家じゃないわ」/自筆年譜に記されなかった処女作
加島祥造との出会い/河出書房への転職/安岡章太郎の文壇デビュー
岸田國士との出会いと失業/PL教団の雑誌づくりに加わる
机に脚を投げ出す「イエスマン」/遠山一行との親交
『季刊藝術』への参加/江藤淳による誘い
第四章 「悪い仲間」との決別
結果は「大当り」/四九歳の芥川賞作家
「原稿料で食って行けるかもしれない」/編集長兼作家の面接
森敦に書かせる/唯一の「弟子」に対して/書く苦しみと胃潰瘍
古山の「三種の神器」/戦地再訪を始める
「悪い仲間」との複雑な空気/〝安岡章太郎論〟の覚悟と遠因
三〇年振りのビルマ/青山の「独房」/総合芸術誌の終わり
第五章 「戦争三部作」への執念
ストリッパーとの付き合い/戦争三部作の取材/「勇」のことも書いてほしい
元兵士たちの戦後/ダメサラリーマンの代弁者として
私小説で書く戦争/書けない時期とエッセイ/年譜に載せなかった作品
再びの雲南と新義州への思い/フーコン取材が実現
どす黒いクマをつくっても「まだ帰りたくない」/「語り継ぐ」を超えて
第六章 文士の〝戦死〟
「自殺する勇気がない」/駑馬であっても駄馬ではない
競馬で外し続ける/孤独死を予告する作品/医者もうらやむ死に方
終章 落葉、風を恨まず
人一倍の軍隊嫌い/「才能といふやつは量の問題だ」
「自分の甲羅に似せた穴」を掘る/最後まで小説家であること
仕事場は「牢獄と同じ」
あとがき
主要参考・引用文献