昭和史講義
まえがき(筒井清忠)
第1講 ワシントン条約体制と幣原外交(渡邉公太)
「新外交」の理念と「ワシントン体制」/幣原外相の登場/中国ナショナリズムからの挑戦/北京関税特別会議/北伐への対応/第二次幣原外交とその終焉
第2講 普通選挙法成立と大衆デモクラシーの開始(小山俊樹)
政党政治と大衆デモクラシーの開始/普通選挙法の成立をめぐって/「憲政の常道」と政党政治/二大政党の国内政策/二大政党の党内派閥/普通選挙の実施
第3講 北伐から張作霖爆殺事件へ(家近亮子)
北伐とは何か/北伐と日本/蒋介石と田中義一の会談/済南事件/張作霖爆殺事件/事件の真相/張学良と蒋介石の接近
第4講 ロンドン海軍軍縮条約と宮中・政党・海軍(畑野勇)
ロンドン条約問題への歴史的評価をめぐって/全権のロンドン派遣から条約批准までの過程/統帥権干犯問題の発生から条約批准に至るまでの過程/天皇と宮中が条約締結に果たした役割/政府の対応と基本姿勢における問題点/軍縮条約の積極的価値の最大の享受者は誰か
第5講 満州事変から国際連盟脱退へ(等松春夫)
日本の満州関与と一九二〇年代の満蒙情勢/中ソ戦争/満州事変への道/満州事変と「満州国」の建国/国際的反響と「リットン報告書」/満州事変の終結/連盟脱退とその後の満州国
第6講 天皇機関説事件(柴田紳一)
天皇機関説とは何か/天皇機関説事件とは/国体明徴運動と政友会の「真の動機」/いくつかの視点/「事件」の影響
第7講 二・二六事件と昭和超国家主義運動(筒井清忠)
昭和超国家主義運動の起源/昭和超国家主義運動の展開/昭和期陸軍の抗争/二・二六事件
第8講 盧溝橋事件―塘沽停戦協定からトラウトマン工作失敗まで(岩谷將)
塘沽停戦協定/華北分離工作/事件前夜/盧溝橋事件/事態の拡大/上海戦/トラウトマン工作
第9講 日中戦争の泥沼化と東亜新秩序声明(戸部良一)
「対手トセス」声明/大本営と現地軍/五相会議と宇垣工作/政治的解決の試み/何のための戦いか/軍事的限界
第10講 ノモンハン事件・日ソ中立条約(花田智之)
満ソ国境紛争/ノモンハン事件への実相①―紛争の契機/ノモンハン事件の実相②―紛争のエスカレーション/第二次世界大戦勃発後の日ソ国交調整/第二次近衛内閣と幻の四国協商構想/日ソ中立条約の締結
第11講 日独伊三国同盟への道(武田知己)
第一次交渉―防共協定から防共協定強化交渉へ/防共外交と外務省/日独の利害と戦略の対立/ヨーロッパ大戦と第二次交渉/岐路としての三国同盟/三国同盟の皮肉な結果
第12講 近衛新体制と革新官僚(牧野邦昭)
「近衛新体制」とは/新体制の時代背景/革新官僚の登場/権力の空白とその克服の試み/理念と実務的要請の交錯/護憲論としての新体制反対論/近衛新体制の終焉とその後/「計画的オポチュニズム」の結果としての近衛新体制
第13講 日米交渉から開戦へ(森山優)
日米交渉の開始/独ソ開戦と「北進」「南進」論の対抗/南部仏印進駐と対日全面禁輸/東条内閣と日米交渉/ハル・ノート/真珠湾陰謀説と暗号戦
第14講 「聖断」と「終戦」の政治過程(鈴木多聞)
二度にわたる「聖断」/昭和天皇と本土決戦/ポツダム宣言の「黙殺」/原爆の投下/ソ連の参戦と第一回御前会議/「無条件降伏」の「条件」/七日間の心理状態
第15講 日本占領―アメリカの対日政策の国際的背景(井口治夫)
研究動向と本講の狙い/日米開戦まで/蒋介石政権の動向/日本の経済復興と賠償問題/ケナンの封じ込め政策/米国の対日政策の転換と知日派の動き/サンフランシスコ講和条約と戦後の安全保障体制
あとがき(筒井清忠)
編・執筆者紹介