昭和天皇実録その表と裏 1
序章 日本人への新しいメッセージ
『昭和天皇実録』を読むための前提
「民」の側の視点で理解する
日本人への新しいメッセージ
第1章 太平洋戦争 開戦
開戦に至る昭和天皇の心理―「反対・懐疑・決意」
非戦への強い意思表示
天皇を追いつめる軍事指導者たち
天皇の呻吟(しんぎん)を歴史に刻む
「皇祖皇宗(こうそこうそう)に対して相済まない旨」
大日本帝国の壮大な自己矛盾
外交か、開戦か
自存自衛のためには戦争しかないのか
なぜ天皇はほとんど自分の意見を言わなかったのか
実録執筆者の配慮
天皇が開戦を決意した二日間
昭和天皇の戦争観とは
ハルノートに対する天皇の意思
大元帥としての確固たる立場へ
「やむなく行う戦争」という基本姿勢
将来の「歴史家の誹(そし)り」を恐れる
去らない日本海軍への疑念
「海軍軍装を召され」た天皇
真珠湾攻撃をどう受け止めたか
軍事指導者との意識の断絶
第2章 太平洋戦争 戦時下
懊悩(おうのう)する戦時下の天皇
木戸幸一を相手に戦争終結の形を模索
天皇への<偽りの報告>
ミッドウェー海戦はどう報告されたか
<天皇と戦争指導>を考える手がかり
皇祖皇宗に昭和の戦争をどう報告したらよいのか
平和の到来を渇望しつつも
敗色濃い戦況に困惑
「全滅」を「玉砕」に言いかえる
統帥部への激しい怒り
天皇への陽動作戦
形骸化する戦争指導の実態
虚構の戦果に勅語を与える
天皇を喜ばせることが忠臣の役割、という構図
天皇が自らの意思を強く発した一週間
統帥権の総攬者が、まるで飾り物に
軍官僚による責任逃れ
戦況の悪化を伝えない「不忠」
サイパン防衛の内実を問う天皇
東條や嶋田をいかに更迭するか
現体制では和平は模索できない
「神州の死守」という天皇の意思
レイテ決戦が戦争の終末点
台湾沖航空戦の虚報に喜ぶ天皇
レイテ決戦での壊滅的打撃
特攻作戦を聞いた天皇の反応
政治の側の上奏に耳を傾ける
貞明皇后からの心理的プレッシャー
和平のきっかけをいかにつかむか
近衛上奏文の真意
依然として強行論の東條への不信
天皇の大本営への最後通牒
おわりに
初出