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旧日本陸海軍の生態学

サブタイトル1~10
組織・戦闘・事件 中公選書;019
編著者名
秦 郁彦 著
出版者
中央公論新社
出版年月
2014年(平成26年)10月
大きさ(縦×横)cm
20×
ページ
586p
ISBN
9784121100191
NDC(分類)
392.1
請求記号
392.1/H41
保管場所
閉架一般
内容注記
和書
目次

第一章 統帥権独立の起源
司馬遼太郎のきめつけ
「統帥権」とは何か
天皇大権の世界
明治憲法に見る「統帥権」
参謀本部の誕生
山県のしかけた詐術
西南戦争とプロシア軍制
一元制か二元制か
「用兵に無智なる長袖者流」
山県有朋の魔笛
大正デモクラシーの渦中で
参謀本部廃止論の行方
 
第二章 日清戦争における対東学軍事行動
教科書はこう書いている
乱立する呼称と争点
全州和約と日本の派兵
東学の第二次蜂起
「向後悉(ことごと)く殺戮すべし」
「運命をかけた」公州攻防戦
残敵掃討とサラシ首
珍島へ返還された人骨
日本軍と農民軍の戦力差
 
第三章 閔妃殺害事件の全貌
明成皇后シンドロームとは
基本的文献と先行研究
首謀者は誰か?
三国干渉から事件前夜まで
「決行の方針」を迫った?
三浦人事の表裏
ネットワーク―参謀たち
ネットワーク―実行部隊
光化門の小競合
王宮への突入者たち
王妃を斬った下手人
屋内説と屋外説
居直った三浦公使
広島地裁と軍法会議で
裁きは終った―全員無罪
 
第四章 再考・旅順二〇三高地攻め論争
映画「二百三高地」を再見して
情報不足と竹矢来説
主攻は西北か東北か
第一次総攻撃の失敗と教訓
九月攻撃の二〇三攻め
瞰制(かんせい)高地か望台かの論争
第三次総攻撃―二〇三が主攻に
「貴官(児玉)を第三軍に派遣す」
児玉の二〇三高地攻め
東北角山頂が落ちた
二〇三論争の行方
 
第五章 満州領有の思想的源流
朝鮮経営はペイせず
軍部主動で国家を強引
経済競争では勝てない
権益維持から独立国案まで
石原莞爾と稲葉君山
矢野仁一と内藤湖南の満州観
失われた正当性
 
第六章 張作霖爆殺事件の再検討
KGB流謀略の乱舞
主要な参考文献
五・一八覚書と「肚芸」
東方会議の幻想
親分を斃してしまえば
陰謀のラインアップ
皇姑屯クロスの爆発
主を失った奉天政権は
真相が洩れた経路
「満州某重大事件」の攻防
「辞表を出してはどうか」
満州事変へ向けた布石
プロホロフに答える
 
第七章 「百人斬り」事件の虚と実
係争になった百人斬り裁判
第一報から第四報までの原文
溢れる戦場美談と武勇伝
神話誕生の構図
二少尉の抗弁
南京法廷への道
裁判に適用された諸法規
二通の証明書は届いたが
南京法廷の判決と刑死
本多勝一の「中国の旅」
志々目証言の「ニーライライ」
記者たちの反論
「据え物斬り」を聞いた人たち
日本刀の殺傷力
「三百人斬り」のトリック
二〇〇五年の判決と新資料
 
第八章 第二次大戦における日米の戦争指導―戦争終末構想の検討
「腹案」の成立事情
英を倒し米と引き分け
ウェデマイヤーと「勝利計画」
ドイツの勝利を過信して
勝利病に酔う
一年早かった米軍の反攻
「腹案」の消滅
敗戦への転落路
 
第九章 ミッドウェー海戦の再考
はじめに
連合艦隊と軍令部の対立
二兎を追う作戦目的
慢心とおごりの日本海軍
間に合わなかった散開戦
四空母が炎上
「運命の五分間」をめぐって
敵を見落とした筑摩水偵
索敵軽視が致命的
破滅と退却
おわりに
 
第十章 太平洋戦争末期における日本陸軍の対米戦法―水際か持久か
硫黄島の栗林将軍
散るぞ悲しき
太平洋の水陸両用作戦
「本日よりア号教育」
水際の突撃破砕射撃
悪条件がそろった硫黄島
地表と地下の戦い
敵将に宛てた二通の遺書
栗林の死をめぐって
幻の日章旗
沖縄の持久戦略
「石に立つ矢の念力のみ」
 
第十一章 ベトナム二百万人餓死説の実態と責任
「忘れてはならない」のか
明号作戦の谷間で
ホーチミン宣言が出発点
サンプル調査では一九七万人
飢餓を招いた複合的要因
コメ経済の表と裏
天明飢饉と米騒動の相似性
賠償から経済協力へ
 
第十二章 第二次世界大戦の日本人戦没者像―餓死・海没死をめぐって
三一〇万人の戦没者
「餓島」となったガ島
六〇万人の餓死者
軍艦の墓場
六万人の船員が死んだ
スシ詰めの船倉で
沢村栄治の海没死
海没死者は四〇万人か
四万人の空没死
 
第十三章 軍用動物たちの戦争史
騎兵から戦象まで
日清・日露戦期の日本軍馬
「くにを出てから幾月ぞ」
帰らぬ軍馬たち
ジンギスカンの故智に
ラバ隊をひきいたウィンゲート
象に乗って後退
甲功章の軍犬と軍鳩たち
 
第十四章 第二次大戦期の配属将校制度
兵式体操とROTC
主導は陸軍か文部省か
配属令にひそむアメとムチ
すべり出しは低姿勢で
好評の配属将校たち
悪評の配属将校たち
上智・同志社・東京帝大の受難
大学教練の必修化
戦時下の狂騒
 
第十五章 旧日本軍の兵食―コメはパンに敗れた?
前線に届かぬコメ
白米六合の起源
脚気との戦い
「海軍は贅沢ですねえ」
嫌われた陸軍のパン食
ガ島の糧食到達は一二%
米食文化は変わらない
 
あとがき
初出一覧