凍てつく大地の彼方から
発刊の辞
第一章 凍てつく大地に肉親を失い
我が子の叫びが今も耳に(佐藤みどり)
「早く殺して下さい!(小関えき)
三人の子を失って(奥井きみ)
野犬が腕をくわえて(鈴木きみ子)
死体を引きずる不気味な音(門脇はまえ)
我が子の亡骸を抱きしめ(中村清恵)
幽霊のような姿で引き揚げ船に(土井みよし)
死体を掘り起こし着物を奪い(広谷コウ)
気力で歩き続けた〝三十八度線〟(小野しずえ)
「死んでくれて親孝行だなあ」(黒沼フヨ)
大陸に散った夢(遠藤さと)
遺骨を抱いて逃げ回る(立川八重子)
第二章 恐怖の逃避行
ソ連兵と格闘し、逃走(山川甚四郎)
貨車に体を縛り(井上えつ子)
夜空を染めた紅蓮の炎(林賀フミ江)
墓場と化した防空壕(佐藤永治)
銃声と悲鳴と(石黒八重子)
中国残留の長男と涙の再会(蛸井豊恵)
列車から死の脱走(石垣長之助)
血まみれの産婦を背負い(渡部勝)
二千五百キロの逃避行(富樫スエ)
この世の地獄の引き揚げ船(荒井愛子)
痛哭と遺恨の日々(細矢宇一)
心を慰めた〝りんごの歌〟(高橋貞子)
死と隣り合わせの日々(沓沢タミ子)
息ある病人を葬る(荒川昭)
永く辛い逃避の旅(長谷川美代乃)
敗戦の報に男泣き(長南秀治)
第三章 地の果てに見た地獄
戦友の体に蛆が(高橋光雄)
「ダワイ」の声にせきたてられ(高野昭)
飢えに満ちた異様な眼(佐藤忠雄)
見せしめの銃殺(堀脇吉蔵)
飢餓と寒さに耐え(三瓶四郎)
〝腹一杯、食べたい〟(小野寺皜)
轢死体の肉片まで(平吹庄八)
鍬を銃に持ち替えて(井上雄蔵)
胸をかきむしり息絶えた戦友(東海林留治)
涙でうるんだ祖国の山々(元木吉治)
死体運びの日々(菊地作男)
あとがき
満州開拓団入植図
山形県省名別開拓民避難状況
装幀(高久省三)
表紙イラスト(前田寛)