太平洋戦争連合軍の化学戦実験
まえがき/ピーター・ダン
日本語版への序文
序文
謝辞
地図
略語
序論
化学兵器の種類と歴史
化学軍縮論争の始まり
ジュネーヴ議定書と英米豪
オーストラリアでの化学戦研究の始まり
化学戦研究体制の整備
連合国の化学戦準備
化学戦抑止と戦争指導者たち
ゴリルのオーストラリア化学戦実験
連合軍化学戦準備の混迷
ホールデンとリデル・ハートの毒ガス人道兵器論
人道兵器論への賛否両論
組織防衛目的のアメリカの化学戦賛成論
第2次世界大戦後の化学戦史研究
オーストラリア実験に関する従来の著作について
化学戦実験を可能にした豪州人気質
本書のための取材と調査
秘密主義の壁
化学兵器の脅威は今も存在する
第1章 人体実験と化学兵器
バークロフトの自己人体実験
ホールデン父子の自己人体実験
自己人体実験と動物実験
自己人体実験から志願者に対する実験へ
毒ガス症治療の研究
マスタードガスの猛威
バークフトの酸素療法
マッキントッシュの研究~マスタードガスによる全身的障害
ウォーカーの研究~傷痍軍人年金と毒ガス症認定
マタードガス後遺症を過小評価
第2章 マンゴーアヴェニュー、マスタードガス、少佐
科学者ゴリルの来豪
ゴリルの提案
人体実験志願者も要求
熱帯化学戦実験での事故
志願被験者たちの体験
看護婦マドックの回想
病院でのディーンとフリーストン
毒性が高まる熱帯のマスタードガス
大規模な熱帯化学戦研究を提唱
豪政府も志願被験者の使用を了承
第3章 役に立たない防護手段
化学戦防禦の進歩と限界
ゴリルの渡英と次期実験計画
ゴリルの訪米
実験第2ラウンドの準備~プローサーパイン試験場
最初の実験成果~危険な防護服
防護装備の熱帯試験
実験第2ラウンドの総括
第4章 ブルック島実験
対日本軍化学攻撃の検討
ゴリルの化学攻撃実験計画
第1次ブルック島実験
コマンド隊員ミッチェルの体験
志願者たちの傷害評価
ゴリルはマスタードガスの威力を確信
第2次および第3次ブルック島実験
アメリカ製化学爆弾の効力価
公刊戦史の記録
第5章 志願者たち
英加米での志願被験者による人体実験
欺瞞的な志願者募集方法
兵士ベイアードの場合
機密保持の徹底
豪州兵気質の良し悪し
志願被験者たちの証言
砲手ロシュの体験
ダンとベイアードの体験
実験者たちの証言
マウンダー軍曹の体験
女性実験アシスタント
負傷を競い合う志願者たち
毒ガス負傷者の判定基準
残酷な突撃走路
病状を克明に記録
驚愕したイギリス軍高官
毒ガス傷治療の進歩に貢献
血液組成への影響と経皮吸収の証明
第6章 モイラと女性たち
オリーブ・ルーカスの場合
イニスフェイルでの草創期
健気な女性隊員の活躍
女性隊員たちの逸話
女性科学者モイラ・シェルトン
イドメネウス号の荷役作業
知識と経験を積む
連絡将校として活躍
女性隊員たちの志気の源泉
隊内での恋愛模様
生意気な女性隊員
終戦後の現実
元女性隊員たちの戦後
第7章 1943年以降の化学剤に関する知見と、正当な扱いを求める志願者たちの活動
マスタードガスの発癌性
英米での退役軍人健康調査
WHO、日米の調査でも発癌性を指摘
アメリカ海軍の人体実験とオーストラリア実験との比較
オーストラリア実験の特性
秘密主義による犠牲
傷痍軍人年金を求めて
終わらない苦難~ソーパーとミッチェル
ロシュの場合~医師の協力
衰弱死に向かう被害者たち
二分される関係科学者たちの態度
真実究明を通じて化学軍縮の推進を
結び
インフォームドコンセントの欠如
戦時医科学の傲慢
未成熟な実験倫理の帰結
付録
1 マスタードガス被毒による中毒症状に関するWHOの解説
2 化学戦実験の志願者と報告書に関する索引(参考資料)
3 1942~43年の化学戦実験の志願者たち
4 モーリス・マウンダーの表彰状
5 志願者たちの受傷状態評価
6 突撃走路
7 ブルック諸島でのゴリルの指示書
8 主な化学戦用薬剤
9 志願者の詩「実験モルモット」
10 退役米兵の健康問題に関する報告の概要
参考文献
公刊歴史書・報告書およびパンフレット
議会データベース
書籍
記事および放送番組
監修者のことば(山岡道男)
訳者あとがき