昭和天皇の終戦史
序 「天皇独白録」とは何か
「昭和天皇独白録」の発見
「独白録」は回想の書か
「政治の論理」の介在
1 太平洋戦争時の宮中グループ
1 開戦をめぐる宮中グループの動向
宮中グループとは何か
近衛の「転向」
天皇の開戦決意
天皇の東条への信任
2 戦局の悪化と近衛グループの台頭
戦局の悪化と近衛の再登場
東条を退陣に追いこむ
近衛の上奏
3 ポツダム宣言の受諾
終戦工作の着手
近衛の和平交渉案
ポツダム宣言の発表
「聖断」による戦争の終結
「国体護持」のための「終戦」
宣言受諾をリードした人々
「玉音放送」前後
近衛の戦争責任論
近衛の「国体」観
Ⅱ 近衛の戦後構想
1 「自主裁判」構想とその挫折
アメリカの対日占領政策
「自主裁判」の決定
陸軍の戦犯処罰
2 保守勢力の敗戦への対応
「一億総懺悔」論の登場
天皇の責任問題
幣原内閣の閣議決定
閣議決定の限界
3 占領期の近衛
保守勢力の分化
天皇退位構想の具体化
近衛の蹉跌
逮捕、そして自殺
近衛手記の発表
手記の虚と実
Ⅲ 宮中の対GHQ工作
1 宮中グループによる政治工作の開始
天皇・マッカーサー会談
GHQ関係者との接触
宮中の右翼人脈
田中清玄の拝謁
2 高松宮の政治活動
戦時中の高松宮
天皇と高松宮の対立
高松宮と安藤との関係
「人間天皇」のアピール
3 GHQの対天皇政策
天皇の処遇に関する情報
マッカーサーの極秘電報
天皇の「人間宣言」
Ⅳ 「天皇独白録」の成立事情
1 東久邇宮発言の波紋
東久邇宮の退位論
三笠宮発言の衝撃
GHQへの打撃
2 GHQの対応
フェラーズ准将の示唆
クラックボーンの記事
日本側のジレンマ
3 宮中グループの動き
東京裁判対策の具体化
「独白録」の作成
「五人の会」
4 寺崎英成の虚像と実像
『マリコ』のイメージ
国粋主義者としての一面
御用掛への就任
「極秘の情報提供者」
5 松平康昌の役割
GHQとの接触
田中隆吉との関係
田中の真意
松平=田中の連携
松平と加瀬俊一
フェラーズ情報
国内の天皇退位論
Ⅴ 天皇は何を語ったか
1 二つの参考資料
「独白録」の原本
迫水手記の存在
「聖断」の語り部
「近衛公日記」の意味
2 「独白録」の論理構成
天皇の政治関与
天皇による拒否権の行使
松岡洋右の戦争責任
天皇の近衛批判
東条に対する積極的評価
「聖断」の陥穽
立憲主義の実態
「大元帥」としての天皇
対米開戦責任への傾斜
3 「独白録」のなかの天皇
天皇の非立憲的言動
好悪の情の激しさ
高松宮への反感
天皇観の亀裂
天皇の満州事変観
日中戦争への態度
4 「独白録」・その後
ウィロビーの回想
松平手記の政治的作為
事実の歪曲
底本としての「独白録」
5 「独白録」をめぐる人脈
フェラーズの反共主義
日本側の反共主義
G2との関係
Ⅵ 東京裁判尋問調書を読む
1 ニュルンベルク裁判との相違
当・不当論争の限界
冷戦との関連
機密文書の湮滅
証言に依存する裁判
戦略爆撃調査団の事例
2 尋問への協力
IPSの尋問調書
重臣グループの供述
海軍の提督グループ
外務官僚
政党人・財界人
尋問への対応の特徴
3 公判廷における証言
重臣グループの証言
「平和愛好者」の内実
判決の波紋
木戸幸一の心境
「穏健派」の責任転嫁
Ⅶ 行動原理としての「国体護持」
1 陸軍との対立
天皇の評価をめぐって
陸軍との対立
海軍への信頼
2 英米との協調の重視
協調と侵略
協調政策の転換
天皇の政治関与
3 国体至上主義
「国体護持」の使命感
神権主義的統治者意識
「皇祖皇宗」への責任意識
4 宮中グループの人脈
「血縁同盟」の存在
「知日派」とのパイプ
「穏健派」とは
結 再び戦争責任を考える
天皇と退位問題
地方巡幸と「欧化」
封印された天皇の戦争責任
あとがき
参考文献一覧