図書アワキ ワタアメ ノ タメニ000056509

淡き綿飴のために

サブタイトル1~10
戦時下北方農民層の記録
編著者名
一条 ふみ 著
出版者
ドメス出版
出版年月
1976年(昭和51年)6月
大きさ(縦×横)cm
20×
ページ
272p
ISBN
NDC(分類)
915
請求記号
915/I13
保管場所
地下書庫和図書
内容注記
和書
目次

第一章 暗い戦いの日に病む者たち(昭和一九年一月一一日~三月九日)
意に合わぬ仕事に属する日々 胸ときめかす『天の夕顔』 常に警察の目を意識して 母を裏切り恋にはしった姉 病と闘う若き甥 正確な新聞報導を望む 窮乏していく姉の生活 戦局悪化し言論統制強まる 北方性生活綴方運動の深い影響 不毛の地と救援物質
 大凶作と二・二六事件 教師連行と稗飯集め 村人の雑談・安給料に悩む 車中で佐々木先生と会う 自立強烈に生きる明治女の母 生活綴方指導教師との思いがけない出会い 言論弾圧吹き荒れる 僻地校を逃げた級友のあとを引き受けて 窮乏の日の感動
 金欲しさに僻地助教を決意 退職の理由を追求される すべては戦争の渦に巻き込まれて 春ちゃんに職を依頼、退職 よき返事待つ 母と語る夜 姉と別れる夜 春ちゃんへバトンタッチ 母の励まし 赴任の日近く ふたたび会えぬ病重き友との別れ 友人、恋人と家出を計画
 子どもは育ててみるだけ 戦争下ゆえに失う命 新聞夕刊廃止 病人・体弱き者は非国民 友人、家出中止
第二章 戦争・疲弊の僻地と子ら(昭和一九年三月二〇日~昭和二〇年三月一八日)
吹雪の日の赴任 月明下の僻地の夜 孤独感とふくらむ使命感 胸はゴム毬のように弾んで 複雑な家庭訪問を実行 希望に燃え、友へ手紙を 悲しみ沈む落第生 胸しめつける僻地の老人と子ども タダも兄イも兵隊に征っていない家 ふと……小川の流れに春の気配を……
 ねずみをポケットに入れる子 送金に心細さを慰める 孤独の中で満蒙開拓義勇軍の友を偲ぶ 雪の丘に輝く太陽 生命をかけて働くことと赤紙が来るということ 寡黙な若い出征兵士の妻 身を粉に働く長欠の生徒たち 水面に輝くねこやなぎ 地主と食えぬ小作人の子
ら 身にしむ僻地での病気 抜けない「なご根性」を嘆く 素肌に学生服を着ている子ら 岩手の人間は兵士として強い 冬を越すための自給自足 崖下に転げ落ちた餅 冬近い日の萱の穂摘み 紛失した新しい鞄 学徒出陣の便り布団の中で読む 竹槍、なぎなたの連続講習会
 東京大空襲、敗色濃い戦局 アッツ島玉砕の報 劇団の友の便りに嬉しくなる 帰省の徴用工青年たちと 茨の日に花咲く青春 居所のない子ら 暴力事件 つつましき学芸会 僻地まわりと女教師 恋の話につかの間の幸せ 「子どもかわいい」に縛られるな
 閉ざされた灰色の空の下で 青天の霹靂 情熱ひしぐ僻地の教師生活 突然の別離
第三章 転任・戦争終焉のかげり・敗戦(昭和二〇年四月一日~一二月一〇日)
恵まれた単式授業ができるのに 思わぬ共同生活者の出現 生徒を頼りの重労働 無理を子らへ押しつけて 兄に面会に行く妹 温かい豆腐を目前にして 僻地に鳴り響く警戒警報 「バッタリ」の音にふとなごむ心…… 空腹打ちつづく勤労奉仕に病む友 召集令にざわめく職員室
 送別会、酔いの戯れ、複雑な乙女心 生き甲斐 生と死の谷間で青春は悩む 分校、子どもたち 地主と名子 硫黄島玉砕 三陸海岸に艦砲射撃 からかう労働者たち 在京の友倒れる 校庭も畑と化して ポツダム宣言発表 広島に新型爆弾投下 長崎にも新型爆弾投下
 山野に一本の山菜もなく 絶望に打ちのめされた日 まぶしい灯 混迷の中に空しく過ぎてゆく日 一八〇度の転換、内部変革迫られる日々 自己喪失、自らへの問いかけ 生きとし生けるものの輝き 荒廃する教育の現場 食糧難と流言 喪中の女
 破れた障子から手をふる教師の子 女教師と育児 疎開者の死 乏しい食糧を持ち寄って 戦争の暗い影 心痛む長欠児の暮し 復員、離婚、失業悩みの果て、辞職を決意 小さき憂いと約束をあとに 別離の夜
 
あとがき