外邦図

はしがき
　
序章　外邦図の世界
邂逅
調査開始
特色
多様な作製主体、多様な目的
フランスでの展開
第1章　近代国家と地図作成
地図作成機関の登場―イギリス
　
伊能忠敬の時代
明治維新後の三角測量の導入
世界基準へのキャッチアップ
　
第2章　草創期の外邦図作製―海外地理情報の編集
一九世紀中期の外国船による沿岸測量
万国公法への順応
中国大陸・朝鮮半島沿岸の測量
「朝鮮全図」の作製
原図と協力者
朝鮮情報の不足
欧米諸国からの朝鮮情報
「清国沿岸各省図」
台湾出兵と欧米人からの地理情報
　
第3章　挑戦半島の偵察と測量―日朝修好条規締結以後
外交団に同行した陸軍将校
地図・海図の贈与
使節団による測量
壬牛事変後の国内旅行規定
陸軍将校たちの朝鮮旅行
アメリカ議会図書館での原図発見
　
第4章　中国大陸の偵察と測量―陸軍将校たちの「旅行」
陸軍将校派遣と旅行
参謀本部設立―本格的な地理情報収集へ
梶山鼎介の「鴨緑江紀行」
「護照」と滞在の「目的」
陸軍将校たちの測量方法
「ブーソルビユルニエー」
酒匂景信の距離測定
手書き原図の特色
困難を極めた二〇万分の一図への編集
製版・刊行と前線部隊への配布
　
第5章　日清戦争と　初期外邦図
「十里方眼図」と「輯製三十万分一図」
「北京近傍図」など
前線部隊の地図使用
イザベラ・バードによる地図評価
　
第6章　日清戦争とその後―臨時測図部設置とロシアとの角逐
測量班の後方測量
予想できなかった戦地の測量
「蒟蒻版」による印刷
第一次臨時測図部の編成
反日感情からの測量要員殺害
秘密測量の先駆
戦史編纂ののための旧戦場の測量
青山良敬らによる測量
義和団事件直後の測量
日露開戦に向けて
ロシアの朝鮮調査
二種類のロシア製図
日露測量隊の邂逅と距離感
日本製地図の利用
満州におけるロシアの測量活動
　
第7章　日露戦争―地図の争奪と後方での測量
戦場での地図の争奪
地図に関する参謀総長の訓辞
両国地図への評価
戦場での測量と複写―茂沢祐作の場合
ぐんの組織レベルと印刷方法
目算測図と記憶測図
地図と実際の戦闘
第二次臨時測図部の編成と活動
旅順要塞砲台図
奉天開戦時の最前線で
　
第8章　日露戦争終結後の臨時測図部
樺太・朝鮮半島の測量
藤坂松太郎の回想―朝鮮から内モンゴルへ
東北アジアの測量継続
馬賊の襲撃
測量の地域拡大―華中、華南へ
韓国併合後の補足測量
第二次臨時測図部の解散
　
第9章　植民地の土地調査事業―台湾・朝鮮・関東州
土地調査事業と土地所有者の確定
地籍図と地形図
沖縄県の土地整理事業
三角測量と土地面積の測量
台湾の土地調査事業
経緯度原点の設置と二等三角測量性
難航した関東州の土地調査事業
韓国・台湾の地籍データのその後
中国への測量技術の移転
辛亥革命による帰国と日中の類似
　
第10章　第一次世界大戦・シベリア出兵と外邦測量
中国大陸の秘密測量体制の確立
秘密測量の方法
青島占領とドイツ製地図の接収
シベリア出兵と臨時測量部の編成
アメリカ議会図書館のロシア製地図
口羽武三郎の「支那測量管見」と測量精度
「日支協商に基く協同測量」
戦時測量と秘密測量の交錯
秘密測量をめぐる外務省との陸軍の対立と妥協
　
第11章　空中写真による地図作成の発展
空中写真の時代
山東出兵での使用
空中写真からの作図
朝鮮の鉄道敷設予定地域―図化機の使用
三度にわたる樺太森林調査
高度データの重要性
満洲での需要急増
満洲空港株式会社
アメリカに残る日本軍撮影空中写真
空中写真測量による外邦図
偵察飛行と空中写真
　
第12章　満洲事変から第二次世界大戦へ―中国と南方の外邦図
満洲事変と中国製地図の押収
関東軍測量隊の編成
野戦測量隊と秘密測量の停止
「外邦測量沿革史　草稿」の編集
南京事件と中国製地図の押収
中国製地図の精度評価
蘭領東印度の地形図の複製
マレー半島での地図接収
　
第13章　外邦図作成の拡大と敗戦
外邦図の図示範囲と偵察飛行の範囲
外国製地図の複製
組織改編
関東軍第一航空写真隊のラバウル進出
細田重蔵の測量作業
終戦―地図・空中写真の焼却命令
広く行われた焼却
兵要地理調査研究会の戦時研究
参謀本部から大学へ―外邦図の持ち出し
戦後の外邦図
　
終章　外邦図と現代
軍事情報から近代資料へ
近代資料としての整備
外邦図とデジタルアーカイブ
もう一つの外邦図コレクション
研究と利用の国際化
　
コラム　1　測量技術
コラム　2　アメリカに接収された外邦図
　
あとがき
参考文献