吉田茂の軍事顧問辰巳栄一

序章　首相には「影の参謀」がいた
ワレ首相軍事顧問ニナレリ
遅すぎた「再軍備が必要」への転換
　
第一章　葉隠精神と破天荒の時代
窮乏にもめげない「尚武の記風」
喧嘩に明け暮れた陸士のころ
放蕩で独立守備隊へ飛ばされる
「恩賜の軍刀」と御乳人の出会い
　
第二章　情報戦争の渦の中へ
英国で過ごした苦難の十年
英国情報が「事変」を変えた
羽織袴でカーネル・イシハラ登場
武藤元帥の死と危険な予兆
　
第三章　吉田茂との運命的な出会い
鼻眼鏡と風の男と喧嘩太郎がいた
辰巳初「微力、説得するを得ず」
「米国を敵にしない法」
「謝罪」ではなく「遺憾」と言え
　
第四章　英米派の孤独な戦い
「英米派の孤軍」奮闘す
ベルリンへの密使たち
「西武戦線異状あり」
「変事の才」チャーチル立つ
英国民は「ロンドン抹殺」に耐えた
「ドイツ軍は勝てず」の衝撃
　
第五章　風雲急を告げる日米〝一触触発〟
「日本は本気でやる気か」
机上演習「日米もし戦わば」
対英米戦の賽は投げられた
吉田茂、寺崎太郎の戦いと挫折
断たれた絆―日本大使館邸に軟禁
手記にチャーチルへの畏敬記す
　
第六章　帝都防衛、学童疎開
東条に学童疎開を説得する
学童四十万を救った男
サイパンの赴任取り消される
終戦、死神が遠ざかる
　
第七章　敗戦―占領軍がやってきた
勝者が敗者に降伏した
「戦争で負けて外交で勝つ」
天皇制〝人質〟に憲法迫る
閣下モ偉クナレシモノ成リ
吉田は憲法を「条約」と考えた
首相の軍事顧問を拝命す
対ソ諜報網　極秘で立ち上げ
二度と米国に刃をむけさせるな
　
第八章　鉄のカーテンが降ろされた
冷戦の開幕―共産党を歓迎しない
極秘活動、二つの顔を持つ男
ニューディーラーを追い出せ
帝国陸軍〝復活〟のまぼろし
朝鮮戦争の勃発
「東条軍閥の復活」を阻止せよ
「君が制服組のトップになれ」
半島は〝日米同盟〟初戦場だった
　
第九章　吉田が目指した日本独立
元帥の誤算「中共軍の介入なし」
多数講和で米国を引きつけよ
「辰巳機関」が動き始める
影武者・辰巳に向かう圧力
吉田打倒クーデターのまぼろし
　
第十章　「歴史に消えた参謀」
総理大臣の「007」をつくれ
吉田の対中「逆浸透」作戦
「中央情報局」構想の挫折
老将は歴史に消え去るのみ
　
終章　吉田ドクトリンを超えて
　
辰巳栄一略歴
あとがき
参考文献
レイアウト（朝倉まり）
DTP（佐藤敦子）