戦争と日本人
はじめに
多様な日本人イメージを近現代史に探る(加藤陽子)
対談のねらい
副題の意味するものは
序章 世の中をどう見るか? 歴史に対する眼の動かし方
日本人の歴史観に一石を投じる
感傷も断定を排して戦争を見つめ直す
歴史を知りたいという切実さのない子どもたち
自分に引きつけて考える力
人々の心理をくすぐる仕掛け
一元的価値観の危険性
大逆事件から一〇〇年後の現状
第一章 政治と正義 原敬と小沢一郎に見る「覚悟」
狙われる政治家とは
状況を支配できるか
原伝説から見えてくる大人の政治家像
原暗殺は「子ども」のしわざ
謎を秘めた暗殺の背景
検察はどうあるべきか
小沢一郎の「理想と現実」
第二章 徴兵と「不幸の均霑(きんてん)」 「皆が等しく不幸な社会」とは
徴兵と志願兵
日本が謝罪できない心情、その背景
なぜ劇的な変化が可能だったのか
徴兵令の変遷は”公平”への歩み
「最小不幸社会」の欺瞞
桃太郎に仮託した民意高揚
徴兵の裏で
心の欠損が埋められたら
勧告の徴兵制
極東の徴兵制と日本の帝国責任
憲法九条の裏側
第三章 反戦・厭戦の系譜 熱狂を冷ます眼
なまされ、すり替えられていく記憶と感情
「戦争で殺し合うのは嫌だ」でいいじゃないか
戦争の果て、<我衰へて国栄ふ>
こぼれ落ちた人たち
命は成績順だ
熱狂を冷ます眼
文学の持つ意味
歌の持つ力
ただ甘い飴玉がしゃぶりたいだけ
刷り込まれた正義をかざすこと
第四章 草の根ファシズム 煽動され、動員される民衆
母の想い、妻の想い
国家は誰が守る?
コミュニティの冷たさと温かさ
白鳥葦花に入る
青年団と処女会
参加型ナショナリズムの萌芽
国定忠治や佐倉惣五郎の読み替え
戦時中の農業政策
犬養毅が育てた人たち
「乳と蜜」―キリスト教的思想のもたらしたもの
草の根ファシズム、農村から企業社会へ
大企業に脈々と伝わる修養団感覚
組織的ファシズムと相互監視社会
ファシズムの新たな温床、今度はネット社会へ
第五章 外交と国防の距離 平和と経済を両立させる道を探る
自衛隊が守るものは何か
自衛隊の外交感覚
パンドンの道再び、その将来的可否のカギは?
日中関係の悪化の背景
尖閣諸島だけではない中国の領有権争い
国連の平和維持軍に貢献している中国
地雷廃止条約と廃絶運動
沖縄問題とアメリカのインテリジェンス
中国社会の奥の深さ
パンダ外交とピンポン外交
第六章 「うたの言葉」から読み解く歴史 詩歌とアナーキズムと
御製にこめられた思い
ますらおぶりの時代
昭和天皇の深慮と葛藤
短歌と俳句、秩序との関係
川柳から読み取る女工の姿
息の長い非戦の思想を
アナーキズムの可能性
アナーキスト詩人
終章 国家と私 勁(つよ)く柔軟な想像力と、深き懐疑を携えて
明るいアナーキスト、大杉栄
ガンダムと戦争
揺らぎの必要性
反共とキリスト教
沖縄密約をめぐって
メディアの「浮かれ正義」は疑ってかかれ!
おわりに
歴史と日本人(佐高信)