原爆の記
序文(山田節男/中村高一/丸木位里、丸木俊)
あの日は晴天だった
「隊長、敵機!」
原爆火災を手押しポンプで消す
全部吹っ飛んでしまった
広島陸軍病院も全滅
油と脱脂綿…これが衛生材料だ
めくれ下がる皮膚
どす黒い煙、赤い舌
手術とはいっても名ばかり
倒壊家屋それは燃料の山
空に立ち昇る原子雲
麦の握り飯で腹ごしらえ
生と死の境
日本陸軍最後の衛生兵
時間は空虚に過ぎる
衛生隊は持久戦だ!
ひろがる不安と疑惑
目の下三センチにガラス片
何のために、誰のために
動けるものは生きられるぞ!
被災下を訪ねて来た少年
広島からきた電報
小樽―東京・田無―広島
船団を組んで南の海へ
司令官閣下の訓辞
敵米軍の制海、制空権下を航行
パーシー海峡のいやな思い出
わが船団つぎつぎに轟沈
輸送船団の最後
負けいくさの仲間
焼けた砂糖はカルメ焼き
左十文三分、右十一文のゴム足袋
兵隊服の軍医中尉
衛生教育隊長になる
草津で被爆した家族たち
死体と瓦礫の中を行く
台風と地震のようなショック
生きて家族と再会
何とかせねば…せねばならぬ
火傷に湧いたウジ
飯盒一杯に集めた遺骨
包帯巻きも知らぬ衛生隊
血液病であると確信
水を求めた死体の山
毛髪は脱け、人相が変わる
責任と勇気と誇りをもって
藤原包水いまいずこ
ついに出た第二期症状
深く窪んだ肉の谷
つぎつぎに栄養失調
頭半分もの髪が脱落
あっ!これはペテヒェンだ!
戦争は終わった!
自決するという無責任司令官
部下を放置した上官
崩れ去った火傷宣言
母危篤の電報で、宇土へ
黒焦げの顔で故郷へ
母もショックで死んでいた
叩かれても叩かれても
急にふえだしたハエと雑草
東京へ―海上の災難
東京への道、八人で二枚の切符
東京・田無のわが家へ
わが生涯の最大のミス
追悼―故指田吾一田無市長の霊よ安かれ―
美濃部亮吉
木部正雄
中村桂造
成田知巳
婦人会議代表
長谷川正三
山田長次郎
鈴木強
後藤喜八郎
北村宗信
佐久間はる子
田中安三
花輪音三
藤井顕孝
加藤洽三
本多嘉一郎
下田はま子
石塚一夫
山花秀雄
占部秀男
佐々一雄
浜中金蔵
木村禧八郎
しづく会
古市辰威
永井博
あとがき(指田勢郎/指田伊志子)