「少女」像の誕生
序章 近代国家における女性の国民化
第I部 「少女」の規範化
近代国家における「少女」期の位置づけ
はじめに
先行研究と問題の所在
「少女」期の規範
「愛情」規範と「純潔」規範―相克する二つの教育目的
「少女」期への配慮
女子教育論と「愛情」規範
高等女学校用修身教科書に見る「愛情」規範
女子教育論と「純潔」規範
高等女学校用修身教科書に見る「純潔」規範
「純潔」規範の形成の意図
「愛情」形成のための戦略―慈善的行為への着目
「美的」規範―精神美と身体美
はじめに
美しい魂―西洋近代国家における女性性の理想
明治期における「美育」の展開
女子教育論と「美育」
「愛の客体」としての少女―「愛情」規範、「純潔」規範、「美的」規範の調和
高等女学校用修身教科書に見る「美的」規範
婦人雑誌と美人論
むすび
少女雑誌における規範の展開
はじめに
少女らしさと「愛情」
正しい「愛情」のあり方
軌範的行為と身体美の相関性―慈善的行為を事例として
むすび
実践教育としての「園芸」―ケア役割の予行
はじめに
西洋における子どもの教育と園芸
西洋の「少女」観―植物とのアナロジー
日本の「園芸教育」
日本における女子の「園芸教育」
「少年」と「少女」の差
少女雑誌における園芸の位置づけ
むすび
第II部 象徴としての「少女」像
浪漫主義文学と美術における「少女」像
はじめに
西洋近代における花と女性の表象
恋愛主題と「百合」との結合
古典文学に見る「百合」
白百合の象徴性の受容―『文学界』同人による「永遠の女性」への思慕
「星」と「花」と「恋愛」と―星菫調『明星』
白馬会における花と女性の表象
はじめに
黒田清輝作《樹陰》に描かれた「少女」像
「芸術」の象徴―雑誌『白百合』(盛文堂)と『美術講話』
浪漫主義文学と美術における白百合の象徴性
《樹陰》に描かれた女性身体と裸体画論争
画家と「愛」の概念
画家と文学者の相互交流―藤島武二と『明星』
白百合に象徴される規範としての「少女」像
はじめに
少女雑誌に描かれた白百合
少女雑誌にの投稿欄に見る白百合
「純潔」の象徴
国民化教育における「少女」の象徴
転落の狭間に置かれて―少女小説に描かれた二人の「少女」
はじめに
転落する「少女」
階層を超えた「少女」の友情
転落からの救済
むすび
「少女」像とは何か
註
参考文献
図版所蔵一覧
おわりに
解説―若桑みどり