女たちの太平洋戦争 3
〈I〉沖縄で――国内戦を体験した少女たち
●〈ひめゆり学徒隊〉生き残った六人の証言――(聞き書き・西垣戸勝記者)
壕にガス弾……のたうち回った(富良ルリ)
熱帯樹林を四十日も転々(石川幸子)
米軍陣地へ斬り込み志願――寸前に逃げ帰る(照屋菊子)
「私を殺せ」と友……「死のう」と米兵の元へ(上原当美子)
重傷兵――薬なく軍医も打つ手なく(島袋淑子)
迫り来る米兵、自決選んだ級友(宮城喜久子)
なぜ女子生徒に手榴弾渡した(〈広島県呉市〉・栗栖哲男)
ひめゆり隊のほかにも犠牲(〈鳥取県倉吉市〉・池原正雄)
私の沖縄戦――空覆う敵機におびえ(〈東京都八王子市〉・大城春子)
「ママ、ノーライク ユー」――母の英語に救われた兄嫁と私(〈静岡県浜松市〉・石川治子)
●≪訪ねて≫病院壕に残された重傷兵・岡襄さん(西垣戸勝記者)
本当に復帰? 続く不発弾処理(〈岡山市〉・大学生)
新婚旅行の地が戦場だったとは……(〈広島市〉・村井有子)
〈II〉引き揚げ――必死の脱出体験から
●≪訪ねて≫昭和二十一年夏・引き揚げを撮った飯山達雄さん(西垣戸勝記者)
●少女たちの運命をくるわせた指示――「もう一度戦う」
私たちはだまされた?――思いがけぬ戦闘命令(〈埼玉県富士見市〉・冠満美代子)
関東軍に従い姿消した姉(〈大阪府狭山市〉・穴井美代子)
8月14日深夜に脱出命令――「軍」にはそれより早く(〈広島市〉・中村栄子)
いち早く逃げた軍属の家族(〈京都市〉・福井和子)
民間人が身代わり捕虜に(〈岡山県総社市〉・前田耕一)
●≪訪ねて≫女優の小林千登勢さん(柳博雄記者)
私の舞楽に「ハラショウ!」――ソ連兵の心ときほぐす(〈兵庫県芦屋市〉・原笙子)
見破られた男装――ソ連兵おらず幸運(〈熊本県水俣市〉・洲上みち)
他人の私を助けてくれた恩人――引き揚げ写真、自分と重なり涙(〈大阪府守口市〉・松浦悦子)
交換船でまさかの帰国(〈大阪市〉・片山敬子)
●≪訪ねて≫片山敬子さん(柳博雄記者)
財産没収・抑留……不安乗せて――私も交換船で帰国した(〈広島県尾道市〉・黒飛智恵子)
開戦直前、雰囲気違った臨時船(〈奈良県大和郡山市〉・二口一雄)
●≪訪ねて≫赤木春恵さん(上田文世記者)
〈III〉別れ――夫・親子・兄弟・そして
兄との別れ――会えぬまま人間魚雷に(〈石川県加賀市〉・宮下節子)
「壮行の辞」に感涙――学徒工場、いちずな日々(〈静岡県浜松市〉・北村道子)
入隊前夜の夫と――手を重ね何も語らず(〈東京都八王子市〉・高橋セキイ)
面会できぬまま出港した父、セブ島で玉砕(〈大阪府東大阪市〉・富田順正)
「月の砂漠」親子の別れ歌に……(〈大阪府摂津市〉・宮崎茂治)
「すぐ帰る」……夫の言葉胸に――冬の駅で待ち続けた母子(〈京都市上京区〉・名所籌子)
家業変えた直後に召集(〈名古屋市〉・石井篤子)
兄の出征を見送り遅刻――まじめにやれと教師(〈三重県久居市〉・西川礼子)
悲しげだった恩師・小泉先生(〈広島県安芸郡〉・和泉和子)
●≪訪ねて≫小泉先生はなぜ悲しげだった(安東建記者)
父の涙・兵の涙・師の涙(〈兵庫県神戸市〉・岡文子)
〈IV〉空襲下の日々――なおうずく傷跡
●≪全国空襲被災地図≫二百二十九ヵ所、六十万人近い死没者(西垣戸勝記者)
乳児を背に直撃弾(〈東京都〉・木村顕子)
疎開先も炎上避難(山梨県中巨摩郡・河村静枝)
掃射米兵の顔見えた(〈新潟市〉・藤田初子)
私と勤務交代して死んだ級友(〈名古屋市〉・佐々木あき)
電車通りを火が走った(〈愛知県知立市〉・岩月妃佐子)
ページ繰ろうとしたら、焼け跡の教科書が粉々にくずれた(〈岐阜県美山市〉・堀はるみ)
銃撃を逃れて京都へ――駅で聞いた終戦放送(〈京都市〉・的場美知子)
帰らぬ父尋ね歩く(〈大阪府東大阪市〉・吉川シゲ子)
焼夷弾の雨、顔に熱傷〈大阪府堺市〉玉田鉄子
負傷した腕、刀で切断(〈兵庫県佐用郡〉・柏原姫路子)
妹の死――母、「魂会いにきた」と涙(〈広島県福山市〉・橋本末子)
原爆が父母一度に奪った――変わり果てた姿に眠れず(〈広島市〉・西村園子)
用水路潜って逃れた(〈福岡県太宰府市〉・明星輝子)
下校時の空襲で――行方不明の生徒が(〈福岡市〉・吉村道子)
父に借りた時計、焼け跡に(〈福岡県北九州市〉・阿部照子)
防空監視員――空の情報を警察電話で(〈岐阜県池田町〉・松岡千鶴)
二十四時間体制で敵機警戒――空襲警報下も職場を離れず(〈大阪府堺市〉・小山美智子)
母子像が来月大阪に――皆様のお力添えに感謝(〈大阪府豊中市〉・金野紀世子)
●≪全国空襲被災地図をつくって≫(西垣戸勝記者)
〈V〉日本と韓国・朝鮮の間で――歴史を引き継ぐために
●≪韓国から≫――引き裂かれた人々を訪ねて(聞き書き・川名紀美記者)
掘り起こされた祖国の真実――日本人と共に理解深めたい(〈大坂府堺市〉・鄭点連)
生まれた神戸で被災、祖国へ――そこでも戦争起きる(〈韓国・馬山市〉・金貞淑)
村長だったアボジの涙――徴用……「お前が行ってくれ」(〈大阪市〉・金壬生)
皇国臣民を信じ――日本人になろうと努力(〈大阪府〉・姜素美)
敗戦直後に朝鮮の民族服姿――小旗振り歩く人々あふれた(〈東京都国分寺市〉・栗田雅子)
終戦、教科書焼く朝鮮人教師(〈東京都〉・中森涼子)
侵略した事実を隠さず伝えて(〈岡山市〉・長崎優子)
証言読んでアジア認識に変化(〈京都市〉・渡辺恭子)
●≪訪ねて≫尹貞玉前教授(井上裕雅記者)
●≪訪ねて≫吉田清治さん(井上裕雅記者)
ペェさんが死んだ(〈大阪市〉・金伊佐子)
ペェさんの死
戦後の生活なお重く――謝罪と補償の言葉も聞けず(〈東京都練馬区〉・川田文子)
●≪訪ねて≫在日同胞女性の会(井上裕雅記者)
慰安婦たちの幸せ祈る(〈広島市〉・政木五郎)
教え子を女子挺身隊に(〈奈良県生駒市〉・池田正枝)
●≪訪ねて≫朴壽南さん(井上裕雅記者)
●≪訪ねて≫金学順さん(植村隆記者)
ウソは許せない――私が生き証人(〈韓国ソウル市〉・金学順)
●慰安所、軍関与示す資料――防衛庁図書館に
韓国編を読んで――過去は清算されない(〈奈良県吉野郡〉・水口芳生)
●関連用語・朝鮮支配/朝鮮人強制連行(〈兵庫県芦屋市>・金英達)
〈VI〉敵は日本人だった――暴圧の中で
フィリピンで見た地獄――お産助けてくれた女性が殺された(〈熊本県菊池郡・吉良シズノ)
シンガポール攻略の山下大将――称賛しないと担任は激怒(〈京都市〉・久保田知世子)
教育勅語――信じて酔った「神国日本」(〈東京都港区〉・知野淑子)
「お前らの学校の神は敵」(〈奈良市〉・松岡一枝)
軍国乙女の模範校に妃殿下――燕尾服の先生がブタの番(〈東京都〉・渋谷陽子)
障害で働けなかった私――女学校進学さえ許されず(〈東京都目黒区〉・小柴資子)
「ルーズベルトが死んだ」でワッショイ(〈愛知県春日井市〉・吉田政枝)
「チャーチルを縛れ」――授業やめて縄ない時間(〈鹿児島県姶良郡〉・鬼塚良子)
英国民謡まで敵扱いに〈東京都八王子〉兼次京子
敵国音盤でコンサート――許可を得て何回も公開(〈広島市・島本猛)
児童に弁当盗まれた――食糧難でしかりもできず(〈福岡県穂波町〉・武富智子)
勉強せぬまま――感動のない卒業式(〈佐賀県小城郡〉・林哲子)
「誤った歴史教えてすまない」――戦後、授業で先生謝罪(〈愛知県豊明市〉・西村ふじえ)
演習でしごかれた産後の母(〈埼玉県与野市〉・平野チヒロ)
夫の戦死のせた公報――涙は見せなかったが(〈愛知県宝飯郡〉・後藤秋子)
わが家の米騒動――必死に隠したあの時代(〈広島県廿日市市〉・毛利日出子)
天と地、逆さまに……終戦の日(〈福岡県北九州市〉・村端春美)
凍える手で編んだ俵(〈東京都八王子市〉・瀬沼幸恵)
国際劇場で風船爆弾づくり――「子供を殺傷」に愕然(〈千葉県柏市〉・山崎美和)
●≪訪ねて≫森川三都子さん(豊城邦民記者)
荷揚げ作業をしていた捕虜たちと(〈兵庫県洲本市〉・箕崎政子)
一椀のうどん求めて行列――花恥ずかしき娘盛りに(〈愛知県豊田市〉・黒柳良子)
宝塚の青春――レビュー消え……ついに中止命令(〈奈良県生駒市〉・西野田鶴子)
●≪訪ねて≫元タカラジェンヌ(河合真美江記者)
●≪訪ねて≫元記者・藤原一郎さん(西垣戸勝記者)
姿消した米国人姉妹――父親はスパイ容疑で逮捕(〈札幌市〉・大久保澄子)
●≪訪ねて≫レーン姉妹(安東建記者)
●≪訪ねて≫秋間美江子さん(安東建記者)
新事実に目開かれ(〈大阪府枚方市〉・角田玲子)
●≪訪ねて≫ニューギニア戦に従軍した飯田進さん(茂山憲史記者)
真実の声を寄せて下さい――旧陸軍造兵廠養成所に関係した方々へ(〈千葉県柏市〉・小澤武明)
フォーラムに出席して――本当の国際貢献は過去を見すえることから(〈大阪府河内長野市〉・玉山ともよ)
〈VII〉開戦の日――興奮・まさか・おびえ
海軍省へ全生徒が行進――恩師が「真珠湾はだまし討ち」(〈東京都練馬区〉・田中洋子)
砲声で目ざめた上海の朝――魚雷におびえ帰国(〈大阪府豊中市〉・中野千浪)
落雷のようだった爆発音――学校は軍の縫製工場に(〈千葉県木更津市〉・宇代美子)
兵の宿舎となった我が家――親子7人、2階で気づかう日々(〈福岡県久留米市〉・空閑須磨子)
真珠湾――祖先の日本国がまさか(〈ハワイ・ホノルル市〉・エセル・エツコ・ウチダ)
●≪訪ねて≫エセル・エツコ・ウチダさん(安東建記者)
その夜――「敵性外国人」と父を連衡(〈ハワイ・ホノルル市〉・ローラ・ミホ)
●≪訪ねて≫ローラ・ミホさん(安東建記者)
差別におびえた日々――日曜学校で知った開戦(〈ハワイ・ホノルル市・主婦・匿名希望)
遠い祖国――ラジオから凍るような「開戦」(〈ハワイ・ホノルル市〉・フク・ツキヤマ)
●≪訪ねて≫元参謀の吉岡忠一さん(西垣戸勝記者)
〈VIII〉海外からの証言――タイで、豪で、アメリカで
●タイから
日本の兵隊さんとも遊んだ――西洋人捕虜にも食糧分けた(〈タイ〉・パニット・シーパン)
●オーストラリアから(聞き書き・溝上瑛記者)
父が日本人のため強制連行――豪では補償の動きなく(〈オーストラリア・メルボルン市〉・グローリー・カミングス)
≪訪ねて≫永田由利子さん(溝上瑛記者)
タチュラ収容所を管理――活発な少女の姿、今も(〈オーストラリア・メルボルン市〉・ジェームス・サリバン)
●≪訪ねて≫ハンク・ネルソンさん(溝上瑛記者)
捕虜の証言掘り起こす――戦後世代の歴史学者
●元捕虜の体験
怖い制裁、病院にも強制労働(〈オーストラリア・メルボルン市〉・ドン・ムーア)
●米国で・日系人たちの苦闘(聞き書き・安東建記者)
●≪訪ねて≫ドロシー・ヤマグチさん
●≪訪ねて≫フミコ・ハヤシダさん(安東建記者)
●ゴールド・スター・マザー
戦死した息子――栄誉や勲章で消えぬ悲しみ(〈米ワシントン州〉・神崎朝野)
●≪訪ねて≫日系女性の歴史を出版するナカノさん(安東建記者)
●≪訪ねて≫ハワイで育った日系人(安東建記者)
米国民――差別否定した校長(〈米ワシントン州シアトル市〉・イマニシ トシコ)
●≪訪ねて≫語り継ぐ三世たち(安東建記者)
米の日系二世軍――生存者と会い感動(〈和歌山県有田郡〉・林岸子)
米国の反核運動を見て(〈米ミズーリ州〉・脇坂あゆみ)
〈付1〉振り返る暮らし――手記と朝日新聞紙面から
〈付2〉テレビドラマ化――投稿のエピソードから
〈付3〉’91フォーラム――見つめる過去・現在・未来
年表 一九二八~一九四五
あとがき