女にとっての戦争 2
一九六八年(昭和43年)
血を流させたものへの憤り(高見悦子)
また免疫になるのを恐れる(早川恭子)
最も日常的な存在から(立原未知)
私の思い描く戦死者の墓地(藤川渓子)
こんどこそベトナム和平を(飯野周子)
韓国の原爆患者にわびたい(田中テル)
憲法を六十の手習い(石黒周子)
「備えあれば」の恐ろしさ(伊藤つや子)
百日紅に思う原爆の悲劇(吉田菊枝)
亡き弟への追憶(武井貞代)
赤い雲のつめ跡(谷川寿子)
「あの日」の記憶のある限り(持田郁子)
お国にささげた故郷の家(大西信子)
仏壇の奥に入れた兄の勲章(関和子)
育てよう「デモをする権利」(匿名希望)
戦死者慰霊祭に出席して(加納昌子)
一九六九年(昭和44年)
兄たちの羽根つき(長尾彰子)
終ってなかった父母の戦後(吉川美智子)
戦死した父の墓が欲しい(斎藤由恵)
肩身の狭い被爆二世(匿名希望)
戦争中の「聖火リレー」(高橋文子)
父が戦死して二十四年(西山悦子)
戦災孤児だった夫(佐々木三枝子)
父の味がするギンナン(斎藤由恵)
昔の疎開先から届いた喪中の報(大森輝子)
一九七〇年(昭和45年)
女は執念深いのである(溝口悠紀子)
出てきた予科練の合格通知書(河野ひさ江)
主婦として何かしなければ(旗手みどり)
捨てきれない二つの帽子(北垣甲子)
焼け野原でのコンサート(永田周子)
八月の太陽は悲しい(水原富子)
植木バチに拾われた母の骨(奥山俊子)
作られた「敵」を恐れた私(福本英子)
夜の品川駅の別れ(牧野弘子)
平和はいいなあ(畠山美恵)
ベトナム帰休の沖縄出身兵士(小林節子)
一九七一年(昭和46年)
一人暮らしの母を案じつつ(県洋子)
戦災生きぬいたひな人形(木村富美子)
戦死の兄を待っていた亡父(大島かづ子)
ヒロシマを語りつぎたい(三宅泰子)
東京空襲を記録する文集(紀伊艶子)
兄を奪われた妹の体験(仁木悦子)
妻たちの戦後はつづく(星野美子)
私も戦争で兄を失った妹(寺島弘子)
責任追及の執拗さが大切(渡辺瑞代)
一九七二年(昭和47年)
横井さんのニュースに思う(林和子)
箱根国立療養所の人びと(福田昌子)
遺骨収集への肉親の願い(棚田良子)
鏡台を買った古稀の母(石井鞆音)
相模補給廠前で逮捕された息子(鈴木芳子)
希望の顔はすばらしい(中井道子)
信濃路の秋に木の実を拾う(加藤静)
兄の霊は南の海の底深く(滝沢美子)
カボチャを受けつけない夫(鳥海陽子)
一九七三年(昭和48年)
「北爆指輪」に願いを託して(片野和子)
ベトナム停戦と六歳児(佐藤静子)
二十八年前の集団疎開の友達へ(馬場カヨ)
南の島への里帰り(吉田福子)
父親の温かさを知らない父親(宮川久美)
防空ごう堀りとトロロイモ(藍原リエ子)
忘れ得ぬ「八月十三日の人」(上脇霜子)
「鷹匠」で思い出した祖母の話(小泉寿子)
女性は軍歌を歌わない(勝又喜美子)
「飢え」思い出したイモ掘り(亀谷美智子)
一九七四(昭和49年)
めぐり来る東京大空襲の日(笹本喜久子)
「絶対」に納得しないわが子(犬伏すみ)
いま思い出す祖母の涙(五十嵐登美子)
戦争で見た人間の二つの顔(椿芳子)
スタコラ逃げ出せる勇気(松本節子)
白いホカホカ御飯とアジの塩焼き(今里綾子)
両親の金婚式でなつかしい対面(加藤美智子)
我慢の押しつけはゴメン!(八木原道子)
一九七五年(昭和50年)
空襲で拾った命、今日も無事(及川とし子)
夕日の中で思う東京大空襲(志野原勝子)
平和のため、私にできること(加藤とも子)
八歳の娘に語り継いだ原爆(玉手理子)
インドシナの民衆に手を(小林礼子)
ベトナム募金に協力したいが(安江明子)
「昔は手で洗たく?」と驚く子(小出慶子)
父の履歴書(内田明子)
疎開児童と再会、老父の涙(雨宮照世)
まだ忘れられぬ戦争の悪夢(石原愛子)
死を覚悟していた父の言葉(戸野谷由美子)
娘へ小包、思い起こす戦争(槇文子)
粗食に耐えた幼児はいま……(川島浪子)
親と娘の「意義のある宿題」(中石節子)
天皇訪米の風景(相原ゆう)
忘れられないカキの思い出(深沢真理子)
一九七六年(昭和51年)
チョコレートの箱と父の死(小林ルミ子)
草もち喜んだ寝たきりの姉(宮沢寿子)
日の丸は戦死した息子の……(後藤雍子)
「お父さん」と呼べなかった私(関博子)
戦争がこわいという娘の詩(猪野富子)
あまりにむごい戦争の思い出(鞍智美知子)
軍隊のビンタ忘れぬうらみ(金山愛子)
「正八位」よりも青春を返して(藤井友子)
しみじみ三十一年ぶりの卒業式(米川琴)
一九七七年(昭和52年)
受けとれなかった一万円(蓮沼とよ子)
SLを見て戦争思い出す(山村美恵子)
出征兵の背の赤いコイのぼり(森本郁子)
軍歌をくちずさむとき(永井百合子)
子に「君が代」歌わせたくない(山内保子)
未体験の戦争も語り継ごう(中村陽子)
一九七八年(昭和53年)
悪夢のようだった預金封鎖(山芝美枝子)
雑のうで作ったランドセル(長田幸)
赤いひものついた防空頭巾(鈴木妙子)
集団疎開の友の顔なつかし(山口久枝)
シベリアから父が帰った日(冨山美枝子)
夏祭りで思い出す戦争(高橋照子)
花火は空襲の死者への川供養(後藤雍子)
つらかった戦争中の生理日(広瀬秋紅)
娘の宿題に残す終戦の体験(西内八重)
母を通じてしのぶ父のこと(小林雅代)
二十四歳で戦死した父の遺言(藤波倭文子)
一九七九年(昭和54年)
書きとめた義父の戦争体験(石山みえ子)
憲法前文はわが青春の書(西茂子)
石けんの香りに平和をかいだ頃(木村靖子)
涙が流れた三十六年前の家計簿(細野政子)
戦没学生の母の悲しさ知る(高橋洋子)
うそで包まれていた時代(桜井静子)
一九八〇年(昭和55年)
『流れる星……』で知った苦難(角澄子)
亡夫の母を世話する嫁の私(田中たかの)
心ふるえたビスケットの味(河合洋子)
再び『きけわだつみのこえ』を(福田フジ子)
「語りつごう、静岡大空襲」のビラ(田宮ますえ)
ひめゆりの乙女の友として(兼次京子)
あの日々は風化させられぬ(滝沢よし子)
木綿の感触に平和しみじみ(平柳喜和子)
たった一人で戦い続けた父(大里祥子)
難病の女性と共に祈る平和(和田三千代)
小さなデモで反戦への決意(宮下喜代)
まりつき唄に食糧難しのぶ(坂内敦子)
平和の尊さを語り継ぎたい(吉武洋子)
「平和教育」を見捨てないで(岡本早苗)
四十五歳の小さなナベいとおし(大津一女)
真珠湾の夜、反戦主張した父(加藤道子)
軍人一時恩給と生命の重さ(落合典子)
「私も戦争担った」、でも今は(新谷れい子)
一九八一年(昭和56年)
定年後にこそ平和な日々を(佐々木かづ子)
戦死した兄の供養と針供養(今野てる)
ミカンの味は母の苦労の味(金内迪子)
アルバムに思い出数々三十五年(鈴木勝子)
平和こそが級友への鎮魂歌(高見沢幸子)
日本にも戦争あったの?(新井恵美子)
肉親捜す顔写真に重なる自分(西田清子)
「はやらない」!?非核三原則(岩野由美子)
戦争は過去のことでしょうか(池上従子)
平和な社会の軍事化に恐怖(村井福子)
生かしたい敗戦後の教科書(小林眸)
どう残すおばちゃんの嘆き(萩原美穂子)
父の枕辺、平和を祈る(宇津山久子)
戦争体験集にも五度目の夏(西山正子)
「すいとんうまい」平和だね(増口千代世)
ささやかに祝う「終戦の日」(鈴木アヤ)
「非国民」の名に兄は耐えた(宮崎史子)
中国に残った父の作品(西本芳子)
軍服よりジーパン姿が好き(筒井真樹子)
一九八二年(昭和57年)
米軍機墜落事故の日(長谷川玲子)
核禁止署名、当然と思ったが(多田美津子)
子を残した親たちのつらさ(奥田千鶴子)
卒業式を焼いた東京大空襲(海口陽子)
つらく長い姉の戦後終わる(宮沢寿子)
反核署名待つ人と断る人と(五十嵐まつ)
再び象を殺さないだろうか(福井由紀子)
「ひととき」の趣旨と役割(影山三郎)