図書オンナ タチ ノ タイヘイヨウ センソウ000052229

女たちの太平洋戦争 2

サブタイトル1~10
敵は日本人だった
編著者名
朝日新聞社 編
出版者
朝日新聞社
出版年月
1991年(平成3年)11月
大きさ(縦×横)cm
19×
ページ
271p
ISBN
402256363X
NDC(分類)
916
請求記号
916/A82/2
保管場所
閉架一般
内容注記
和書
目次

〈I〉別離――父、兄、そして多くの人たちと
「源氏物語」残して先生は行った――「戦死」の報、今も信じない〈福岡市〉(八重チヅ子)
歌で見送った人間魚雷の船〈山口県下松市〉(沖本美智子)
雨中の学徒出陣……涙で見送った――忘れられない決意の表情〈長崎県佐世保市〉(徳淵和子)
もてなし喜んだ若者二人――未明に特攻出撃した〈山口県下関市〉(岡島照代)
軍歌の中、特攻機見送った――兄も学業半ば沖縄で散る〈山口県下関市〉(古谷八重子)
親兄弟案じ炎に身投じた父――博多大空襲で〈福岡市〉(左座礼子)
父戦死、写真も日記も空襲で焼けて
戦死の父、葬式は質素だった――慰霊のためいつか現地へ〈大阪府茨木市〉(佐藤烈子)
霊柩車なくリヤカーに父の柩〈大阪府豊中市〉(大景正子)
私の涙が重荷に…8・6父はついに戻らず〈福岡県浮羽郡〉(千代田美智子)
 
〈II〉温かい心――ささやかな自己主張
母が出したきれいな浴衣――灯火管制の町を蛍狩りへ〈京都市〉(久世幸子)
「疎開の子の寂しさわかる人になって〈広島県尾道市〉(村越八重子)
灯火管制の夜に弟が生まれた…〈岡山県倉敷市〉(太田美江)
少年兵は飢えていた――でも、将校には羊かんも〈神奈川県横浜市〉(大森かほる)
勇んでなったバス運転手〈広島県岩国市〉(溝端光枝)
十六歳でバスの運転手に――寝不足重なりついに事故〈東京都目黒区〉(相沢とし)
戦時忘れて楽しい山登り〈長崎市〉(矢野カツヨ)
防空壕のスカーレット・オハラ〈東京都世田谷区〉(佐藤紀子)
夫のもとへ一人旅――「死ねない」心の中で誓う〈岡山県玉野市〉(長船金子)
空襲かいくぐり結婚式――その数日後、彼は戦地へ〈東京都港区〉(神戸敏枝)
兄が隠した写真――外国女性の美しさに感動した〈京都府宇治市〉(市平茂子)
今も思い出す、外国人捕虜のやさしい青い目〈愛媛県松山市〉(岡田登美子)
捕虜に語りかけた「たドリタ」――安らぎをありがとう〈兵庫県加古川市〉(石田恵美子)
 
〈III〉被害者そして加害者――国の内と外から――
引き揚げ列車――あのおなかの赤ちゃんは…〈北海道沙流郡平取町〉(高野スヱ)
やっと会えた父は連行され、銃殺に〈福岡県八女市〉(斎藤千鶴)
脱出のヤミ船に米兵が乗船…〈山口県大津郡〉(松岡典子)
忘れられない位牌持つ暗い目〈京都府福知山市〉(津田朝江)
●《訪ねて》福山の石井さん(西垣戸勝記者)
ソ連兵憎しばかりでは――戦争加担の足元を見て〈京都市〉(加藤敦美)
むごい…でも本当の歴史知りたい〈香川県観音寺市〉(安藤和子)
手記を読んだ衝撃――言葉ではと十四歳の娘〈兵庫県神戸市〉(老田栄子)
此の国の蛮行憎みてあらむ――打たれていた朝鮮の少年〈徳島県阿南市〉(岡部恵美子)
身代わりになった元慰安婦の方々〈兵庫県川西市〉(入江徳子)
歴史教育もっと充実させて〈鳥取県岩美郡〉(浜口一恵)
●《訪ねて》「手記」電波に乗る――日色ともゑさんが淡々と朗読(安東建記者)
おびえる私に手差し伸べてくれた中国人男性〈兵庫県神戸市〉(小池すみ江)
「コロスナ!オレノオンジンダ」――助けた兵補に助けられ〈大阪府枚方市〉(高木信史)
怖かった日本人巡査〈韓国ソウル市〉(金女淳)
韓国語を習い上官に叱られる…〈長崎県平戸市〉(黒崎和江)
元下士官囲んだ中国の群集――しかし、暴力はふるわなかった〈山口県阿武郡〉(小見山藤子)
敗戦の夜、決別の歌――私たちを逃がし、教官は撃たれた〈香川県高松市〉(那須佐紀子)
ヤブジイにもらった下駄――強制連行者との思い出〈福岡県鞍手郡〉(副田惇子)
言葉にならない悲しさがある〈大阪府藤井寺市〉(広実平八郎)
■日本人経営工場で働いた少年少女〈中国・大連で〉(聞き書き・西垣戸勝記者)
毎日十二時間働き、殴られ、飢えていた〈大連市〉(劉智久)
機械に挟まれたお下げ髪――その傷跡今も〈大連市〉(王小花)
伝染病に倒れ意識不明に――仲間らが救出〈大連市〉(郭秀芝)
十歳から重労働――満鉄の日々〈大連市〉(王泓俊)
 
〈IV〉敵は日本人だった――戦時体制下の強圧――
徴兵忌避かと家に憲兵――「即日帰郷」で疑われた父〈北海道釧路市〉(中島滝子)
即日帰郷の父に中傷文――再び召集、戦死覚悟で出征〈愛媛県東予市〉(徳永厚良)
魚雷受け、やっと生還――憲兵は冷たく〈東京都世田谷区〉(林美智子)
火の手から逃げる母と私も警官は「非国民」と殴った〈愛知県春日井市〉(高木留子)
算数の比例で「皇軍は疲れぬ」と先生〈兵庫県神戸市〉(馬場章子)
遊びで描いたB29――怒声と嘲笑ビンタされ〈和歌山県新宮市〉(筒井和美)
敵が来たら玉砕せよ――先生は言った〈大阪府和泉市〉(長尾愛)
十六歳でなった「軍国せんせい」〈東京都八王子市〉(中沢麗子)
米兵捕虜見て「お可哀そうに」が批判を浴びる〈長崎県佐世保市〉(郡澪子)
上官こそが鬼畜だった〈広島市〉(吉光義雄)
■「従軍慰安婦」「軍夫」を見つめる
木剣ふるい無理やり動員――加害者として〈千葉県我孫子市〉(吉田清治)
●《訪ねて》映画「アリランの歌」完成(井上裕雅記者)
ショック受け、ぼうぜんとした〈兵庫県津名郡〉(平田みはる)
アジアの人々におわびしたい――〈和歌山市〉(井本清三郎)
●《訪ねて》慰安婦・軍夫を見つめる沖縄(井上裕雅記者)
切り離せぬ慰安婦と民族問題〈奈良県生駒市〉(李和子)
●《訪ねて》沖縄でたどる「強制連行」(安東建記者)
少年は見た、沖縄戦の慰安婦〈大阪市〉(富村順一)
中国で会った慰安婦――金に縛られ心身ボロボロに〈広島市〉(藤井忠)
強制労働・慰安所の開設――南の楽園汚した軍隊〈広島県御調郡〉(揚田明夫)
「性」を軍需品扱い――背景の道徳観を反省〈福井県南条郡〉(野村新)
 
〈V〉証言・日本軍は何をしたか――中国各地の報告
■北京で
子ども連れで逃げ回る日々、従弟は生き埋めにされた〈北京市〉(韓淑芳)
身体検査で味わった屈辱――抗日義勇軍へ秘かに寄金〈北京市〉(傅玉賢)
■重慶爆撃――三万五千人超えた?死傷・不明者
赤子を抱いて外へ――直後家に爆弾が〈重慶市〉(周朝珍)
死者に石灰ふりかけて〈重慶市〉(劉素芳)
見つかったのは頭だけ〈重慶市〉(艾婉●)
満員の防空洞…もがき苦しむ〈重慶市〉(胥秀雲)
空襲で三年間に七回、家失う〈重慶市〉(葉明仙)
「毒ガス」のひとことで惨事に〈重慶市〉(陳栄安)
百貨店も倉庫も土地も――大空襲で失い身一つに〈重慶市〉(陳叔敬)
母と兄弟六人、必死の脱出〈重慶市〉(彭徳漢)
防空洞転々――身を隠し、そのまま焼かれた人も〈重慶市〉(欧陽平)
教室開放し避難民を収容〈重慶市〉(周永林・息子の勇)
■南京事件
日本兵の軍刀を抜き戦った――最初の赤ちゃんを流産〈南京市〉(李秀英)
二所帯十三人のうち十一人が虐殺された〈南京市〉(夏淑琴)
楊子江の水面が死体の頭で黒く――逃げる人に機関銃、手りゅう弾〈南京市〉(劉永興)
前事不忘……私たちは紀念館員です〈南京市〉(段月萍・張益錦)
■民衆が手つなぎ友好を――南京師範大の学生らに聞く
祖父から聞き授業で学んだ
侵略の事実忘れないで
虐殺現場行くたび動揺
■毒ガス実験〈ハルビン市で〉
実験を見た。「話したら殺す」と後で脅された〈ハルビン市〉(傅景岐)
親類や知り合いがペストでバタバタ倒れた〈ハルビン市〉(李風芝・岳振坤)
 
〈VI〉「中国報告」をどう読む――歴史を継ぐ一人として
日本軍空襲のむごさ知る〈大阪府豊中市〉(金野紀世子)
中国への空襲に一役買い悔恨〈石川県金沢市〉(中野正次)
在日中国人として、軍備なき平和望む〈大阪府堺市〉(魏健剛)
学校で南京事件教えて〈島根県松江市〉石策重喜
余りに自虐趣味――双方の市民に被害〈大阪市〉(伊藤高一)
「加害の真相」今知ろう〈大阪府吹田市〉(小田五月)
戦争の実態正直に語って〈大阪市〉(金政淑)
執拗が「偏執」に――今の世界、直視を〈福井県武生市〉(川崎公一朗)
過ちを認識せずに過ちをわびられようか〈大阪府吹田市〉(河村泰宏)
知らないふりこそ恥ですよ〈京都府綴喜郡〉(高角やよい)
反省なくして友人はできぬ〈兵庫県西宮市〉(増田勝睦)
繰り返さぬために語り継ぐ話〈滋賀県甲賀郡〉(力武由美子)
過去の暗部より日本人の誇りを〈福井県武生市〉(佐々木祐子)
知らぬこと…まだ多すぎる〈兵庫県伊丹市〉(横内正博)
「金めあて」慰安婦――私には信じられぬ〈福井県南条郡〉(野村新)
五十八歳にして知る南京陥落の裏面〈大阪市〉(清水保)
勇気持ち本音か語ろう〈大阪市〉(姜素美)
戦争の状況下では――皆、悪いことをする〈京都市〉(川崎岳)
「南京」偶発的でない――建軍精神で残虐行為〈広島県呉市〉(栗栖哲男)
自分の国に誇りを持たなければ〈大阪市〉(冨士二三子)
戦うべきだった朝鮮民族〈大阪市〉(李萬九)
悪鬼と化した私――中国人の治療、一転〈広島県深安郡〉(川上憲)
毒ガス打ち込んだ修水河攻防――農村の少年兵を犠牲に〈大阪府堺市〉(中山凡流)
戦線拡大で消えた軍律〈徳島県麻植郡〉(荒井正生)
エゴの塊だった高級将校〈広島市〉(田川潔躬)
罪に対し恩で報いた中国人〈大阪府岸和田市〉(上田政夫)
被害者の声大切に〈大阪府〉(女性・匿名希望)
 
〈VII〉暗い青春――耐えるしかなかった日々
父の手料理――「ピヨ」が鍋の中に……みんな泣いた〈大阪府羽曳野市〉(飯山正子)
「人間爆弾」製造手伝った〈大分市〉(岩本京子)
作業ばかり続いた高女時代〈福岡市〉(早田禮子)
風船爆弾つくった日々――花びら形に紙を切って息抜き〈大分県別府市〉(堤静香)
風船爆弾作りさえ甘い思い出の彼方〈大阪府泉大津氏〉(嶺貴美恵)
「神風」の手ぬぐい――額にしめ工場で働いた〈福岡市〉(岡田照子)
神風の鉢巻き――私らが選んだ〈大阪市〉(藤原一郎)
洗濯奉仕で下着洗う――シラミの行列に悲鳴〈福岡県北九州市〉(山口実代子)
米軍機のビラ、謀略だと思った――「神国日本は負けぬ」と〈東京都大田区〉(河西愛子)
今も悔やまれるあの日――幼い男の子置き去りに〈広島県大竹市〉(枝松きみ子)
空襲でお米屋さんも焼けた――拾って防空頭巾に詰めた〈鹿児島県川内市〉(小牧絹與)
東京大空襲――疎開帰りの子らに「帰る家」はなかった〈東京都台東区〉(平澤節子)
「新型爆弾、次は新潟」――夜を徹し三十キロの大脱出〈埼玉県浦和市〉(山口漢子)
二度まで売られた私〈新潟県〉(長沢春子)
名簿の一行に忘れられぬ衝撃〈奈良県奈良市〉(高松喜一)
戦後、たくましく生きた……〈奈良県宇陀郡〉(中牟田多美子)
■中国に残った日本人〈ハルビンと大連で〉(聞き書き・西垣戸勝記者)
日本は恋しいけれど――再婚した夫をしのび永住〈ハルビン市〉(亀井光子)
両親・兄を振り切り夫と残った〈大連市〉(田淑瑛)
 
あとがき
 
装画(早野朝子)
装幀(多田進)