花をたむけてねんごろに

自序
　
献詩　花をたむけてねんごろに
　
内地
東方への道に殉じて
アメリカにある二つの顔
戦争は私の罪人です
青空がもどってきたのに
あの日、あの時、あの人が
より多く、より早く、遺骨収拾を
靖国神社で会おう
地震いなば新しき泉湧きぬべし
わたしたちのそばに英霊が立っている
　
大陸
戦乱のなくてぞ見まし今日の秋
石を抱いて母を慕う兵なれば
吹雪に消えた紅駕籠
馬に布団を着せた兵隊
ヴァイオリンを弾く兵隊
山西の星も知っている
中国の銭
　
シベリア
シベリアの野に花は咲けども
　
樺太
樺太の姫百合部隊
　
硫黄島
だれにはばかることもなく
　
インドネシヤ
獄舎の血書
あの空のどこかで
積乱雲をゆり動かした大合唱
“八重汐”の歌
　
ビルマ
ビルマの空に輝く一点の星
　
フイリッピン
悲劇の将軍
獄舎モンテンルパの灯の下で
文明の敵といわれて
　
海軍
戦艦榛名の武士道
　
特攻隊
花も紅葉も見ることなしに
　
宣撫班
つぎに来る旅人のために
八木沼丈夫とその弟子たち
黄河の大合唱
水を治むるものは
戦場の土で慰霊塔をつくろう
　
詩　一本の針
　
あとがき