あの戦争は終ったか
はしがき
I あの戦争は終ったか――過去形で語ることの陥穽――
作戦終末点を越えて
人肉戦線
薬殺、置き去り、そして俘虜
軍人恩給と戦務加算
現認証と戦死公報
「天皇のため戦わなかった」ことのむくい
従軍看護婦の場合
「糧ヲ敵ニモトム」
あの戦争は生きている
II 加害と被害の構図――侵略した側の戦争認識――
マニラ陸軍病院
朝鮮人慰安婦“徴用令”
語られなかった慰安婦の悲惨
従軍慰安婦と『国家総動員法』
御嶽発電所事件
特殊手段による強制連行“兎狩り”
花岡の惨劇
「共栄館」と戦争体験の伝承
III あの戦争と大新聞の戦争責任――ジャーナリストの原点をもとめて――
ファシズムと言論弾圧
言論統制の道程
大新聞の戦争謳歌
“白い新聞”と責任のとり方
桐生悠々と新聞の使命
一貫した反軍の論陣
『他山の石』とその「廃刊の辞」
IV 総動員体制・動員された側の論理と心情――“脱走”“兵役拒否”はなぜ出来なかったか――
“血税”とその矛盾
「軍人勅諭」――天皇の軍隊と侵略体質
「教育ニ関スル勅語」
“郷土意識”の利用
甲種合格――郷土愛の精華
K一等兵と「突撃命令」
なぜ“脱走”“兵役拒否”出来なかったか
もうひとつの視点――兵の自殺をめぐって
V 戦争責任論の諸相――民草(たみくさ)の視点から――
戦争責任の韜晦――「一億総懺悔」論
現場将校にみる責任の論理(1)――ある隊付将校の戦後史
現場将校にみる責任の論理(2)――ガ島戦の連隊長
現場将校にみる責任の論理(3)――メレヨン島の悲劇
棚上げされた責任と戦争体質――西ドイツとの比較
鎮魂の航海――久保山愛吉さん
怨念をこめた鎮魂の営み
侵略体質に決別し真の責任追及を
あとがきにかえて
参考文献
〈資料・解説〉『国家総動員法』について
装幀 西口英介