昭和三十年代の匂い
序 昭和三十年代への思い
1 エイトマンとたこ焼き
「8マン」とたこ焼き
なぜか名前は東八郎
ちょっと危ないたばこ型強化剤
桑田次郎の有為転変
エイトマンと新幹線
大阪人のソウルフード「たこ焼き」
2 おはようこどもショーおよび米産アニメの声優
キューピーちゃんとビンちゃん
茶の間のウエスタン・カーニバル
CMソングの女王・楠トシエ
レベルの高かった吹き替えの声優
ブラウン管になだれこんだ芸人たち
3 あの頃はまだ戦後だった
戦記マンガブーム
戦記マンガの戦争は一種のゲーム
少年マンガ誌にあふれた戦争の情報
「鉄人28号」は、昭和三十年代を描いた物語
休み時間には「駆逐水雷」
「戦争ごっこ」でわかる人間の器量
駆逐水雷から学んだ器量
もっと危険な戦争ごっこ
プラモデルでも戦争ものは人気
「おそ松くん」に軍服じいさん登場
ユーミンが見た戦後的風景
4 初めてのシングル盤
最初のオーディオ
繰り返し聞いたフランク永井「大阪ぐらし」
雪村いづみと「約束」
ジョリジョリと針音を序曲に
ソノシート全盛の時代
いまでは高値のテレビアニメ・ソノシート
アニメと文具・菓子のタイアップ
5 科学の未来が明るかった時代
明るいナショナル
マンガが描いた未来都市
アニメと原作の違い
鉄腕アトムは本当につくれるか
未来に陰りが見え始める
ユーミンの「科学も夢みていた時代」
鉄腕アトムは二〇〇七年の話
6 わが家にテレビがやってきた
テレビがうちにやって来た
テレビは神様だった
電気屋のおやじは司祭
前田家と小林家にもテレビ
テレビはめちゃくちゃ高かった
上を向いて歩こう
恐怖! 大映『釈迦』の予告編
7 アメリカのホームドラマ
電気に頼らないシンプル・ライフ
サザエさん家の電気冷蔵庫
氷冷蔵庫で知るビールの味
口に含んだ氷のかけらは甘い
国松さまのお家は不法建築
アメリカはなんでも揃っている
大アメリカを象徴するカタログ
五畳半のすまい
8 少年期を包んだ歌たち
アニメソングは高度成長期の応援歌
「ひょっこりひょうたん島」
豪華な作家陣
梓みちよが、ブラウン管で恋した最初の女性(お姉さん)
学校では教わらない歌もあった
9 お誕生日は不二家のお子様ランチ
不二家の冷房の匂い
ペコちゃん人形を探して
不二家のデコレーションケーキに驚愕
10 マンガに見る日本の風景
「鉄腕アトム」が描く未来都市
空き地に土管は子どもたちのパラダイス
シェルターとしての空き地
有刺鉄線で囲まれた空き地
物語は空き地から始まる
「ど根性ガエル」は練馬区だった
昭和五十年代でも存在した空き地と土管
石置き屋根
木の電柱
11 誘拐、孤児、家出の願望
十円玉ハゲの吉展ちゃん事件
主人公性への「誘拐」
都会のなかの闇
インド人もびっくり
孤児願望
家ではしたけれど
12 昭和三十年代の匂い
駄菓子には添加物ストレートフラッシュ
他人の家の匂い
湯たんぽの湯の匂い
アセチレンガスは夜店の匂い
学校の手洗い場にはレモン石鹸
給食の匂い
背広についた煙草の匂いは大人の匂い
赤チン、正露丸、仁丹の匂い
冬服にはいつもナフタリンの匂い
ナフタリンって何?
13 のら犬と子どもたち
子ども天国「ちびっこギャング」
レモネードという飲み物
犬は放し飼いの時代
飼い犬と日本人の関係
きまって狂女がひとりいた
狂った女と運動靴
14 大阪市電とトロリーバス
いまでも健在、阪急ビル
天神橋筋商店街のにぎわい
あれは万引きだった
地下鉄と肩を並べる市電の営業キロ数
架線にスパーク、トロリーバス
トロリーと走るからトロリーバス
15 くみとり便所が果たしたこと
肥溜めに叩き込め!
糞尿は貴重な肥料だった
下水道の整備と水洗化
気取ったところでこんなもの
大谷崎の便所論
腰掛け便器で衰えた脚力
あとがき