六十一歳の大学生、父野口富士男の遺した一万枚の日記に挑む
- サブタイトル
- 文春新書;664
- 編著者名
- 平井 一麥 著者
- 出版者
- 文藝春秋
- 出版年月
- 2008年(平成20年)10月
- 大きさ(縦×横)cm
- 18×
- ページ
- 302p
- ISBN
- 9784166606641
- NDC(分類)
- 910
- 請求記号
- 910/N93
- 保管場所
- 地下書庫和図書
- 内容注記
- 昭和館デジタルアーカイブ
第一章 六十一歳の大学生
家のローンの返済も終わった。二人の子供も大学を卒業した。四十年近い社会人生活をおえ、私は再び大学へ。
第二章 父の遺した日記が一万枚
父野口冨士男の厖大な日記の整理が始まった。連日、十時間余りパソコンに向かう過酷な日々が続く。
第三章 栄養失調症
電球がたった一つで七坪の部屋に親子三人。疎開先の埼玉県越谷で海軍から復員した父は栄養失調症に苦しんでいた。
第四章 「わが家には完全に金がなくなった」
父も母も苦労知らずのお坊ちゃん、お嬢ちゃん育ちだったから、かえって戦後の貧窮状態をのりきれたのではなかったか。
第五章 スランプ
父も母も子供の私の前では決して見せなかった姿がある。父の日記を読むと、こんなにも思いつめていたのかと――。
第六章 「生きねばならぬ」
事業に行き詰まった祖父が私より一歳年少の叔父と後妻のおこまさんと一家心中した。半月後、父は意を決してその小説にとりかかった。
第七章 文壇は甘くない
川端康成先生が自裁され、父の厭世観は昂じた。しかし若い私には父の気持を思いやる余力がなかった。
第八章 穴ごもり
〈重ねてしまった年齢に、今日も苦悩がのしかかる、死んでもなにが残るのか〉――日記にそう書いた父は、今の私と同じ六十七歳だった。
第九章 目標の七十歳を過ぎて
父が「死に支度」をしていたとは。私も次第に父の年齢に近づきつつあるので、この言葉が身にしみる。
第十章 定年のない文学者
ガンの手術後、父の肺は通常人の八分の一の能力になった。母の病気も進行していた。
第十一章 父なりのダンディズムを貫き通せたのは……
大学院生活を中断して整理した父の日記の整理もほぼ終わった。今、私は痛切に父や母に会いたいと思う。
あとがき
協力・越谷市立図書館野口冨士男文庫
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